ソフトクリーム
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中学二年生、浅井茶子さんのニックネームは、オチャコです。
このオチャコが、同級生の明智光男さんと、念願だった交際を始めることになってから、かれこれ数週間が過ぎています。二人は時々、デートを楽しみます。
今日は、ハイドアンドシーク公園を訪れました。
「ねえ光男さん、ソフトクリームを食べましょうよ」
「うん、茶子さんの案を採用しよう」
二人は、公園内で営業している売店にやってきました。
「あっ、バナナのソフトクリームがあるわ! あたし、これがいい」
「そうかい。僕は、定番のバニラにするよ」
売店をやっているのは、お婆さんでした。
二人にソフトクリームを、一つずつ手渡します。
「さあ、さっさとお食べなさい。ふぇっへっへ」
「あのう、おいくらですか?」
オチャコが心配そうな表情で尋ねました。
お婆さんが返答します。
「お代は、食べ終えてからでいいのだよ」
「そうですか。僕がここで使えるお金は千円くらいです。それで足りるだろうとは思いますけど、大丈夫ですよね?」
光男さんが念のため、このように確認しておきました。もしもソフトクリームが一つ五百円を超えるようなら、赤字になってしまうからです。
お婆さんが、ニコニコと笑顔を見せながら言います。
「大丈夫だよ。キミらが持っている分だけで、足りるからね。ふぇっへへへ」
「そうですか」
「ねえ光男さん、先に食べましょうよ。そうしないと、溶けちゃうもの」
「うん、分かったよ」
季節は冬だけど、今日はよく晴れて、太陽光線が強いのです。
オチャコと光男さんは、近くのベンチに並んで座り、それぞれが手にしているソフトクリームに齧りつきました。
「おいしいわねえ」
「うん、そうだね」
溶けないうちに、素早く食べ終えました。
それで、お代を払おうと思って、お婆さんのところに戻りました。
光男さんが問い掛けます。
「ごちそうさまでした。おいくらですか?」
「お代は、お前たちの若い姿だよ。ふぇっへへへ!」
「えっ、なんですって!?」
「それはどういう意味ですか?」
オチャコも光男さんも、とても驚いています。
突如、お婆さんが、「出てこい檻よ」と囁きます。オチャコたちの目の前に、檻が出てきました。
さらにもう一つ、「入れ檻へ」という言葉を唱え、二人を檻の中に閉じ込めてしまいます。