~時給750円の小説家~(5)
リアルが忙しすぎたので初投稿です。
────前回までのおさらい。
小説をかけって言われた~
おわりっ!
………………さすがに手抜きがすぎるか。
ちょいと場面描写といこう。
『小説、です?』
電撃ビリビリガールがきょとんとしながら部長の言葉を反芻する。彼女以外の連中はすでに事情を把握しているようで、顔色に変わりはない。
『ああ、そうだ。厳密には長編小説だがね』
『あの、わたし小説なんて一度も書いたことないんですけど…………』
場違い感を感じているように彼女は声を上げる。
『確かに君はサークル規定の人数合わせに参加してもらったわけだからね。まあ一応最後まで聞いておくれよ、悪いようにはしないさ』
マジかよ、俺以上に事情を知らねぇ奴もいるのか。創作系のサークルに未経験を放り込むとか新手の拷問かな?
『それじゃあ細かいとこを話そうか。作品の字数は締め切り時点で8万字を超えていれば条件を満たしていればおーけーだ。締め切りは、うーん、そうだね。六月の末まででいいかな。あとは…………』
部長はさらに細かな条件を列挙していく。ビリビリは逐一真面目にメモを取っていく。こいつ適応力の化身かよ。
『………………………大体これぐらいかな』
十分くらいぶっつづけでかたり終え、ほうと一息つく部長。
『えーと、だいたいわかりました、はずです』
B5サイズのノート半分くらいの項目を一気に書き留めた彼女は頷いた。
俺はバレないように二度寝をかましていた。
あ、ちゃんとさっき起きたよ?
『そしたら最後に特典について話そうか』
彼女だけに向いて説明をしていた彼女───もとい部長が他の連中のほうにも向き直る。
心なしか空気に緊張感が走る。彼らにとってはここからが本題らしい。
『期日までに作品を完成させられたものには一律に、私のポケットなマネーから15万円を進呈しよう』
1 5 万 円 ?
俺の手付金の30倍なんですがそれは。
『もちろん小説の体をなしているのが条件だ、無色に透過した「あああああああ」で文字数を稼ぐのはなしだぜ?』
「俺のほうを見て言うなよ、そもそも俺は書く気も必要もないがな」
『この人マジでなんでいるんすかね…………』
「ここに来れば五千円くれるってはなしだからな!」
俺はドヤ顔で言ってやった。
『ひもじゃないっすかこの人』
「何を失敬な、正当な雇用関係だともさ、なぁ部長のアカネさんよ?」
『ああそうだな、当面はその子の作品作りの面倒を見るのが君の職務だとも』
ほれ見たことか、ざまあないぜ。
あれ?
『それじゃ今回は解散だ、二週間後の定例会にてまた会おう』
各々自分の席を立ち部屋を後にする。
なんか話が違うんですけど……
『あ、ナオの給料だけど、その子が作品上がらなかったらゼロだからよろしく~』
…………………………………まじで俺がやるの?
…………………あの、お~い。
……
『あ~やっぱり大分しんどいかも、か~えろ』
「…………生活やばくなるんで打合せだけ頼んます」
『土 下 座』したよね、やっぱ。
ドン引きされた。