出発ベルメル領
お久しぶりです。これからもローペースで投稿出来たらいいなと思っています。
今回はキリのいいところで終わったので短いですが、次回は長くする予定です。
魔獣行進の危機を回避したアルトたちは一日の休暇をとったのち、すぐにベルメル領を出る準備をしていた。
アルトたちが向かう先はアルトの故郷であるヴァリアント領。
ベルメル領から馬車で一週間といったところだ。
そして、一日の休暇をとったアルトたちはベルメル領にて英雄の復活だと騒がれていた。
「なんか恥ずかしいな」
「それだけすごいことをしたのよ。これくらい当然だわ」
未だ冷めやらぬ街の様子をサーシャの部屋からアルトとサーシャは眺める。
「にしても、良かった。軽傷者は何人かいたっぽいけど、死者は誰もいないようだし」
「魔獣行進の歴史を見ても死者が誰も居ないなんてことは初めてのことなのよ。やっぱり私のアルトだわ」
そういってサーシャはアルトの首に手を掛けてもたれかかる。
アルトにもたれ掛かったことでアルトの鼻腔をサーシャの真っ赤な髪がくすぐる。
髪からは初めて会った時からほとんど変わっていない彼女の優しい匂いが漂う。
『いつまでイチャついているつもりなのだッ』
そんな誰もツッコミをいれなければ世界が終わるその日までイチャついてそうな二人の仲をローズが割って入る。
「チッ、五月蠅い羽虫ね」
『誰が羽虫だッ。妾は神霊ぞ』
「羽虫を羽虫といって何が悪いのかしら。だいたい、アルトは私のなんだから」
『君達はさっきから何をいってるんだい?サーシャはまだ許そう。しかし、セリルローズッ。アルトは君のモノじゃないッ。アルトは僕のモノだッ』
ローズに続きエレメージュまでもが割って入る。
「はぁ~、モテる男は辛いよ」
サーシャの部屋から出た二人は客間にてクレアと今後のことについて話しをしていた。
「それで、ヴァリアント領にいったあと、『古代人の墓場』を調査するのだな?」
「そうなるな。ローズがいうには『古代人の墓場』は魔王軍が滞在していた土地っていってたし。古代兵器を封印するにはあり得る場所だ」
「『古代人の墓場』ね、死霊系統のモンスターが多くでるところね」
死霊系統のモンスターたちをアンデッドといい、一体一体の相手をするのは容易い。
なにせ、炎、光などに非常に弱く、松明で叩くだけでもアンデッドには効果的だ。
しかし、そんなアンデッドたちは群れで行動する。少なくとも十体以上で群れる。さらに、アンデッドの中でも特殊な種族であるゾンビやグールといった種族に攻撃され怪我を負うとその者までアンデッドになってしまう。
まぁ、攻撃を受けてから五日以内に教会などで浄化してもらえばアンデッドにはならずに済むのだが。
それでもダンジョン内ということもあり、せまい場所で数多くのアンデッドと戦うとなれば骨が折れるだろう。
「リリアンがいれば楽に調査できるのに・・・」
「そうね、リリアンがいれば浄化に回復は勿論、光属性魔法でアンデッドを楽に対処できる」
リリアンはアルトたちが学生のときから回復役としてパーティメンバーを幾度も救っていた。
彼女の回復魔法の技量はシルバリオ聖王国で称えられている聖女までとはいかないが、それでも学生の域を越えた回復魔法を使用していた。
今は教会で務めている彼女を呼ぶことができれば一気にアルトたちの戦力は増す。
「そういや、教会に努めてるんだっけ」
「えぇ、私も最後に会ったのは半年ほど前だがな」
「リリアンちゃんも美人になってるんだろうな」
「ア・ル・ト」
「嫉妬しちゃうサーシャも超絶可愛いんですけど」
「はぁ~、アルトには私以外の女性を見てもらいたくないんだけど」
「リリアンは俺の可愛い後輩だからなッ。後輩を見守るのも先輩の役目だろ」
「まぁ、いいわ『じっくり私だけを見てもらえるようにすればいいのだから』」
するとアルトの背筋に何か冷たいものが走る。
「な、なんだ今の・・・」
ベルメル領を出発して五日が経った。
道中は特にモンスターや賊に襲われることなく順調にヴァリアント領へと向かっていた。
ヴァリアント領へはベルメル家の馬車で向かっている。
馬車に乗っているのはアルト、サーシャ、クレアをいれた三人。それに、護衛の騎士五人が馬車の周りを馬に乗って走っている。
「うわぁ懐かしいなこの辺りの景色」
アルトは馬車の窓から眺め十二年前とほとんど変わらぬ景色を見て、感傷に浸る。
「よくこの辺で魔法の練習してたな」
「そうなの?」
「あぁ、丁度エレメージュと契約してから一年が経った頃にな、この辺だと人も少ないから練習に丁度いいって思って夜な夜な屋敷を抜け出して練習してた」
「待て、ここからヴァリアント領までは最低でも一日と半日はかかる距離だぞ?」
そこでクレアが質問する。
「そこは、魔力で身体能力を強化して全力疾走してだな」
「呆れた奴だ。だがまぁ、流石神童といったところか」
当時のアルトの行動を聞き呆れるクレアだったが、納得もしていた。
学園ではアルトのことを嫌っていたクレアだが、アルトの死後に、神童時代の資料を読んだクレアからすれば、アルトがやっていたことはアルトにとって不可能ではないことだった。
「それでサーシャ」
「ん❤?どうかした?」
「ちょっと引っ付きすぎじゃないですかね?」
「アルトは私にくっ付かれるのは嫌かしら?」
「嫌じゃないですッ。これ以上ないくらいのご褒美ですッ」
そうなのである。アルトは現在、サーシャによって右腕を拘束されていた。
成長しきったサーシャの豊満な胸部に抱きかかえられる形で腕を拘束されている。
そしてさらにサーシャの力が入る。これによりサーシャの胸はムニュと形を変化させ、それと同時にアルトの思考がオーバーヒートする。
「うふふ❤」
「サーシャァ~」
「全く・・・目の前でイチャつかれる私の身にもなれよ」
二人が作り出すラブラブ空間に嫌気が刺したクレアが頭を抱える。
「ねぇアルト」
「なんだサーシャ?」
「ヴァリアント領についたら行きたいところがあるの」
「どこだ?」
「あの庭園」
「・・・そっか、分かった。一緒に見に行こうぜ」
クレアは二人の会話から「あの庭園」というところが二人にとって大切な場所であることを理解する。
アルトは愛しそうにサーシャを見つめ、サーシャもまたアルトを愛しそうに、大切そうに見つめる。
そんなときだった。
「前方で馬車が襲われていますッ」
護衛の騎士の一人が声をあげる。
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