ミスト。
掲載日:2020/08/14
灯りが届かない ひっきりなしのワイパー
これが異世界への扉ってヤツかな
なんてことを思いながら 現実は残酷だ
テールランプに必死に食らい付く
ペダルに乗せて ゆっくり ゆっくり
強張らないように 緩やかに
ただ がっちり握ったハンドルと 冷たい汗を
やがて座席を満たし びちょびちょになるお尻
ひとりだけなら良かった 何も気にすることはない
だけど 大切なひとと一緒だったから
目的地まで 安全に届けることが使命
急ブレーキはかけないようにと
突如 視界が晴れた 飛び込んだ崖 粉々になる
ガードレールの無い 山道 誰が添えたか知らない花束
そんなので 許されるとでも 思っているの?
濃い霧のなかで 待ちます あなたを
じめじめとした世界から




