誰にもあげないもん!
___私の大切なモノを絶対に誰にもあげないもん!
私の “お友達” リーリン。
ウサギのぬいぐるみのリーリン。
私より少し小さいリーリンは、私の妹なの。
リーリンはね?
何時だって! 何処だって! 私と一緒なの。
どんな時も、私が寂しくならないようにって! パパとママが
私のために、買ってくれたのよ。
___私のパパとママは、とっても優しかったのよ。
リーリンが、私の所に来る前は、、、。
私の事をとても大事に想ってくれていたの。
___私は、世界中の誰よりも!
“パパとママ” が一番大好きよ!
・・・このまま、幸せに暮らせると私は思っていたのに。
突然! パパとママは、交通事故で私の前からいなくなって
しまった!
___もう、パパとママには会えない!
一生! 会うことができないのよ!!!
___私は、何日も何日も、自分の部屋で泣いたわ!
起きているときは、ずっと泣いていたのよ!
・・・でも、ある日?
涙が出なくなった! そしたら? 親戚のおじさんとおばさん
が私を引き取りたいと言いに来たわ!
___私は、もう何処に居てもパパもママ居ない所なら
何処に居ても、一緒だと思ったの!
だから、親戚のおじさんとおばさんの所にもらわれて行ったわ。
その時、パパとママが私のお誕生日にくれた唯一のウサギのぬい
ぐるみのリーリンだけが私のお友達になったの。
___ぬいぐるみのリーリンだけには?
なんでも、私の思った事を話せたの!
・・・決して! 親戚のおじさんとおばさんが悪い人だった訳じゃ
ないんだけど? それどころか、私の事を本当の娘のように可愛い
がってくれたわ! それでも、私はおじさんとおばさんに心を開く
事はなかったの。
___それは、学校のお友達も先生もみんなみんな。
私は、ウサギのぬいぐるみのリーリン以外には心を開かなかったわ!
おじさんとおばさんも、私の事を心配してくれた。
とても大事にもしてくれた。
___それでも、私は心を開かなかった。
*
___私は、大人になっても何も変わらなかったの。
相変わらず、誰にも心を開かなかったわ。
___リーリン以外はね!
___だからね?
誰も、私と本音で話せる人はいなかった。
好きな男性でも、信頼できるか信用出来なかった。
___唯一のお友達は、リーリンだけ!
*
___でもね?
ある日、ウサギのぬいぐるみのリーリンを何処かで落としてしまったわ。
___ずっとずっと、大事に部屋に置いておいたのに...。
リーリン! どうして? 私の部屋から居なくなってしまったの。
___私は、最初におばさんを疑ったのよ!
その次は、おじさん。
___誰も信じていない私は、唯一のお友達のリーリンを失った。
*
___でもね?
リーリンが居なくなって、数日後。
リーリンが私の夢に出てきたの!
『___ねえねえ、聡里!』
『・・・えぇ!? リ、リーリンなの?』
『___そうよ! 聡里は、何故? 人を信じないの? ずっと
心を開いていないわ! わたしじゃダメなのよ、聡里! 貴女が
今必要なのは、おじさんやおばさん、新しいお友達や身近な人たち
なの! ちゃんとなんでも話せる人を見つけて! わたしはもう、
聡里の傍に居れないわ!』
『・・・どうして? どうしてそんな事を言うのよ!』
『___聡里のパパもママも、今の聡里を認めないわ! ちゃんと
大人になってほしいのよ! しっかり自分の足で立って!』
『・・・わ、分かったわ! だから、リーリン! 私の所に戻って
来て! 私、リーリンが居ないと寂しいのよ。』
『___それはダメよ! わたしが聡里の傍に居たら? 貴女は
わたしに甘えるでしょ?』
『・・・ううん。』
『___しっかりしなさい、聡里! 生きていたら、パパもママも
そう言うわ!』
『・・・・・・』
『さようなら、 聡里!』
『・・・行かないで、リーリン! 私を一人にしないでよー!』
___リーリンは、そう言って! 私の傍から居なくなってしまった。
あれから、リーリンは戻ってきていない!
私の知らないところに、リーリンは行ってしまったわ。
・・・私は、私は、どうしたらいいよ!
ねえ、リーリン......。
最後までお読みいただきありがとうございます。