踏切
学校終わりにデートをする俊と美穂
その帰りの踏切で予期せぬ出来事が…
これは、高校の時の話。
俺はその日、学校終わりに彼女の美穂と
デートに行く約束をしていた。
「あ~ やっと終わったぁ。 ようやく俊くんデートだぁ。
私、頑張って耐えましたぁ~。すごく頑張りました。」
「何を頑張ったの? 今日、全授業うわの空だったじゃん。」
「とりあえず、ご褒美にここでキスして。」
「なぜそうなる? あとそれなんのご褒美だよ。
あ!もちろんだけど…人前だからしないからね。」
あからさまに”私拗ねてます”を強調し、道端に座り込む。
「とりあえず どうしたい?」
「うん。キスしたい。」
「言い方間違えた 何処に行きたい?」
「もう~ 俊くんのイジワル。」
(いじわるじゃねぇーよい)
「じゃぁ クレープ食べに行ってから
プリクラ取りに行きたいなぁ」
「わかった。拗ねた美穂の願いを叶えに行きましょう。」
そして、俺たちショッピングモールへと足を運び
クレープを注文する。
(いらっしゃいませ~。何になさいますか?」
「どれしよっかなぁ~?チョコバナナもいいなぁ
あっ! イチゴホイップもありぃ…悩むなぁ。
俊くんはどうするの?」
「俺はツナチキンかな。」
そんなありきたりな会話をしながら、注文をし席へと
「でっ? 美穂けっきょく何にしたの?」
「バニラアイスチョコクリームクレープ。」
「悩んでた候補にその子はいなかったと思いますが…」
「編入してきました。」
「なんだよその言い方。」
その後 俺は美穂の誕生日が近かったこともあり
アクセサリーを見たり、プリクラを撮ったりと
楽しいデートの時間を楽しんでいました。
気づけば時間も遅くなっていた為
俺は、美穂を家まで送ってから、自分の家に帰ることにしました。
ただ、その場合”踏切”通るのですが、そこで変なことが起きたんです。
(カーン カーン カーン カーン)
「ここの踏切ながいから、嫌いなんだよなぁ。」
すると、まだ遮断器も降りているにも関わらず
女の人がバーをくぐり、踏切の中に入っていたんです。
(えっ! 嘘 危ないぞ。)
俺は、そう感じ声を出そうとした瞬間 電車が来て
ドーン!!!!と大きな音を立てて女の人を撥ねていったんです。
俺は、その衝撃的すぎる光景に放心状態で固まっていると
踏切の音が止まり、遮断機が上がり、急いで帰りました。
家へ着くなり、俺はすぐ自分の部屋に入り、
「さっきのは何だったんだ。てか…気のせいかな
あの女の人 電車にはねられる瞬間
こっちを見て、睨んでいた気が…」
そんなことを考えていると急に鳥肌が立つほど怖くなりました。
(プルルルル~ プルルルル~)
着信--美穂---+
「もしもし。」
「もしもし~ 俊くん 今日はありがとう
すっごく楽しかったよ~。」
「ああ ならよかった。俺も楽しかったよ…」
「どうしたの?声 すごく元気ないね?」
「そうかなぁ。普通だよ。」
「あのさ~。ちなみに今 家なのかな?」
「そうだよ。」
「なんかあったでしょ? 今日 私送ってからの帰り道
たとえばさ”踏切”でなんかあったりとか。」
「え!」
あまりにも的を絞った美穂質問に俺は、帰りの出来事を
全て話した。
「ねぇ 俊くん 今さ 話したことに自分で違和感感じない?」
「へ?」
「もしさ…それがホントの人身事故だとするじゃん?」
「うん。」
「ほかの人たちもっと声出して 大事になってると思うし
人を撥ねて電車そのまま運航しないと思うよ。」
美穂に言われて、ごく当たり前なことに気づく俺。
「確かに…なぁ美穂なんで踏切で何かあったってわかったの?
それに普段は電話じゃなくて、トークなのに…」
「ああ、電話したのはホントに楽しかったから
ありがとうを言いたくて、踏切ってわかったのはね」
”今俊くんと喋ってる電話の向こうでずっと音がしてるの
カーン カーンって”
その言葉に俺は全身凍りついた。
「あとね。してほしいことがあるの?」
「なに?」
「まず、電話をスピーカーにして。
その後 デジカメもって鏡のある所に行って?」
そう、美穂に言われ、脱衣所へ。
「ついた?」
「うん」
「じゃぁ、鏡に映った自分をカメラで撮ってみて?」
鏡越しにデジカメで自分を映すとそこには…
「うぁぁぁぁ! なにこれ…」
「写ったかな? 血まみれの女」
カメラに映った女は…こっちを見て笑っていた。
俺の悲鳴を聞きつけた母が来て
「----------------------。」
黙ってじっとこっちを見る。母
「あんた どえらいもん連れてきたね。。。」
「とりあえず、明日 連れて行ってあげるから
今日はオールナイトしな。 私も側にいてやるから。」
「なんで?」
会話を聞いていた美穂が会話に入ってくる。
「いいから お母さんの言う通りにして
じゃないと俊くん
”取り殺されちゃうよ”
私もそっち行ってあげるから」
その時、霊感のない俺もはっきり聞こえたんです。
”くるなぁぁぁぁぁぁぁ”
電話越しに美穂の悲鳴が聞こえた。
すると、母が大丈夫っと美穂に声をかけると
「ごめんなさい。事の勿れからすると
美穂ちゃんも霊感あるみたいね。」
「はい。お母さんほどではないですが…」
(何だこの会話は・・・)
「夜遅いんだけどこっち来てくれる?
俊の連れてきた子けっこうお転婆みたいで
さっきから私を睨んでるから」
「もちろんです。すぐ行きますね。」
その会話から20分後 美穂が自宅に来てくれた。
彼女の母も一緒に彼女の母は逆に霊感はないそうだが
俺にとりついた女性の経緯を知っているそうで
美穂を家まで送ると同時にそれを話に来てくれたそうだ。
「申し訳ありません。こんな夜遅くに
大切なお嬢様をお呼びだてでしまって。」
「いえいえ。事情はすべて美穂から聞いております
きっと、息子さんにつかれたのは、あの時の女の子だと思いまして…
「あの時の女の子?」
美穂の母の話は
その日、美穂のお母さんは珍しく残業で仕事が遅くなったそう
そして、家に帰る為、あの踏切の前で止まっていると
男の子たちに追いかけられた女の子が走ってきて、
そのまま踏切へ入り、引かれたとの事だった。
後日、警察の取り調べで、
男の子数人ナンパ目的で声を掛けられて
それから逃げた末の事だったそうだ。
その男の子たちが来ていた服装が美穂や俺が着ていた学生服だったようだ。
「そうゆうことですね。ありがとうござます。」
「では、私はこれで。」
「お母さんありがとう。」
事を伝えると美穂のお母さんは帰って行った。
その晩は、美穂とテレビゲームしたりトランプしたり
映画を見たりとそれなりに楽しく過ごしていたのだが
母がずっと真顔でこっちを睨んでいたんだ。
まぁ、睨んでいたのは俺じゃなくて霊の方だったんだけど
ずっと口元が(やめろ やめろ やめろ やめろ)って言っていて
俺は、それがちょっと怖くて一番落ち着かなかった。
そして、トイレに行った時
”おまえのせいだ おまえのせいだ 許さない 許さない”
と聞こえてきたため、次からトイレもその日はついてきて
もらうことになった。
次の日 すぐに母や美穂に連れられ、
お祓いへと連れていかれた。
無事にお祓いは成功したものの
「この霊は…その服装の男性に強い恨みを持っているため
その服装であの踏切を渡らないようにしてください」
とのことだった。
だから今もあの踏切は渡らないようにしています。
ただ、あの踏切の近くを通ると
あの女が必ずこっちを見てずっと睨んでるんです。
第6章 踏切 終わり
第7章へと続く…