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捧げてきた時間

窓の手摺りには結び付けてロープ状になったカーテンが風で揺れていた…


ベッドに横たわって壁を見つめるミヤ…部屋に入れてもらったダイスケはミヤの背中越しに話しかけた…


「あ、あの…こんな時間に押しかけてしまってごめんなさい…怒ってますよね…」

「…ううん…怒ってはいないですけど…今、顔をあまり見せられなくて…私、今…可愛くないから…」「そんな事…!」

ダイスケは立ち上がったがすぐに目を伏せてもう一度腰を下ろした。


「何故…」「えっ?」「何故来たの…?あなたはアルタイルスケートサークルの人…そしてリカさんの立派な恋人…それに比べて私はライバル校の…しかも恋人のライバル…

あなたが私を訪ねて来る理由なんて何一つないわ…あなたには何度も助けてもらっておきながらこんな事を言うのは常識外れかもしれないけれど正直今はそっとしておいて欲しいの…ゴメンなさい…」


「そうですよね…あなたの言われる事、もっともだと思います。ははは…僕も何故こんなに無理矢理あなたに会いに来たのか自分でも分かりません…ただ…今日のあなたのスケートが途中から違う人が滑っているようで…

最後に見せた涙も僕には訳が分からなくて…

ずっと頭からあなたの事が離れないんです」



「何故…?あなたにとって私は何なの?そりゃあ知らない仲では無いわ…でも大切な恋人のライバルに優しい言葉やアドバイスなんてとんでもないわ…私達は真剣に闘っているの…時には絶望感に襲われることもある。

でも…敵側のあなたに何も言われたく無いわ…!」好きで好きでたまらない分…ミヤは苛々した気持ちをどうにも出来ずにダイスケに向かって辛辣な言葉を投げた。しかし彼から返ってきたのは意外な言葉だった…



「優しい言葉やアドバイス…?まさか…その逆ですよ…あなたの演技には僕なんかが口を挟む余地は全くありません…僕とリカはスケートサークルに入って日がまだ浅いんです…」ミヤは口に手を当てて目を大きく見開いた…


「嘘…最近スケートを始めたばかりであんな…じゃあ私が敵う訳…」「いえ…その逆です…あなたは自分の青春の多くの時間をスケートに捧げてきた…リカはスケートに関して天才かも知れませんがそれはあなたも同じ…仲間は僕のコーディネートを褒めてくれますが自分では所詮浅知恵でリカの後押しを少しだけしているだけだと思っています…」

「そんな…私はあなたのコーディネートとリカさんの演技の融合は凄いと思うわ…」


いえ…何十回、何百回と繰り返し跳んできた

あなたに挑むのはリカはともかく…僕の方があなたが言う絶望感を抱いています…」


二人はお互いについて少し言葉を失った…

そして少し間が空いて…


「もし、あなたにコーディネートしてもらえたら…」

「もし、あなたのコーディネートを考えられたら…」


同じような言葉を同時に発して顔を見合わせて微笑んで…そして二人は笑い合った…


ミヤは大きな溜息を一つ吐いて「ありがとう!あなたのおかげで大事な事がなんか分かったような気がします…」「ミヤさん…」

ダイスケが微笑むとミヤもまるでリカのようにとろけるような笑顔を見せた…その笑顔を見たダイスケはドキドキして緊張してしまった…


その時、突然ドアをノックする音が聞こえた…「ミヤ…どうしたの?話し声が聞こえたような気がしたけど…」ジュンが部屋の外からミヤに呼びかけた…




「マ、マズい…!」僕とミヤさんはもう一度顔を見合わせた…

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