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死力を尽くした闘い

リカが飛び込み位置に着いた…遠ざかっていくミヤの背中と近づいてくるミキの姿を見ながら呼吸を整える…


ミキの手が壁に着くと同時にリカはみんなに負けないような綺麗なフォームで飛び込んだ…


ノブが僕に慌てて駆け寄ってきた…

「ダイちゃん!リカちゃんって泳いだ事無いって言ってたけど…」「ああ…そうだよ。だから動画を見て勉強してただろう?」「そ、そんな事で泳げるの?」「ノブ…考えても見ろよ…リカはスケート歴も殆ど無いのにトリプルアクセルを跳べるんだぜ…」「そうか…彼女は天才…コツを掴めば泳ぐ事くらいは朝飯前ってワケか…」


リカの長いリーチを活かしたダイナミックな泳ぎにミヤさんのリードとの差はジリジリと縮まっていく…しかし彼女も信じられない脚力を持ったエリジブル…カオリさんと同じように綺麗なターンを決めてリードを保つ…


「はぁ…はぁ…いくら遊びと言ってもこれも勝負よ!負ける訳にはいかないわ!」

彼女の小さな身体ボディーのモンスターエンジンが唸りを上げた。


追い上げるリカの勢いも尋常ではない。動画を再現するかのようなスピードにみんな息を飲んで彼女を見つめる。「さあ…捉えたわ!ここから一気に…」


もう、ミヤにもリカにもこの勝負はただのお遊びでは無くなっていた…

言葉にこそ出さないがお互い、ダイスケの向こう側にチラチラと見える影が気になっていた。ダイスケに自分だけを見てもらいたい一途な想い…それが今の二人を突き動かしていた…


本気ガチ…調整と銘を打ってプールを貸し切って身体に負担がかからない運動をするという目的からいつの間にかあからさまにかけ離れた勝負に変わっていた…


しかし…全力を絞り出して泳ぐ二人の差は縮まる事はあってもその順位が入れ替わる事は無かった…


精も根も尽き果てたような表情で壁にタッチしたミヤをチラリと見てダイスケは思いきり水面に向かって飛び込んた…「あれ…なんか…?」

「はぁ…はぁ…はぁ…」

息を乱してプールから上がってきたミヤを見てみんなは驚いた…


「キャア!ミヤさん!」


「えっ?どうしたの…?」




そして…全力で飛び込んだダイスケは水の中でゆっくりと目を開ける…が、そこは真っ暗な闇の世界だった…


「あれ?なんだろう…?」

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