リンクの妖精=プールサイドの妖精
その頃…リンクではリカのエキシビジョンの演技が終わろうとしていた。
ヴェガとアルタイルに伝わる織姫と彦星伝説をモチーフにしたミルキーウェイストーリーという曲に合わせて舞うリカにギャラリーは魅了された…何よりもヴェガチューブでリカのスケーティングを見てファンになり、今日初めて彼女を見た彼等にとってはその演技の美しさは格別だったに違いない…今日は黒の練習着だが、本番はシズカさんが作ったミルキーウェイのスパンコールが綺麗に輝く衣装で更に滑りに華を添えることであろう…
リカの演技が終わった後、ジュンコーチがマイクを持って観客席に向かって「皆さん今日はアルタイルスクールの皆さんが我々のスクールにお立ち寄りくださいました。明日から学生星間杯が始まり、我々もライバル校としてトップを争うことになります。でも、その前に我々は同じスケートを愛して極めていく仲間でもあるのです。全力を出し尽くして戦えるように両校に対しての応援をよろしくお願い致します!」ミドリコーチもジュンコーチに寄り添って二人で観客席に向かって深々とお辞儀をされた…
観客席からは惜しみない拍手が起こって選手達には笑顔の花が咲く…
観客席の最上段から僕とノブ…そしてミヤさんも顔を見合わせて笑った。
そしてリカ達…選手やコーチもロッカールームに引き上げたのを見て観客席の通路は帰路につく人々で一杯になった…僕も席から立ち上がってリカを迎えに行こうとしたその時、「ねえ…ダイちゃん!」「あの…ダイスケさん!」ノブとミヤさんが同時に僕に話しかけた…二人は顔を見合わせて驚いた…
「あっ!先にどうぞ!」「いえ…そちらからどうぞ…」「すみません…じゃあ…」
ノブが申し訳無さそうに僕に向かって「ダイちゃん…この後、昼食を食べてからはどうするの?観光?」「いや…本当はね、ここのプールで泳ごうかなと思ってたんだけど、さっきネットで調べたら本日は貸し切りの為にお休みだって…仕方ないからノブの言うように少しだけ観光でもしようかな…」
「あの!」その時、ミヤさんが僕達に声をかけた。僕には不思議とその表情は明るくて嬉しそうに思えた…
「実はプールを借り切ったのは私達なんです…」「えっ?そうなんですか…」「ご存知の通り私達エリジブルは薬物検査があるので試合前と試合後は不特定多数の方々と同じ施設を利用することに制限がかかるのです。でもアルタイルのスケートサークルの方々と一緒ならきっと許可が降りるはずです。良かったらお食事とプール…私達とご一緒しませんか?」
「本当ですか…本当に良いのでしたら嬉しいけど…」僕はチラッとノブの表情を見て…
「ぼ、僕達は男子部員ですけどご一緒してよろしいのでしょうか?」「もちろんです…うふふ…」
…ということで僕達はヴェガの皆さんと一緒にプールに行く事になった…時間もお昼には少し早いのでプールサイドカフェでみんなで食べる事になった。
プールサイドでノブと二人、女子の着替えを待っていると…「あ〜ん!ゴメンなぁ…待たせてしもたかなぁ…」
「おおお〜っ!」みんなの水着姿が眩し過ぎて僕とノブはしばらく直視出来ずにその場に佇んだ…




