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リカの涙

シズカとリカは看護師さんと一緒に処置室に向かう…


コンコン…看護師さんがドアをノックして三人は処置室に入った。

「シズカさん!」いきなり呼ばれたシズカは驚いて「はっ、はい!」と返事をした。


「あの人は?あの人は無事だったのでしょうか?」頭や肩に包帯を巻いてさっきまで脳しんとうで気を失っていたダイスケが本気でミヤを心配している…シズカは大きなため息を一つ吐いて「外傷はないみたいだったから検査次第だね…後でミドリに連絡を入れてみるよ…」「そうですか…」


その会話が終わるか終わらないかのタイミングで我慢していたリカの感情の堰が切れて大きな瞳から涙が溢れ出した…「ダイスケさん…私、私…ううううう…」リカはベッドの上のダイスケに寄り添って泣き崩れた…シズカはそっと部屋の外に出た…


ダイスケはリカの髪を撫でる…「ゴメンよ…でももう、スケートで怪我をして辛い想いをする人を見るのは嫌だったんだ…」「良いんです…だけど…私、ダイスケさんのために何も出来なくて…辛かった…ううう…」


僕は彼女を救うためとはいえ…今、リカに辛い想いをさせてしまった…もし、僕に何かあったらリカはどうなったのだろう…リカの涙に僕は自分の軽率な行動を痛感して反省した…


脳波その他には異常は無かったらしく、肩の外傷も血が出た割にあまり深くなかったようだ…処置後、帰宅しても良いと言われたので僕達はリンクに荷物を取りに戻ることにした…


病院の玄関口である人物が僕達を待っていた…ヴェガのコーチ…ジュンだった…


「この度はウチの選手のせいでご迷惑をおかけしてしまって…」深々と頭を下げるジュンにシズカは「それよりもミヤさんの具合はいかがですか?」と訊く…


「…まだ意識が戻らないのです。脳波は正常なのですが…アルタイルには特別な選手がいるからと根を詰めて練習をしていたので、心身共に衰弱しているので今、点滴をしてもらっています…」


「そうですか…心配ですが、今日は病院のスタッフに任せて私達も休んで回復を待ちましょう…私の寮に部屋を人数分用意しますので皆さんはそちらに荷物を持って移動してくださいますか?今、車を回して来ます…」「お気遣いありがとうございます。お言葉に甘えさせて頂きます…」


こうして僕達は一旦スクールに帰ることになった…



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