表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/92

綺麗な緑色

…病院の霊安室に案内された僕はもう喋る事の無い兄貴の最期の表情を見る事となってしまった…駆けつけた両親とシズカさんがそこに立ち尽くしていた…


シズカさんは憔悴しきった顔で…「ニコラは私が車に轢かれそうになったのを助けてくれたの…本当は私が…ニコラは代わりになって…ううううう…」シズカさんは僕に寄りかかって大粒の涙を流した…


シズカさんの悲しみが多分、僕以上だというのはずっと二人を見てきた僕には痛いほど分かった…「きっと、兄貴がシズカさんと入れ替わっても悲しみは同じかそれ以上ですよ。

シズカさんが無事で兄貴は天国うえで喜んでいる筈です。今は思いっきり悲しんで、その後は頑張って兄貴の仕事を引き継いでやってもらえますか?お願いします。」


僕の言葉にシズカさんは黙って頷いて…だけど止まらない涙を何度も何度も拭った…




そして両親に後を任せてタクシーでシズカさんを自宅まで送ってから僕は自分の部屋に戻った…


突然の兄貴の死…まだ未だに受け入れられない…昨日はあんなに元気だったのに…


僕はバイオツリーシステムのトランクを見つめてそして手に取った…トランクを開けて中身を確認する…


綺麗に発光する緑の液体が入ったガラス状のカプセルから金属の骨組みが伸びている物…それ一つだけが中央に入っていた。


…その綺麗な緑色を見つめていると幼い頃、兄貴と森の中を歩いて空を見上げると木漏れ日が降り注いできたのを思い出して僕の目に

知らず知らずのうちに涙が溢れる…


溢れた涙が頬を伝って…トランクの中の物に一粒、二粒と落ちた。


その時だった…緑の発光体が一段と輝きを増してブルブルと震え出した…「うわぁぁぁぁ」僕は驚いて座ったまま少しずつ後退りする…


トランクに入っていたものはやがて動き出してズルズルとトランクから外に出て行った…

僕は怖くて近づけないでただ見ているだけしか出来なかった…そして僕が組み立てたフィギュアの足から中に入っていった。


僕は兄貴の言葉を思い出す…


「近くに水分があるとそれを媒体として物体と結合してしまうんだ…」


水分…結合…まさか…


僕の涙にシステムが反応してフィギュアと結合したっていうのか…

と、とりあえず…もう兄貴には相談できないし…じゃあ…シズカさんは…

でも今日は疲れきって休んでいるだろうし…


僕はフィギュアを眺めた…特におかしい所は見当たらない…

「明日…明日になったらシズカさんに相談してみよう!」


色々あって疲れていた僕はとりあえずベッドに横になってそのまま寝てしまった…


僕が寝ている間にフィギュア…彼女の目が綺麗な緑色に発光していることも知らずに…





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ