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第四十九話、ワールドジェネレーションギャップってなんやねん



一学年、六人ずつに分けて三十組程度。

三分おきにそれぞれのグループがアーチ状の門扉を潜ってはその姿が煙のように消え、入っては消えの繰り返し。


その半ば頃でオレたちの番となったわけだが。

そんな門の向こうでは、これからの予定と作戦を立てるためにと他の生徒たちが屯しているのかと思ったら、そんな事はなく。


遊園地の入口、コンコースにしてはやけに狭い……それこそダンジョンの入口であるかのように、交通法ぎりぎりな幅のインターロッキングタイルの敷かれた道の脇には、白くて眩しく、のっぺりとした壁が左右に聳えていた。



そこに他の生徒はおらず、振り返ればあったはずの扉は消え、眩しい白壁があるばかりで。


高さとしては、三メートル半くらいだろうか。

突っかける所はないものの、能力を使えば何とか越えられそうなそれ。


恐らく異世の構成上、そこを超えて向こうへ行くのはナンセンスだろうと、一旦それを棚上げして。

対面の奥……何やら書かれている、古ぼけた看板と、いかにもな台座のある場所へと近づいてみる。




「ミッション。数ある脱出方法を、知恵と勇気を出しあって探し出し、四日目の日没までに脱出すること、ね」



別に張り合っていたわけでもないんだけど。

入口から見て反対側の行き止まりにあった立て看板を、ドヤ顔可愛く読み上げたのは、愛敬さんだった。



それだけを見ていると、やっぱり蟠り的なものは減って来ているのかなって改めて思う。

それまでは、何かに焦っていたからなのか、余裕もなさそうで、病むほどとはいかなくても理くん大変だなぁ、なんて失礼にも思っていたオレだったけど。


今までとのギャップが凄くて、今更ながらオレの中の人の年齢的には、みんな年下なんだよなって思い知らされて。

思わず微笑ましい顔をしてしまうのが止められなくなって。




「何ですか? ニヤニヤして」


案の定、自分が笑われたと思ったのか、むっと眉を寄せる愛敬さんに慌ててフォローを入れる。


「いや、違うんだ。小さい頃アトラクションっていうか、大迷路で遊んだのを思い出してさ、懐かしくて」

「そうですか? つまり、このような異世に来た事があると?」



咄嗟に出たものではあったが。

それはうまいこと嘘にならずに済んだようだ。


こっちの世界での話ではないけれど、前世のオレ自身が子供の頃……小学校低学年くらいだったかな。

大迷路がちょっとブームになっていて、故郷にもいくつかあったんだ。

ちょうど、この町によく似た故郷にね。


オヤジが創ったのかどうかは分からないけど、オヤジの故郷でもあるわけだし、そう言えば普通に受け入れてたな。

もちろん、今は町に二つ三つあった大迷路はなくなっていて、住宅展示場とかになっちゃってるけど。



「異世じゃないけどね。まぁ、子供の頃の自分にしてみれば同じようなものかもしれないけど」

「迷路……そんなの、あった?」

「知らねぇなぁ。時代間違えてんじゃないの」



そんな楽しい所へ幼馴染のわたしを差し置いてずるい、なんて言いたげな晶さんと。

実は間違っていなくもない、ユーキのなんだかまだなんやかんやに根に持っていそうなそんなぼやき。


よくよく考えてみれば、最近までユーキとは同じ家住みだったんだよな。

いつから一緒に暮らしてたのか、実際ここが故郷なのか、細かい擦り合せするの忘れてたよ。



「ええと、流行ってなかったっけ? オレ、行った記憶あるんだけど、夢でも見てたのかな」

「うーん。おーきな遊園地になら、あるところにはあったんじゃないかな、迷路のようなものって。でもそれでも、だいぶむかしな気がするけど……って、うわわっ、抜けちゃった!」


咄嗟に出たでまかせってわけでもなかったんだけど。

今更ながらに表面化したワールドジェネレーションギャップに戸惑っていると。

結果的に助け舟を出してくれたのは、愛敬さんが読み上げていた立て看板らしきものを好奇心の強い猫……ではなくネズミのごとく、ぺたぺた触っていた響さんだったわけだけど。

 


立て看板を読む、触れて確認する事がスイッチにでもなっていたのか。

無造作に看板が引っこ抜けたかと思うと、アトラクションにしてはリアリティ満載の地響きが何の前触れもなく起こったではないか。



「後ろだっ!」

 

それによる、どん詰まり行き止まりの白い部屋の起こった変化に。

真っ先に気がついたのは殿をつとめる形となっていた理くんだった。


倣う形でみんなして振り返ると、入口であったはずの場所に、アーチ状の通路ができているのが分かって。



「外……スタート地点に戻るってわけじゃないよな?」


位置として考えれば、ユーキの言う通りなのだが、先程までの入口とは明らかに様相が違っている。

極めつけは正面に立っているはずなのに、そのアーチの向こうが見えないところだろう。

 


恐らく、入った瞬間ここの異世の力で、別の所へ飛ばされる仕様なのだろう。


それならばこそ、先行しているはずの同級生たちが見当たらないのも説明がついて……。




     (第50話につづく)







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