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初恋は激痛と共に

作者: 富田雄也
掲載日:2018/04/17

まず久しぶりの投稿で申し訳ないです。待っていてくださった方いれば本当に申し訳ない。しかも続編じゃ無く短編……


 僕の名は野比理又理のびりまたりどこに出もいる平凡な男子高校生。容姿は下の上、体格は大柄で筋肉質。道行く人の目を引き、道を譲られる存在。

 もちろん入れ墨や威嚇をしている訳ではない、それでも体の大きさゆえに避けられる人生を送ってきた。そんなおり、電車での一幕。

 少女と男性が言い争っていた、その周囲を避けるようにぽっかりと空洞が出来ていた。どちらかと言うと満員に近い電車でのその空間は異様な呈そうを醸し出していた。

 誰もが見て見ぬふり、触らぬ神に祟りなしと素知らぬふりをする中、渦中の少女は男性にものすごい剣幕で何かを申している。

 内容までは分からなかった、揺れ動く電車に少なからず空いている距離。響言い争っていることは分かっても内容までは分からないそんな状況でも、ガタイの大きさから遠目でも事の成り行きを見て居た僕の目飛んできた光景は傍観を許す光景ではなかった。


 人ごみをかき分け渦中に駆けこむ。人ごみを縫うには適していない体だが、縫うのではなく押しのけると言う術を取ればいとも簡単に距離を縮めることが出来た。


「女の子に乱暴は良くないと思います」


 遠目で相手の男の顔が良く見れなかったが、間近で見るとかなり厳つい堅気の人間じゃないような男性だった。ついでに言うと、僕より大きいかもしれない見た目の人を見たのは初めてだ。


「あぁ?」


 僕の言葉に反応した彼はサングラスの奥からギラギラした視線を向けてきているのがなんとなく分かるすごみかたと、前傾姿勢で挑発しているのか、威嚇しているのか判別のつかない態度を取る。

 漫画やドラマにしか存在しないと思っていた種族。チンピラである。

 典型的というか、使い古されたというかそんなチンピラ風の男性はこちらに敵意を向ける中でも、先程言い争っていた少女の手をつかみ、話し手はいない。


「私を無視するな」


 小柄な少女がそう発し、意思表示をする。二人の大柄な男に挟まれ普通なら委縮するところだが彼女の言葉には、恐怖は感じられず、それどころが怒気が感じ取れる。


「お嬢ちゃんもう大丈夫だよ?」


「てめぇなに無視してんだ?」


「嬢ちゃん?」


 前傾姿勢のチンピラと同じ程度の背丈の少女にそう言うと、何が気に要らなかったのかさらに怒気を強めて今度は僕の方にも睨みを聞かせてくる。


「それよりおっさん手放せ」


 女の子なんだからもっとお淑やかちうか、綺麗な言葉遣いをしなよと内心思いつつ、未だに手をつかんでいるチンピラに視線を向ける。


「この子の手を話してください」


「あぁ?」


 彼とは話が通じないのかそれともチンピラに成りきり会話をなり立たせなくしているのか。どちらにしろ他人からいつまでも手を掴まれていい気をする人はいない。彼の手を無理やり引き離そうと手を伸ばしたら、それより先に拳が飛んで行った。


「おっさんさっさと手を放せ」


 飛んだのは拳だけではなく、暴言も同時に飛んでいき、彼女の発した言葉が彼の耳に着弾すると同時に彼女の手から放たれた拳は彼の顎に着弾する。


 物言わず崩れ落ちるチンピラと手を解放され機嫌が少し治った少女が目の前に立っている。

 この状況はどういうことだろう? 僕はこの少女が危険だと思い、この諍いを止めるために入ったつもりだった。がその実僕が入らなくてもなんとい事はなかった。

 彼女は何かしらの格闘技の経験があるのかな?

 目にもとまらぬと言えば大げさかもしれないが、普通の女子高生が放つには速度も力も、狙いも正確すぎる。

 顎を殴れば脳が揺れ……と言う話は色々な所で使われてる話であり、知って居る人は多いと思う、けど実際に行動に移したときその狙いをたがわず、狙い道理の現象が起こるかと言われれば、初心者なら不可能だろう。

 誰にでもできるのなら主人公が使う技としては色あせてしまう。


「邪魔したみたいでごめんね」


 大人を一発でのしてしまう程の場数を踏んでいる少女とのいざこざに立ち入ったことを反省しつつ、一言だけ残しその場を去ろうとする。


「ちょっとあんた」


 去ろうとする僕の意を無視し少女が声を放つ。怒気は感じられないが変わりに警戒心一層強くなった声音は後ろを振り返らず、そのまま雑踏の中に身を投げ込みたい衝動に駆られる。


「何ですか?」


 衝動に負けず振り返ったのは訳がある、人より頭一つ程抜けている僕が雑踏に身を投げたところで隠れることは不可能、後の苦労より軽減されると思われた策を取っただけのこと。

 面倒ごとには関わるものではないと本心から思う。


「あんたはなんで私を助けようとしてくれたんだ?」


 先歩ほどの騒ぎが収まったとはいえ、ぽっかりと空いた空間が埋まることは無かった。

 その空間を占拠しているような申し訳なさを感じつつ、彼女の言葉に対する答えを早口で答える。


「面倒ごとには関わりたくなかった、でも女の子が傷付くくらいならと思ったら身体が勝手に動いていた」


 彼女の行った行動は善行で共感できる部分もあったし、今言ったのも本心だ。


「私のピンチを狙ったヒーロー気取りってわけじゃないのね」


 タイミング的に確かに狙ったが、狙いが違う。狙ってしまったために全否定したところで客観的に抱かれる疑念は拭えない。


「どう言いつくろおうと君の主観を捻じ曲げることは出来ないから、僕の意思は重要じゃないと思うんだけど……」


 人の意思はそう簡単には覆せない、他人の意見に左右されるのはまれだ。


「確かにそうかもしれないけど、ねぇ」


「なんです?」


「何で私を直視しないの?」


 彼女の言葉に少し違和感を覚える。

 直視して居ないつもりはない、が高低差があるため下を見続けるのが辛いだけなのだ。それを直接語れば怒りの鉄拳が飛んできそうなため喉の奥にしまい込み別の言葉を並べる。


「君の美しさに見惚れてしまわないために目を合わせないんだよ?」


 適当すぎるいい訳を言った、正直選んだチョイスはどうかと思う。何ナンパしているんだと拳が飛んできてもおかしくない。それどころか先程の否定を消し去るような発言のため、言ってることがちぐはぐになって来る。

 どの道電車から降りればおさらばの縁だ。適当にはぐらかせればいい。


「あんた私の顔一度も見て無いよな?」


 なぜ分かった?


「あんたは男の方ばかり見て私のことを一度も見て居ない、それにいくら身長が高くても人ごみの中注視するのは憚れるし、距離があれば顔は見れない。それになり寄りあんたの着た方角から考えるに見えても高等部だろ?」


 彼女は腕だけではなく頭もたつのだろうか? 確かに見えていたのは後頭部だし、ここに来てからは男の方ばかり見ていた、と言うより彼女の事をを見るほどの余裕がなかった。


「……」


「私もあんたの顎ばかり見るのも何か変な気がする、下向けよ」


 恩人の顔を伺いたいなどという乙女心は無い。事実恩人でも何でもない、そんな思考が頭をよぎる。彼女の言動態度が何故か乙女と思えない。声音だけは可愛いのに惜しい。などと考えているうちに拳が飛んでくるのではと閃く。まさか先程の顎と言うのはいつでも叩きこめるぞと言う暗示なのでは? と


「分かったけど、ずっと君を見るとかは勘弁してくれよ?」


 彼女自身そんな事は求めていないだろうがなんとなく冗談交じりで呟き、彼女との対面を果たす。


 青く短い髪は肌の焼け具合とマッチし活発な少年を思わせ、青い瞳は釣り目も合わさり睨んでいなくてもケンカを売って居るように見え、その容姿に合わせるかのように雰囲気すらどこかギスギスして見えてくる。

 ただ普通に可愛いとはおもう。可愛いと思えるのは、醸し出しているもの、目に見える部分が作りものに見えるからではなく、ただ単に彼女の身長と声音故だ。

 容姿と相反する声は甘ったるいと言えば言いすぎだが、普通の少女が発するよりカワイイ。発される言葉は別だが。

 その上身長も高くはない。俺が高いからそう思うのかもしれないが、彼女が低いから余計高低差が出来ている。


「私のこと可愛いとか、ちっさいとか思ったんじゃねぇだろうな?」


 図星をつかれるが、彼女の態度から俺の表情とかで察したとかではなくただの経験則な気がする。


「いつも言われているの?」


 ばれていないのであれば、質問で軌道を変更する。このタイプはばれたら面倒な気がする。


「ああ」


 彼女の身長が大きければ話が違っただろうが、彼女の身長でいくらすごんでもすごみが足りない。

 今回もそれ故相手を調子に乗らせる結果となったのだ。


「それは何と言うか……」


「憐れむなよ!」


 別に憐れむつもりはない、と言うより彼女はお淑やかに乙女をすればいいと思う。

 憐みと言うより惜しいという感情の方が大きい。


「君は大人しく、しおらしくしていれば可愛いと思うのに」


 言った後に後悔する。こういったタイプは可愛いとか、綺麗とか言う褒め言葉に耐性がなかったり、嫌って居たりする節がある。

 嫌っている場合はいいが耐性がない場合は暴力と言う照れ隠しを行使される。飛んでくる拳に覚悟を決め目を閉じる。

 ……? 数秒待っても飛んでくることのない拳、恐る恐る閉じた瞼を開けるとそこにはプルプル震えなあら真っ赤にゆでられたたこさんがいた。


「……へ?」


 予想とは違う態度に虚をつかれ、零れた間抜けな声。

 俯き震える彼女は見た目と反しカワイイ。先程並べた御託とは別の可愛さが今目の前に広がっている。赤面し俯く少女にこれほどの可愛さがあるとは思いもよらなかった。


「やっぱり可愛いな」


 一度越えた山に対する注意が散漫になり二度目の呟き。ただ先程と同じく赤面するに止まるだろうと警戒することもなく慢心しているとそれは飛んできた。


「kh」


 溝内に走る激痛と口から吐きだされる空気の音を自覚する頃にはすでに遅く、その二つを自覚し数瞬後に自身の過ちと現状を理解する。

 一度目はただの照れ、二度目はキャパオーバーにより攻撃。二度程度の褒め言葉でキャパを越えるのは耐性低すぎないか? と言う疑問と、二度目の警戒を解いたところへの迎撃は、覚悟がなかったせいで意識まで持って行かれそうになる。

 こんなことなら一度目の方が覚悟があったためまだましだった。


「あぁ……」


 彼女は照れの末の行動とは言え危害を加えてこない相手に対する攻撃を申し訳なく思ったのか、取り乱す。


「だ、大丈夫。俺も悪いところがあったから気にしないで」


 これ以上追い打ちを与え、逆に被ダメを増やすのはしたくなかったのでそんなことを言う。正直振り絞った声にどこまでの説得力があるか分からない。芯まで響く彼女のパンチは気合があっても耐えるのがやっとの拳。

 これを無防備に食らった彼をいたわりたく思う気持ちを沈める。


「でも」


「いや本当に大丈夫だから」


 先ほどの赤面とは一変慌てふためく彼女に再度押し寄せる感情、ただ流石にこれ以上この言葉をつぶやけば次こそ意識を刈り取られると言う防波堤が立ち、何とか抑えることに成功するが。


「で、でも」


 情緒不安定なのか? と。客観的に見れば突込みを入れたくなる彼女の態度に防波堤は意味を成さず決壊する。


「あぁやっぱり可愛いな」


 つぶやいた言葉を最後に意識を刈り取られる。

 腹痛の痛みを感じることは無かったのが幸いだ。意識を刈り取られ目覚めた時には彼女の思いだけが残っていると思う。小さな出来事が人生初の恋を芽吹かせるとは思いもしなかった。しかも叶わないだけではなく、身体的苦労も伴う恋になるとは……。

 最後に言って置く、僕はエムではない!!

ヒロインの名前だしてないなぁ……忘れてたのじゃ無く続編の布石ですよ?

二人の関係がどう発展するのか楽しみです。というわけで続編は製作予定です。長編にするか短編での続編かは未定ですが。

二人の恋? 気になった方こうご期待! 


待っていてくださった方、新規の方関わらず楽しんでくれたなら嬉しく思います。

拙い文章、至らぬ点が多々あると思いますが時間を割いて最後まで読んでくださったそこのあなた、ありがとうございました。

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