表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/138

フルングニル星域会戦ー5

 今回の戦いは、勝てなくても痛み分け程度に終わらせればいいと、『連合』宇宙軍最高司令部は内密に判断している。

 理由は、本国からはるばる遠征してきた『共和国』軍と、自国内で戦っている『連合』軍では許容できる損害の量が異なるからだ。  


 『連合』軍は近くの惑星の修理設備を幾らでも利用でき、自走ドックの工作艦D型まで擁している。対して『共和国』軍が損傷艦の修理を行うには、遠い本国まではるばる回航する必要がある。フルングニルに追加の兵力を送る場合も同様だ。

 つまり『共和国』軍にとって1隻1隻の損害が持つ意味は、『連合』軍にとってよりもずっと大きい。『連合』側は比較的容易に修理を終えた艦や新造艦をフルングニルに送れるのに対し、『共和国』側はそうでは無いからだ。

 

 『連合』宇宙軍が戦力的な劣勢を知りながらも今回の戦いに挑んだのも、1つにはこの前提があった。結果が痛み分けなら、実質的により多くの傷を受けるのは『共和国』宇宙軍の方だからだ。逆に言えば『連合』宇宙軍はとにかく負けなければ、戦略的勝利を獲得できる。



 そして今回の戦いを凌げば、『連合』軍にとっての戦略環境は大幅に好転する。『共和国』が再びこの規模の攻勢を実行するには、最低4カ月が必要と推測される。その4カ月の間に、『連合』軍は追加の5個艦隊を戦列に加えることが出来るのだ。

 これだけの戦力が加わればフルングニルの守りは盤石となり、スレイブニル奪還作戦も視野に入る。今回の戦争の焦点となっている中央航路において、『連合』軍が『共和国』軍を押しかえる準備が整うのだ。




 「中央航路を制する者は『連合』を制し、『連合』を制する者は世界を制する… か」


 グアハルドは戦況を確認しながら、長らく語り継がれてきた地政学上の箴言を口に出してみた。中央航路以外の航路の開拓や、『連合』の国力の相対的縮小等により、やや時代遅れとされる言葉だが、未だにかなりの説得力を持っている。

 

 先の内戦でも、惑星イピリアその他を目標とする第一弾作戦を終えた新政府軍は、第二弾作戦として惑星フルングニル、惑星スレイブニル、及び両惑星に隣接する惑星カトブレパスを占領した。

 これによって中央航路の一部を手に入れたことが、新政府軍の勝因の一つとなったのだ。

 この戦争でもそうだ。もし『共和国』が中央航路を獲得すれば同国は『連合』に代わり、新たな超大国となる資格を得る。それを防ぐため、今グアハルド達は戦っているのだ。



 「真にその通りです。来たるべき国土奪還のため、中央航路は絶対に保持しなければなりません」

 「『国土奪還』、か」


 独り言のつもりだったが、ビドー参謀長は真剣な口調で応えてきた。それを聞いたグアハルドは少し言葉に詰まった。


 現在の『連合』において、「国土奪還」という言葉は2つの意味で使われている。1つ目は現在『共和国』その他によって占領されている領土を奪回し、戦前の国土を取り戻すことだ。

 ちなみに『連合』政府が現在、公式に掲げている戦争目標はこちらの、開戦後に失った領土を取り返すという意味の国土奪還である。『連合』人全員が同意できそうな目標はこれしかないからでもあるが、それ以上に外交上の理由が大きかった。


 現在の『連合』は世界で唯一の救世教国家であり、下手をすれば周りの非救世教国家に袋叩きにされる。それを防ぐには、自らが旧領回復以上の野心を持っていないことを他国に訴える必要があるのだ。

 そのため新政府は対内的にはともかく対外的には、救世教革命の輸出を匂わせるような発表を一切行っていないし、国外の救世教途への援助も行っていない。

 自らが無害な存在であると他国に示し、『共和国』側に立っての参戦を思いとどまらせる。これが外交における、新政府の基本方針だった。



 しかし比較的穏健な前者に加えて、「国土奪還」という言葉にはもう1つの、より過激な意味がある。

 

 居住する救世教徒或いは平民階級全般が、財閥を中心とする政府からの解放を求めている惑星は全て、『連合』の正当な領土と見做されるべきである。それが「国土奪還」の2つ目の意味だ。


 救世教徒や平民主義者の中でもタカ派に属する人々しか使わない用法だが、実は新政府の国是からすれば、ごく論理的でもある。

 

 『連合』新政府は内部に向けて、自らは「貧者と被抑圧者の祖国」であり、「地球時代の救世教政権の後継国家」であると称している。

 表面的な意味は、新政府が旧政府とは違って人口の99%を占める平民階級の利益を重視する国で、また旧政府より歴史が古いということに過ぎない。


 しかし別の解釈も出来る。救世教徒や平民が迫害を受けている場合、それが歴史的な『連合』領に属さない惑星のことであっても介入する権利と義務が、新『連合』にはあるという意味だ。

 新『連合』が『連合』人を代表する国ではなく、救世教徒や平民階級を代表とする国だとすれば、当然『連合』人以外の集団の中に含まれる平民や救世教徒に対しても責任を負うことになるからだ。



 その論理的帰結は当然、平民や救世教徒が圧政に苦しんでいる惑星は全て、『連合』が統治すべきだということになるだろう。つまり「奪還」されるべき領土は、歴史的な『連合』領より格段に広くなる。




 そしてビドーは恐らく後者の意味で「国土奪還」という言葉を使ったと、グアハルドは直感していた。 ビドーという人物は一見理知的だが、敬虔な救世教徒でもある。その最終目標は『連合』の国土回復だけでなく、救世教徒が最大党派を占める惑星全てを統一することであるはずだ。



 自分はどうなのだろう。次にグアハルドは思った。『連合』の領土が『連合』公用語を母語とする地域を超えて広がるのは、『連合』軍人として歓迎すべきことなのか。それとも警戒すべきことなのか。

 そこまで考えた後、グアハルドは苦笑した。今の『連合』軍は後者は無論、前者の意味での国土奪還も達成できていない。

 歴史的な領土だったスレイブニルを始めとする惑星群が『共和国』及びその属国の占領下にあり、今のところ奪回の目途も立っていない状態だ。




 (なればこそ、ここで『共和国』軍を食い止めなければならない)


 次にグアハルドは改めて決意した。少なくとも前者の意味における「国土奪還」、『共和国』に奪われた旧領の奪還を成功させなければ、旧政府を裏切ってまで救世教徒に協力した意味がない。

 そのための第一歩はこのフルングニルで『共和国』軍を撃退し、彼らがこれ以上『連合』領に踏み込んでこないようにすることだ。



 「うん?」


 そう決意しながら各艦隊に指示を出していたグアハルドは、不意にあることに気付いた。

 各宙域における交戦の数と規模が小さくなりつつある。こちらは今まで通りの行動を続けているから、原因は『共和国』側の行動にあるとしか思えない。



 「撤退? いや待て」


 グアハルドは無意識に声を出した。交戦頻度が縮小しているということは、『共和国』軍が現在『連合』軍との戦闘を避けているということだ。

 『連合』軍航空優勢下での戦いを嫌って撤退しようとしているためとも考えられるが、グアハルドはすぐにその仮説を却下した。


 この戦争において時間が『連合』軍の味方であることは、彼らも承知しているはずだ。

 互いの人口と工業設備の数は、これまで占領されたり破壊された分、更には『共和国』の属国の存在を考慮に入れても『連合』優位。つまり『連合』軍は『共和国』軍より大幅に早く、戦力を回復できる。

 『共和国』側が戦争に勝つには、一時的に戦力比が逆転している今のうちに勝負をつけるしかない。双方とも大した被害を受けていないこの段階で、膨大な前準備が必要な侵攻作戦を投げ出すとは思えなかった。



 そして何より、現在の『共和国』軍の動きはファブニル星域会戦の忌まわしい記憶を嫌でも思い出させるものだった。

 

 あの時彼らは2つに分かれていた『連合』軍のうち、グアハルドが指揮する1隊を集中攻撃してきた。『連合』側の連携の悪さを利用して各艦隊をいったん後退させた後、全軍を1か所に集中させての大攻勢をかけてきたのだ。

 この攻撃によってグアハルドが指揮していた隊は壊滅し、その後の攻撃でウィリアムソン大将が指揮していた隊もまた大打撃を受けた。


 『共和国』軍はその再現を狙っているのではないか。交戦によって『連合』軍各艦隊の配置を掴んだ後にいったん後退し、一部に戦力を集中して再戦を挑む。

 機動戦を好む彼らの戦術思想、及び過去に勝利した戦いを再現したがる軍人の性向からして、十分にあり得そうなことだった。



 「偵察機隊に敵の正確な位置を送信させろ!」


 グアハルドは急いで命令した。『共和国』側の狙いがファブニルの再現であるなら、対策のために必要なのは何よりも情報だ。いったん後退して戦力を集中した敵がどこを狙って押し寄せてくるのか。それを早期に掴めるかで勝敗が決まる。

 幸い、情報戦において重要となる航空優勢はこちらが握っている。すぐに『共和国』側が狙う位置を突き止めることが出来るはずだった。



 


 しかしグアハルドは次第に困惑し始めた。各偵察機からの報告によれば、『共和国』軍はファブニルの時のような集中を行っていない。ただ隊列を再編しているだけだというのだ。


 「取り敢えず、こちらも隊列を再編する」


 グアハルドは『共和国』軍の行動に戸惑いながら命じた。相手が戦闘中に隊列再編を開始した場合、こちらが取るべき行動は2つある。

 1つめはその隙を衝いての攻撃、もう1つは相手が攻撃してこないことを利用してこちらも隊列を再編することだ。



 前者の方がより一般的だが、グアハルドは後者の安全策を取ることにした。

 機動性に勝る『共和国』軍相手に主導権を握ろうと試みた結果、現在の『連合』軍の隊列はかなり拡散した状態にある。『共和国』軍の隊列再編は、そこを衝くのを目的としているのかもしれないと危惧したのだ。

 戦力に余裕があるならそれでも積極策を取ったかもしれないが、第一統合艦隊の戦力は相手の『共和国』軍より200隻ほど少ない。危険な賭けはすべきではないと判断した。






 「偵察機より入電。『共和国』軍、再接近を開始しました」

 「やはり仕掛けてきたか。しかし何故、戦力を集中しなかった?」


 数分後、敵が再戦を挑んできたという報告を受け、グアハルドは首を傾げた。

 偵察機からの情報を信じるなら、ファブニルの時と違い、『共和国』軍はこちらの1隊を狙うという戦術を取っていない。1個艦隊で1個艦隊を襲い、最後の1個艦隊を予備として後置している。

 ある意味正々堂々とした戦い方だが、逆に言えばあまりに芸がない。あの『共和国』軍がやることとは思えなかった。




 グアハルドの困惑を余所に、いったんは小康状態になっていた戦闘が再開され始めたという報告が各艦隊から来る。グアハルドは正面モニターを見据えた。相も変わらず膨大な数の光の筋が遠方で交差し、たまに巨大な爆発が発生している。


 不意に、モニターの端を青白い影のようなものが横切っていった。影はすぐに針路を変え、軽やかに飛び去っていく。


 「敵機発見、どうやら偵察機のようです!」

 「防空隊は何をしていた? 何のための新鋭機だ?」


 影の正体を伝える報告に対し、ビドーが苛立ったような声を上げた。

 グアハルドたちが座乗する旗艦サンカラーニは、『連合』軍隊列の後方に位置している。そこに敵偵察機の侵入を許すなど、新鋭機バラグーダを擁する防空隊にあるまじき失態だった。


 「防空隊によれば、敵機が速すぎて追いつけなかったということです」


 索敵科員が弁解するように応えた。防空隊の報告によれば、現在『連合』軍の各艦隊に対して、識別リストに無い敵機が少数飛来してきている。

 その機体は無武装で運動性能もそれほどでは無いが、非常に加速性能が高く、バラグーダでも追いつけないのだという。



 「『ゴースト』、か。実在したとはな」


 ビドーが納得したように呟いた。「ゴースト」とは、軍内で以前から出現が噂されていた『共和国』軍の高性能偵察機だ。

 ただ『連合』軍上層部は、「ゴースト」の存在に対して半信半疑の態度を取っていた。その機体に関する情報の大半は、「レーダーに映らない」、「あまりに速いので攻撃が当たらない」といった荒唐無稽な噂話で、未熟な兵が自らの索敵ミスに気付かず、ありふれた機体を新鋭機と見誤ったものだと思われたからだ。


 しかし一方で、それなりに信憑性のある情報も中にはあった。

 例えば、『共和国』軍の本格的な侵攻が始まる前に、スレイブニルやフルングニルには何度も敵偵察機が飛来している。その中には、明らかにPA-25やRE-26とは違う高速機が混ざっていたと、空母部隊から報告があったのだ。

 ケネス・ハミルトン中将を始めとする航空戦のベテランが直々に送ってきたことから、報告はそれなりに信頼できるものと考えられた。




 そして今、「ゴースト」は確かにその姿を見せた。兵たちの噂話にあったような突拍子もない能力は持たないにせよ、バラグーダを振り切れるほどの高性能機として。


 「防空隊を増強しろ。航空機による対艦攻撃の恐れがある」


 グアハルドは素早く命じた。「ゴースト」が対艦攻撃の能力を持つかは不明だが、持たないという保証もない。

 ここまで押され気味だった『共和国』軍は、新鋭機による攻撃で一発逆転を狙っているという可能性がある。



 「それは消極的に過ぎませんか? むしろこちらが航空攻撃をかけて敵空母を叩き潰すべきでは?」


 航空参謀のベルトランド・パレルモ少将が反対意見を出した。パレルモはかつて、ハミルトンが指揮する第一航空打撃群の参謀長を務めており、オルトロス星域会戦においては緒戦の大規模航空攻撃の計画立案に携わった人物だ。

 そのパレルモの目には、防御に徹するという姿勢は消極的に過ぎると映ったのだろう。


 「いや、やはり防御を優先する。航空攻撃に戦闘機を回せば、偵察機の護衛が足りなくなり、情報面で不利になりかねない」

 「スキップジャックは後方に下げ、バラグーダを偵察に使えばいいでしょう。あの機体なら、単独で敵戦闘機の妨害を排除しながら偵察を実行できます」


 グアハルドが提示した懸念材料に対し、パレルモが再反論を行った。『連合』軍新鋭機バラグーダは戦闘と攻撃を行えるのはもちろん、偵察機としてもそれなりの性能を持つ。

 専任の偵察機であるスキップジャックには及ばないが、敵の大体の動きを探る程度なら十分に可能だ。


 「バラグーダは貴重な戦力だ。それを引き抜けば航空戦に支障が出る」


 パレルモの提案に対し、グアハルドは懸念材料を提示した。現在『連合』側が航空戦において優位にあるのは、バラグーダの活躍によるものだ。

 それを偵察に回せば、空戦の潮目が『共和国』側に傾くかもしれない。


 「ですから、その前に敵空母を攻撃して発着艦不能にすれば良いのです。そうすれば航空優勢は自動的に我々の手の中に転がってきます」

 「その戦術はオルトロスで試され、失敗している。敵空母全ての所在を掴んでいる訳でも無い以上、今度は成功すると考えるのは虫が良すぎる」



 「『共和国』軍、急に増速しました。殆ど最大戦速で向かってきています!」


 だが2人の議論は、戦闘指揮所に飛び込んできた報告によって強制終了させられた。これまでどちらかと言えば慎重な戦いぶりを見せていた『共和国』軍が、いきなり全面的な戦闘を挑んできたというのだ。


 「速戦で決着を付ける気か」


 グアハルドはモニターを確認しながら呟いた。


















 『共和国』宇宙軍第1艦隊群旗艦アストライオスは、急速に前進する全軍を指揮すべく、自らも猛牛を思わせる勢いで突進していた。無論周囲には護衛のための部隊を侍らせているが、それでも艦隊群旗艦の行動としては前代未聞だ。


 アストライオスだけではない。『共和国』軍第1艦隊群全体が『連合』軍目がけて突進している。その様子を遠景すれば、流星群が別の流星群目がけて突っ込んでいるように見えたかもしれない。


 (吉と出るか、凶と出るか)


 ディートハルト・ベルツ大将はいかにも司令官然として前方を見据えながらも、内心では不安と焦燥が入り混じったような感情を覚えていた。

 本当にこれで良かったのかという思いと、敗戦を免れるためにはこれしかないと言う思いが胸中を交錯している。



 航空優勢を確保できないという問題への解決策としてコリンズが提案し、ベルツが最終的に採択した案は、『共和国』宇宙軍の新戦術である重層同時打撃によって早期に決着を付けるというものだった。


 時間が経てば経つほど、状況は『共和国』側にとって不利になる。こうしている間にも、『連合』軍の航空機が完全に戦場を制圧し、対艦攻撃機を繰り出してくるかもしれない。

 そうならないうちに、新戦術で片を付けるべきだとコリンズは提案したのだ。



 ベルツは最初、コリンズの案は自暴自棄に過ぎると感じた。

 重層同時打撃は本来、味方航空優勢下で実行すべき攻撃法だ。この戦術の実行には敵の位置についての正確な情報が不可欠であり、その情報が誤っていれば大惨事に繋がる可能性があるからだ。


 そして今、『共和国』軍の偵察機は自由に行動できない状態にあり、情報面では明らかに敵に後れを取っている。その状態で重層同時打撃を試みるなど、正気の沙汰とは思えなかった。



 ベルツ及び他の幕僚陣の反対を受けたコリンズは、「隠し玉」を使えばいいと主張した。

 第1艦隊群所属の空母には、1隻に付きたった4機ではあるが新鋭偵察機RE-27が搭載されている。偵察機でありながら従来の戦闘機を上回る推力質量比を持つRE-27なら、敵の航空優勢下でも偵察活動を行えるというのだ。

 そして偵察機さえ行動できれば、航空優勢の有無による情報面での差は無効にでき、重層同時打撃の条件は整う。

 



 僅かな実戦テストしか行われていない新鋭機を信用して、未だ実戦で使われていない戦術を試すのは博打であると、コリンズも認めた。

 しかし彼は同時に、『共和国』側がこの戦いに勝つにはそれしかないとも述べた。

 この戦いは『共和国』側にとって、負けてはならないだけでなく勝たなければならない戦いだ。ならば賭けに出るのもやむを得ないことだというのだ。

 

 言われたベルツは覚悟を決めた。RE-27はテストでは良好な実績を出している機体だし、重層同時打撃も演習では成功している。賭けではあるが、こちらにとって分はそう悪くないと判断したのだ。

 



 今の所、2つの不安要素のうち1つは杞憂に終わったことが確認された。RE-27は初の大規模戦闘でも十分な性能を発揮し、敵戦闘機の攻撃を掻い潜って情報を送ってきている。

 後はもう1つ、重層同時打撃が実戦で機能するかだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ