緑旗ー8
惑星ズラトロク軌道上において、リコリスたちの困惑を無視して、ビドー少将は勧誘を続けた。
「我々はいずれ、人類世界の支配者となります。勝ち馬に乗るのは自然な事だと思いませんか?」
「誇大妄想は身を滅ぼす元ですよ。あなた方が人類世界を支配する事になる可能性はありますが、それは未だに可能性の話です」
リコリスは素っ気なく拒絶したが、ビドーは意外なほどに執拗だった。
「真剣に考えていただけませんか? 我々の指導者は、貴方を高く買っております。すぐさま艦隊司令官にして差し上げる事も出来ますし、やがては幾つかの惑星群の指導者にも」
「何故そこまで、小官に執着するのですか? 小官は滅び去った国の孤児に過ぎません。惑星群指導者になり得るような家系の血など、一滴も引いていないはずです」
リコリスは幾らか呆れたように言った。有人惑星、もしくは近くにある複数の有人惑星を束ねた惑星群という行政単位の指導者は、多世代宇宙船時代の船主一族の末裔でないとなれないというのが不文律だ。
オルレアンの乗員でいえばアリシア・スミス飛行曹長とエルシー・サンドフォード飛行兵曹が、血は薄いが一応は該当する。スミス家とサンドフォード家は、どちらも船主一族の血統が入っているからだ。
中央集権化が進んだ『共和国』では惑星群指導者の権威が低下し、この不文律も幾分色褪せているが、それでも各惑星群の指導者は未だに船主一族の末裔ばかりだ。
ましてやビドーの祖国である『連合』は中央集権化が完了しておらず、船主一族の権威が強い。無関係の家系に属する人間が、惑星群指導者になれるはずがない。リコリスはそう指摘した。
「現状で我々が勝つ可能性を予測するとは流石、『共和国』が誇る英雄でいらっしゃいますね。その後の言葉には、いささか落胆を禁じ得ないですが」
不意にモニターに現れたもう1人が口を挟んだ。『共和国』の船外作業服を身に着け、ヘルメットだけを外している。
その顔を見たリーズは、ビドーやグアハルドと対面した時の比ではない巨大な衝撃を感じた。輝くような銀白色の髪に紅い瞳。それに作り物じみた美貌は絶対に忘れようが無い。リーズは無意識に声を上げてしまった。
「な、何故… 閣下が」
「おや、私の顔を憶えて頂いたようですね。光栄です」
新たにドニエプル級戦艦の戦闘指揮所に現れた人物、『共和国』内務副局長は静かにそう言った。だが全てを見通すような紅い瞳は、リコリスの方に向けられていた。
続いて彼女は、立場上絶対に有り得ないはずの質問をリコリスに投げつけた。
「率直に申し上げましょう。貴方には一国の最高指導者になる資格があります。このような国の為に一介の軍人を続けるより、相応しい場所があるはずです」
「…小官を逮捕するための誘導尋問としては、いささかお粗末ではありませんか? 閣下」
同じく驚愕で崩れ落ちそうになりながら辛うじてそう言ったらしいリコリスに、内務副局長は前に会った時と同じ、不可解な微笑を浮かべた。
「やはり私は信用できませんか?」
「軍人が内務局を信用できるとでも?」
リコリスは吐き捨てた。内務局は宇宙軍が属する国防局より立場が上で、それ故に作戦に干渉しては宇宙軍や地上軍に忌み嫌われている。
だがリコリスの反発は、そんな一般論とは違った部分にあるらしい事が、内務副局長の回答から伺えた。
「彼女の事でしたら、全くもって不本意でした。私の職責では、貴方を強制収容所から救うので精いっぱいだったのですよ」
「ご自分の権力について、随分とご謙遜なさる事ですね」
「あの時の私は所詮、政務局にとっての道具に過ぎませんでした」
内務副局長は、穏やかにそう言った。続いて彼女は、どこか芝居がかった口調で言葉を続けた。
「もっとも、今の私は違います。貴方が望むものを、私は与える事ができます」
「…そして、奪う事も出来ると仰りたいのですか? 何ならこの場で小官を逮捕なさればよろしいでしょう」
「艦長、やめて下さい!!」
リコリスの挑発的な物言いにぞっとしたリーズは、慌てて彼女を取り押さえてその口を塞いだ。もっと抵抗するかと思ったが、リコリスはすぐに大人しくなった。
「安心なさって下さい。私には、貴方の上官を傷つけるつもりはありませんから」
内務副局長は穏やかな口調でリーズに話しかけた。
「また、お会いしたいものですね」
「は、はあ?」
紅い双眸に見据えられながら、リーズは催眠術にかかったように頷いた。
「本当に、あなた方とは仲良くしたいのですよ。私は」
内務副局長はどこか寂し気に笑うと、すぐに通信を切った。彼女はそのまま、ドニエプル級戦艦から降りて来なかった。
「何故あの時、内務副局長を乗せた戦艦を撃沈しなかったのか?」、惑星ズラトロクを発ったオルレアンが修理と整備のために惑星ユルルングルに立ち寄った後、リコリスやリーズは殺気立った内務局直轄軍の人員にそう詰問された。
内務副局長は規定以上の工作資金と内務局が管理していた重要資料を持ち出しており、既に政務局が逮捕を命じているという。
もっとも、オルレアン幹部乗組員の軟禁はすぐに解かれた。惑星ズラトロクにおける内務局の活動についての情報は出航時点で全く与えられておらず、内務副局長の行動が合法か違法かを、宇宙軍が知る事は不可能だった。疑り深い内務局直轄軍ですらそれを認めた。
ソロン市の郊外では戦いの決着を示す光景が見え始めていた。青みがかった灰色に塗られた巨大な構造物が、何百という規模で地上に降下している。反乱側の地上軍を載せた大気往還艇である。
時折地上から放たれる砲火がそのうち1隻を撃墜するが、攻撃を行った戦車や自走砲はすぐさま、宙兵からの通報を受けて破壊される。
兵士の代わりに砲を搭載した大気往還艇や、宇宙空間の揚陸艦は、脅威になりそうな大型兵器を発見したと宙兵が報告するや否や、その場所に砲爆撃を行って徹底的な破壊を行っていた。
大気往還艇から出てきた地上軍工兵隊は、宇宙空間から降ろされた太いケーブルの周りに集合し、周囲の整地とそこから延びる道路の建設を開始する。組織的抵抗を行う力を喪失した政府軍には、作業を押しとどめる力は無かった。
正確に言うと無力化されたのはソロン市に存在する方面軍司令部とその直属部隊だけだが、それで十分だった。
通信施設を救世教徒が爆破し、軍事衛星を艦隊が破壊した影響で、イピリア方面軍では指揮権の引継ぎが不可能になっている。これでは戦力を統一して運用する事は不可能だった。
しかも各指揮官が自己判断で反撃を行うのも困難だ。
他の部隊の駐屯地からソロン市に繋がる交通網の要所には宙兵が降下して占領し、強固な防御陣地を築いている。生半可な戦力でこれを突破しようとしても、大損害を受けて失敗するだけだ。
政府軍側が形勢を逆転させる手段は、今やただ一つしか残っていなかった。
駐屯地の片隅、たいていの軍人はおろかイピリア星庁の議員すら存在を知らされていない地下施設に、イピリア方面軍司令官のアージェンス大将と幕僚たちは逃げ込んでいる。そしてその施設には、政府軍にとっての切り札が眠っていた。
「占領を防ぐ為には、核兵器を使用するしか無い」
アージェンスはモニターに映る無機質な黒い塊を眺めながらそう宣言した。幕僚の多くは顔を引き攣らせている。
確実な死への恐怖なのか、『大内戦』以来初めて、『連合』の領土内で核兵器を使用する事に対する躊躇なのかは不明だった。
ソロン市駐屯地の地下には、戦術核弾頭と戦略核弾頭を合わせて400発の核兵器及び、運搬手段のミサイルが備蓄されている。
神経系と血管系を切断されて動けなくなった政府軍にとって、惑星イピリアのいかなる地点にも発射可能なこれら核兵器は、ただ一つの有効な反撃手段だった。
戦略核兵器を使えば、我が物顔で駐屯地を徘徊している反乱軍を、ソロン市にいる救世教徒諸共吹き飛ばす事が可能だ。交通の要所を占領した宙兵部隊に対しては戦術核兵器を使用すればいい。
「リントヴルムの最高議会に対する義理を果たすなら、我々は核兵器を使用すべきだ。反乱軍がこの星の資源を使用する事を防ぐために」
アージェンスは自らと幕僚たちに言い聞かせるようにそう呟いた。
核兵器を使えば、戦況を振り出しに戻す事が可能だ。戦略上の主導権が反乱軍側にあるのは変わらないが、宙兵と物資を大量に喪失させれば、敵の第二次降下作戦が行われるにしても時間を稼げる。
反乱軍が予想より多くの予備兵力を持ち、速やかに再降下を開始出来るとしても、核攻撃の有効性は変わらない。首都と交通の要所を破壊してしまえば、惑星イピリアの工業生産力は著しく低下し、長期間にわたって大規模な艦隊の出撃拠点として適さなくなる。
反乱側根拠地である辺境惑星から、政府軍首都惑星リントヴルムを攻撃するための最適な中継地がイピリアである事を考えれば、これは反乱側にとってほぼ致命的な打撃になるだろう。
(私が『大内戦』後に核兵器を使用した最初の『連合』軍人になるのか。軍に仕官した時は考えても見なかったが)
アージェンスは低い声で呟いた。恐らくどちらが勝っても、自分の名はイピリアの住民に怨嗟とともに語られる事になるだろう。これまでの内戦による被害の合計を上回る数の死者を生み出し、環境と産業基盤を荒廃させる事になるのだから。
だがやるしかない。可能な限りの手段を使って、敵軍の意図を阻止する事が軍人の義務だ。例え敵が同じ『連合』人であっても、この原則は適用されなくてはならなかった。
「戦略砲兵隊、敵軍の集結地に対して無差別攻撃を実施せよ」
イピリア方面軍幹部たちの表情が更に歪んだが、アージェンスは動じなかった。彼らを無視してモニターに暗証番号を撃ちこみ、核兵器を管理する戦略砲兵に命令を出す。
命令から数十秒で、核攻撃は実行される筈だった。
救世教徒と国家保安隊の激戦が行われているソロン市中央広場から何とか脱出に成功した市民たちは、付近の建物の出来るだけ内部に避難していた。
ソロン市星庁に籠る国家保安隊は、建物を包囲している救世教徒と激戦を繰り広げている。両者は小銃や短機関銃に止まらず、既に重機関銃や迫撃砲、対戦車ミサイルまで持ち出していた。
最初の撃ち合いの後、重火器を積んだ救世教徒のトラックが到着し、国家保安隊もそれに対抗して、スラム街の手入れに使う大型兵器を持ち出している。砲弾やロケット弾の飛翔音と爆発音、装甲ブルドーザーの駆動系が発する金属音などは、建物の内部にいても聞こえてきた。
たまに市民が避難したビルに砲弾が直撃して外壁を吹き飛ばし、このままビルが倒壊するのではないかという恐怖を彼らに与えている。特に多くの市民が逃げ込んだビルでは、なるべく中央に逃れようとする争いの中で圧死者が発生していた。
もっと遠くの建物に逃げようと、危険を冒して外に出た者は、流れ弾に当たったり次から次にやってくる救世教徒のトラックに轢き潰されたりしている。彼らのトラックは窓の大部分に防弾用の鉄板が張られており、路上に人間がいるかを確認する事が出来なかったのだ。
なお実は戦闘の巻き添えを食わないための最善の方法は地下街に避難する事だったのだが、それを実行した者は非常に少なかった。地下に毒ガスを注入される事を恐れたのだ。
『大内戦』の末期において、『連合』政府軍は地下陣地に立て籠もってしぶとく抵抗する救世教軍に対して、しばしば生物・化学兵器を使用した。
蜘蛛の巣状に張り巡らされたこの手の陣地では、出入り口を一つ見つけてそこから突入しても、主力は他の出入り口から脱出してしまう事が多い。複数の出入り口から部隊を突入させて逃げ道をふさぐと、救世教徒は陣地を自爆させて政府軍兵士を道連れにする。
救世教軍兵士は「神敵」との融和を禁じる戒律、及び『連合』政府軍が捕虜を虐待していたせいで、文字通り死ぬまで戦い続け、政府軍を辟易させていた。
既に趨勢が決まっている戦いでダラダラと続く損害に嫌気が差した政府軍は、次第に兵士では無く毒や微生物に頼って戦うようになった。まず特殊部隊が秘密裏に陣地の出入り口を発見し、そこからガスや病気のネズミを送り込むのだ。
ガスがめくり巡って人口密集地に噴き出したり、ネズミが外に出て病気をばら撒いたりといった付随的損害は、当時の『連合』最高指導者の名言、「既に150億人死んだのだ。追加で50億人死んだからと言って涙するに値しない」によって正当化された。
そんな歴史を少しでも知っている者は、幾らその方が安全そうに見えても、逃げ場のない地下には逃げ込もうとしなかった。救世教徒が負けて地下に逃げ込めば、国家保安隊がガスを注入しかねない。市民たちはそう思っていた。
もちろん逆の場合も同じである。救世教徒は10年前、トンネルを掘ってイピリア星庁に侵入し、地下の会議室にペスト菌を保有した蚤をばら撒いて行った事がある。この攻撃で議員が20人ほど死亡し、周囲の人間は残らず予防接種を受けさせられる事になった。
人的被害の規模でいえばその1年前の爆弾テロの方が大きかったのだが、被害者の多くが高官だった事と、何より救世教徒が坑道戦と生物戦の能力を回復させた事が、政府と市民を震撼させたものだ。
救世教徒も『連合』政府も、そうする事が利益になると思えば躊躇なくNBC兵器を使う。戦火から身を守るためにはとても有効な歴史の教訓だったが、今回はそれが仇となった。
結果だけを述べれば、交戦していた両者は生物兵器や化学兵器を持ってさえいなかったのに、市民は地下街への避難を拒んで過密状態のビルに逃げ込み、一部が圧死・酸欠死してしまった。『大内戦』における生物・化学戦及び戦術核の撃ち合いに比べれば、民間人の死傷者は無きに等しかったのは確かだが。
電線が砲弾で切断されたために空調システムが停止したビルの中では、酸素を求めようとする荒い呼吸音と酷く発汗した夥しい人間の体が発する異臭が濃密に漂っている。
稼働している機器はほとんど効果のない非常灯のみで、人々は耐え難いほどの高温と湿度が支配する暗闇の中、ビルの外壁に砲弾が直撃する音に耳を澄ませるしかなかった。
やがて軍の駐屯地や市の中央部から聞こえていた爆発音や銃声が消えた。市民たちは恐る恐る建物から出て、街の様子を確認しようとした。
まず彼らが気づいたのは、大規模な戦闘が行われたにしては破壊の跡が少ないことだった。一部の窓は銃弾や爆撃の衝撃波で割れていたが、中央部を除いて瓦礫と化した建物はほとんど無い。軌道上にいた艦隊は、市街地への爆撃を行わなかったのだ。
続いて彼らは市の中心部にある星庁や国家保安隊本部に掲げられた旗を確認しようとした。『連合』側が勝ったのなら、白地に紺色の星が入った旗が掲げられるはずだ。
市民たちは別に『連合』政府の統治を積極的に支持していた訳ではないが、それでも大多数は国家保安隊側の勝利を望んでいた。
少なくとも『連合』政府がやる事は予測がついたが、救世教徒が400年ぶりに有人惑星の支配権を握った場合、彼らが何を始めるかは想像がつかなかった。
どうせどちらにも慈悲深い振る舞いなど期待できないのだから、よく知っていて対処法が分かっている相手の方がいい。それが市民たちの偽らざる感想だった。
「何てことだ…」
市民たちは旗を見て口々に呻いた。『共和国』旗でも『連合』旗でもない。市内中心部を睥睨する2つの建造物に上がっているのは、緑色の地に3つの赤い三角形を組み合わせた旗、救世教の緑旗だった。
市民たちが恐怖した理由はまちまちだった。救世教統治が酷く野蛮なものになるのでは無いかと恐れた者もいれば、政府が救世教の支配下に入ったこの市を核攻撃するのではないかと危惧した者もいる。
それ以上に多いのは、絶対的な支配者とこれまで思っていた『連合』政府が市から追い出されたことに、根源的な不安を抱いた者たちだった。
一方で非常に元気のいい集団もいた。これまで信仰を心に秘めていた隠れ救世教徒たちである。彼らは動転する市民に地下出版で作られた救世教の聖典を配り歩いている。
市民たちはそれを受け取ると、読むか少なくとも読むふりをし始めた。
これまで禁書扱いされていた聖典を読めることに何がしかの開放感を得ている者もいれば、そうしなければ殺されるかもしれないと恐怖している者もいる。
後者の方が圧倒的な多数派だが、取りあえず市民が服従していることに救世教徒は満足しているようだった。
「何故、発射されない?」
アージェンスは呆けたように呟いた。命令を出してから1分以上経っているのに、核ミサイルは発射の兆候を見せなかった。
「ケーブルが切断されたのか、いや、そんな筈は?」
戦略砲兵は地下通路にミサイルを分散配置しており、司令部と各発射台は多重化された有線通信で結ばれている。
他の部隊とは異なり、敵の攻撃で通信施設が破壊されたために命令が届かないという事はあり得ないはずだ。アージェンスは強迫観念に取り付かれたように、通信状態を確認し始めた。
あるいはそこが、アージェンスの限界だったのかもしれない。彼はイピリア方面軍幹部の無能や腐敗には気づいていたが、少なくとも意図的な売国行為はしないものとみなしていた。
また最重要部隊である戦略砲兵は、例外的に優秀な人間が揃っているものと考えていた。訓練でもこの部隊だけは、非常に優れた即応能力を示したからだ。
だが能力的に上官の期待に叶っていることは、思想的に上官と一致する事を意味しない。有能であればあるほど、自分の意志で行動する傾向も強くなる。
当然といえば当然だが、アージェンスはその事を忘れていた。他の部隊はともかく少なくとも戦略砲兵は、自分と同じように最期まで『連合』政府への忠誠を保つと考えていたのだ。
混乱状態の司令部に、戦略砲兵隊からの通信が入った。現『連合』政府は戦争遂行にあたって頼むに足りないので、真の愛国者たる自分たちはこれより反乱軍側に付いて戦うという内容だった。
続いて司令部内に聞こえてきたのは多数の規則正しい音、戦略砲兵隊の連絡を受けて地下施設に侵入した反乱軍兵士が立てる足音だった…
このイピリアの戦いを以て、『連合』軍辺境部隊と救世教徒の合同軍が実施した第一弾作戦は終了した。これまでの戦いで合同軍は『連合』に所属する有人惑星の4割、住民の3割を確保し、最大規模の辺境国家に匹敵する力を獲得していた。
そして救世教の緑旗は今や、『連合』中心部に進もうとしていた。