第十六話 僕はおまえが好きだった。そして今でも好きなんだ。たとえ世界が木っ端微塵になったとしても、その残骸の破片から、恋の想いは炎となって燃え上がる。
ひととおり食事も済ませ、食後の茶を飲みながら、一息ついていると、真知子が少し残念そうな表情で話し出した。
「それにしても、インドのパビリオンは無かったね。私も、君が生まれた国がどんな風景なのか、知りたかったんだけどなぁ」
「直接インドに来たらいい。気に入るかどうかはわからないけどな」
「君が生まれた国なんだもん。きっと気に入るよ」
「……そうか」
「また何かの機会で、インドに行くことがあったら、その、案内してくれる?」
俺の顔色を窺うように尋ねる真知子に、俺は何も答えることが出来なかった。
祖国に真知子が居て、その隣に俺が居る。そんな光景を思い浮かべると非常に甘ったるい気分になった。
だが、それは叶いはしない。叶うはずも、ない。
俺は真知子から目を逸らす。期待に応えられない罪悪感が広がる。しかし真知子に断ることも、不可能だと言い出すことも、何故か出来なかった。
突然目をそらした俺に真知子が不安そうにしているのを感じ取り、急ぎ話題を変える。
前から気になっていたことを切り出す。
「真知子は、いつからリストと一緒に居るんだ?」
「え? リスト?」
「ああ。キャンパスの人間が、……知り合いから聞いたんだが、突然キャンパスに二人が現れて、いつのまにかJCCで二人過ごし始めたと。
日本で知り合って、交換留学か何かにリストに誘われてアメリカにやってきたのか?
やけに親密だが、まさか今更血縁だとか言い出しはしないだろ」
教師と学生、友人、親子、家族、ときに恋人の様な二人の関係は、初めからずっと見ていて不思議なものだった。最も二人は距離が近く、まるで二人で一つの様な、関係。
「血縁? それはないよ。だってリストと出逢ったのは、出逢ったのは……えっと、……えっ、と」
血縁関係ということに真知子はまさかと笑ってはいたが、そのあと、真知子は表情を失い、考え込み始めた。
リストと出逢った場所、それだけを聞いたのだがすんなりとした回答が返ってこない。今も、彼女は難しい顔で考え続けている。
様子がおかしい。
「あれ? ……おかしいな。私、……いつ、リストと、会ったんだっけ……」
本当にわからないといった表情をした真知子。
どういうことか、と尋ねようとした瞬間、レストランの電気が消え、暗闇になる。
停電かと思ったら、店員がやってきて、もうすぐ花火の時間なので、バルコニーで観覧してはどうかと声をかけられた。
そういえば、真知子もレストランのバルコニーで観覧出来ると言っていた。
俺は真知子が暗闇で転ばない様に手を取ると、真知子は俺を見上げた。
「花火、楽しみにしてただろう。ちゃんといい場所から見よう」
「……うん」
◆◆◆
「世界はひとつ」
国々のパビリオンが並ぶパークのテーマらしく、花火のショーもそれに基づいたものになっていた。パビリオンを周りに並べた中央の巨大な湖の真ん中で花火のショーは始まった。
壮大な音楽・轟音と共に、多くの花火が続々と打ち上げられる。
花火だけでなく、炎も使用した、派手だが、想像していたよりもはるかに芸術性の高いものだった。このショーのためにここまで来たというゲストも居るのではないだろうか。
大きく派手で花火が上がる度、周りで歓声が上がる。
ふと隣の真知子を見ると、何も言葉にすることなく、目の前の光景に彼女は見入っていた。綺麗な世界を、一秒たりとも取りこぼす無いように。
なんとなく、俺に意識を向けさせたくなった。
塀に置かれたその小さな手を覆うように手を乗せると、真知子はそれに気づいて俺の顔を見た。
しかし、すぐにはにかんだ様に笑って、花火を見上げた。
音楽も花火もクライマックスを迎え、約10分におけるナイトショーが終わりを告げようとしている。
◆◆◆
嫌だなあ。もうすぐ終わってしまうのか。
目の前できらきらと輝く花火、しっとりしたバラードが流れ始める。私が見たくてたまらなかったショーが、一日が幕を閉じようとしている。
夢の国もこれで終わってしまう。現実に戻らなければと、思う瞬間。
でも、私はまだ、リストとの約束を果たさないといけない。この舞台を用意してくれたリストの為にも、私の為にも。
最後の花火が終わり、エンディングのアナウンスと共に、パークも光を取り戻す。
観客は食事を再度再開するためにレストランの中に戻り、下で花火を見ていたゲストもそろそろいい時間なので、パークの出入り口へと戻っていく。
バルコニーには私達のみになった。
今しかない。
握られた手がふるふると震える。怖い。もし、気持ち悪いと言われたらどうしよう。
でも、でも、頑張ると決めたのだ。
「あの、私、君に実は言いたいことがあって」
言葉を続けようと口を開くと、カリムから電話の着信音が聞こえる。
拍子抜けし、身体から力が抜ける。
カリムはすまない、と言って、携帯を取り出しーー思えば、カリムが携帯を取り出すところは見たことがない。むしろ鳴ったところも初めて見たーー、いまだ鳴り止まない電話の着信相手を確認した。
しかし、その画面を見たカリムは難しい顔をした。
「……ちょっと出てくる。すぐに戻ってくるから、待っててくれないか」
「……? うん、私のことは気にしないで」
「すぐに戻るから」
カリムは繋いでいた手を離し、バルコニーの奥へと行ってしまった。
離れてしまった手を見つめる。まだ暖かい。なのにすこし、寂しかった。
◆◆◆
『ハァイ、カリム。久しぶりね。最近、アナタから電話が来ないから私からかけちゃったわ。元気?』
「……お久しぶりです。ゼタ。すいません、試験等で忙しくしていたもので」
『あら。私との結婚をパパに認めてもらう為に、努力してるのね。嬉しいわ。
ところで、カリム。今アナタ、どこで何をしているのかしら。キャンパスから随分と遠いところに居るみたいだけれど。
明らかに行動範囲の許可内に含まれてないところよねえ? フロリダのオーランド? ずいぶんと楽しそうなところねぇ?」
電話口の女は全て俺の行動を見抜いている。当然だ。王族共は俺の行動をGPSで確認出来る。
これは覚悟していた。おそらく警告の電話が来ることも。ただ予想よりも遅かった。それだけだ。
「申し訳ありません。所属しているクラブの行事の一環でしたので、断りきれませんでした」
『あっそ。まあいいわ。私はともかくパパがカンカンなの。代わっていい?』
「……はい」
あっさりと引いたゼタの声がいったん途切れる。少しの物音がしたあと、深いため息と共に、王者の声が低く耳に響き渡った。
『……さて、どういうつもりかね? 聞かせてもらおうか』
「報告を怠ってしまい申し訳ありませんでした。ヘイデン様」
『謝罪はいらん。時間の無駄だ。さっさと理由のみを話せ。わかっているとは思うが、虚偽は許さん』
この男は、臣下や僕、自身に仕えている者の裏切りや失態をこの上なく嫌い、そして許さない。
十分にわかっている。虚偽など通用する筈もない。
「俺は日本文化を学ぶクラブに所属しています」
『……くだらん国の、くだらんものに所属しおって、』
大きな舌打ちが耳をつく。
「そのクラブの行事の一環で、アメリカでは日本という国がどの様に認識されているのか。それを確認する手段がこのテーマパークにありましたので、顧問の教授の指示で俺は現在ここにいます」
『くだらん……くだらんくだらんくだらん。何という無駄なことを……』
「……」
『カリム。その行為が一体我らの家に何の効果をもたらすというのだ。何の役に立つ。無駄だ。いいか、私は無駄が嫌いだ。憎いとすら思える。
お前の役割を思い出せ。お前に金を出して大学に行かせてやった理由はなんだ。そんなことを学ばせるためじゃない。いいか、私は日本などという小国に目を向けてはいないのだよ。
アメリカだ。全ての金が溢れる程集まる、アメリカなんだ』
俺は目を閉じる。久しぶりに耳にする汚れた人間の声は、これ程までに汚らわしいものだったのか。
それとも、清廉とした世界に長く触れていたからだろうか。
目を開いて、俺を待つ真知子の後姿を目に入れる。
『……カリム。もういい、』
「……何がですか」
『今回のことで私は理解した。お前はもう、即刻、帰国しろ』
何を、言われたのか、一瞬わからなかった。
息を呑む。
「まだ、一年も経っていません」
『あとひとつ季節を過ぎるのみだろう。もう十分だ。今回のことはともかく、お前はキャンパスの学生として優秀な成績も収めた。
学長にほかの学生よりも一足先に卒業資格を与えてもらう様話もつけておいた。
お前には帰ってから王族として学んでもらうこともまだまだたくさんある。もう一般常識や基礎知識・学力はいい。
あとは私の役に立つための知識と腕を磨いてもらう。
そんな下らん活動に現を抜かしていると知れば、私もいつまでもお前も野に放っておくわけにはいかん。お前にはもっと王族になりうるという自覚も必要の様だからな」
「ヘイデン様、しかし俺は」
反論しようと思わず声を上げる。
すると、電話口の向こうがすっと冷えたのがわかった。
『私に口答えするのか? カリム』
「……、」
『流石自由の国だな。奴隷の頭も自由にしてしまうのか。
……貴様何を勘違いしている。貴様は奴隷だ。犬だ。ゼタの、私の、そしてこの家の。
貴様に拒否権も人権も無い。核を忘れてどうする。今、貴様は誰によって生かされていると思っているんだ。
まさか、このまま逃げ出そうなどとは思わないだろう?
貴様は抱えるものがある。自身を代償に、手に入れなければならないものがある。
今、その機会を、最後と言えるチャンスをドブに捨てることが出来るのか。
社会に捨てられた、その身分で、」
心地よくついていた眠りに、汚泥を交えた水をかけられた気分だった。
『使命を果たせ。奴隷よ。祖国に戻り、主人の命を完璧に全うせよ」
雁字搦めに身体を縛られ、首を絞められた気分だった。
◆◆◆
バルコニーの奥から足音が聞こえてきた。振り向くと、電話を終えたカリムが戻ってきている。
しかし、なんだろう。表情が、ない。まるで初めて会ったときの様な顔をしていた。
「……、電話、大丈夫だった?」
「ああ」
大丈夫だと言って、カリムは私の隣に立ち、パークのイルミネーションを眺めた。
もう30分ほどで閉園する時間帯の為、パークでも奥にある日本のパビリオンを歩いている人はほとんどいない。
昼間の喧噪が嘘のように静かだった。
ぎゅっと手すりを握って、勇気を出す。
カリムに向かい合い、彼を見上げる。
「……お話、してもいい?」
そう言うとカリムは正面から私に向き合ってくれた。
……どこか、悲しそうな表情で。
緊張のせいか、ひどく口の中がカラカラだ。手足が震え、油断したら床にへたりこんでしまいそうだった。
最初の一声がなかなか出てこない。あれ、おかしいな。さっき頑張るって決めたのに。このままじゃ、諦めてしまいそうだ。
本当にいいのかな。私なんかがこの人を好きだなんて言ってしまっていいのかな。言わないままでいた方が、もっと一緒に居られるんじゃないのかな。
告白して、お断りされて、また前みたいに、よそよそしくなっちゃうのは、悲しいな。嫌だな。
でも、でも、でも。
大好きですって、伝えたい。
「あ、あの! わ、わた、私、……わたし、わたしね、……わ、たし、」
「……」
「っわたし、……君の、きみのこと、……す、」
き、とは言い切れなかった。
暖かい何かが口を塞いだ。柔らくて、すこし湿っぽくて、吐息が、熱い。
眼を見開くと、至近距離にカリムの顔があった。
目を閉じたカリムの睫毛が本当に長いとか、綺麗な肌してるとか、頭のどこかで考えていると、なぜそんなことがわかるぐらいにカリムが近くに居るのかという疑問で頭がいっぱいになった。
いま、わたしは、何をされている? これは、まさか。
カリムが角度を変えて、より深く唇を合わせてくる。
びっくりした私は本能でカリムから離れようとしたが、いつの間にか腰をがっちり掴まれていた為身動きがとれない、。
頬は大きな手が触れ、カリムの動きに合わせて顔の向きを調整されてしまう。
全て、食べられてしまうのではないかと思った。
カリムはまるで私の中にある何かを抉りだそうとしているのではないかという程、深く深く唇を重ねてくる。
私は逃げられない。まるで、捕食されている気分だった。
どれくらい続いたのか、私はもう息も絶え絶えになって、酸欠を起こしそうになっていた。
カリムを押すだけの力もなくなり、もう身を任せることしかできない。
もう限界、そう感じたころに、ちゅ、という音と共にやっと唇が離される。お互いの間に出来た唾液の糸が恥ずかしくてたまらなかった、
荒い呼吸を繰り返す私に、頭上のカリムも少し呼吸が乱れていた。
なんで、なんでと頭を疑問が駆け巡る。頭が沸騰している。顔が熱い。彼の顔を見ることが出来ない。
おかしい、あれ、私さっきまで何をしようとしていたんだっけ。そうだ、告白しようとしたんだ。告白しようとして、そし、たら。
カリムが私の頬に触れて顔を上げさせた。着物を着てカリムを見上げたときの優しい表情とはちがう。呼吸が少し乱れて、少し顔が紅に染まった”男の人”が私を見下ろした。
「……もういい、もうこれ以上、俺に、……」
「、カリム?」
そういえば、名前を直接呼んだのは、初めてかもしれない。
カリムは苦しそうな表情をして、私を見ている。私の頬に触れる手は、震えている。
カリムは私をきつく、きつく、少しの隙間も許さないと言わんばかりに抱きしめた。
痛いぐらいに、潰れてしまうんじゃないかと思う程。
「真知子、真知子」
「、っカリム、苦しいよ。どうしたの? ねえ、」
私の名前を呼んで、決してその力は緩めはしない。
まるで、はぐれた子供が母親を見つけて決して離しはしないという様に。
なんとか腕をカリムの背中に回し、撫でると、カリムはわかりやすい程にビクリと震えた。
いつもと、逆の立場になったみたいだった。
暫く黙ってそうしていると、カリムは少し力を緩めてくれた。しかし、私の身体をやはり離そうとはしない。
もう一度、どうしたの? と尋ねてみると、カリムは話し始めてくれた。
「……俺は何も持ち得ない人間なんだ。欲しいと思うものがあっても、それらが手に入ることはない。
だから、俺は伽藍になった。求めなくてもいい様に、何も欲しないように。
なのに、……お前が、お前が俺の前に現れてから、おかしくなり始めた。
初めて、お前を見たとき、綺麗だと思った。まるで、聖域の様だと。それまで、そんな感覚を持ったことはなかったのに。
お前が誰かと、リストと一緒に居ると、親しくしていると腹から沸き立つような苛立ちに襲われた。吐き気すらした。
何故、隣に居るのは俺じゃないんだと。
何故、この女は俺の前ではあんな風に笑わないんだとも。
お前がいじめられているとき、目があったとき、どうして俺に助けを請わないんだと、頼らないんだと、落胆に見舞われた。
俺はあのとき、お前を見捨てようとしていたのに、矛盾しているだろう?
それから、お前と話すようになって、楽しいと思うことが増えた。
もっと同じ時間を過ごして、共有して、信頼されて、もっと距離を縮めたいと、……もっと、触れたいという欲や、劣情も」
カリムが身体を少し離して、私の唇を厭らしくなぞった。
私は彼の告白に驚いて言葉が出ない。
「なあ真知子、俺は以前、年を問われて、明確な数字をあげなかっただろう。
あれは、本当にわからなかったんだ。俺は自分の生まれた日を、正確な年を知らない。
俺は、カーストの最下層の生まれで、スラムの泥臭い場所で、飢えと戦いながら父と、妹と暮らしていた。
母親は妹を生んですぐに目の前で死んだよ。父はどうしようもない飲んだくれで、俺が生まれたときも街から酒を盗んでいたぐらいだった。
父は俺を労働力としてしか見ていなかった。だから俺の年齢なんか覚えている筈がないんだ。
真知子、俺は、お前が言うほど綺麗な人間じゃないんだよ。
家族を、妹を食べさせるために、飢えをしのぐために、汚いことも、口にしたくないことも、全部全部してきたんだ。
お前は自分のことを綺麗じゃないと言うが、俺からしてみたら、お前は一点の汚れもない。綺麗だよ。
俺が最初に聖域だと思ったぐらいに、お前は俺が触れていいのかと一瞬戸惑うくらいに綺麗なんだ」
「カリム、」
「俺は買われた人間なんだ」
「……え?」
変われた? 代われた? 飼われた? ……買われた?
「な、に言ってるのカリム。そんな、」
「本当だ。俺は王族のものだ。俺は、王族の娘に買われたモノなんだよ。
貧困層からの脱却を餌に、そして、この身体を代償に、俺は買われたんだ。
だから、俺には人権も選択権も、何もない。
いつか、そう遠くない未来、俺は王族の娘の夫になり、そして王族として生きていく。
……帰国命令も出た。俺は数日後にはインドに戻る。
今まで守ってきた家族を、これからも守っていくために。二度とあの生活へと、戻らない為に。
昔は、この身一つが俺の財産だった。資本だった。
この身さえあれば、生きていけると。俺として、生きていけるんだと。
今はもう、この身すら、俺のものじゃない。
でも、この気持ちだけは」
カリムは私の両頬に手を当て、私の目を至近距離でじっと見つめた、
黒曜石の瞳が、私を捕えて離さなかった。
「この気持ちだけは、俺だけのものだ」
額と額が合わさる。
「……真知子、お前が俺に与えてしまったんだ。お前に出逢わなければ俺は伽藍のままだっただろう。
でも、出逢わなければ、こんな思いをせずに済んだとも、伽藍のままで居たならばとも、考えるんだ。
お前を知らずに過ぎてしまう未来ほど恐ろしいものはないって、いうのに」
どうしよう
どうすればいい?
私は、どんな言葉を、かけたらいいんだろう。
苦しそうな表情をするこの男を、どうしたら、楽にしてあげられるんだろう。
口を開く。私はカリムが好きだと、言う為に。そうだ、そういえば、いいんだ。リストも、そう言ってた。告白しろって。
でも……でも。
「……カリム、」
私の両頬を包むカリムの手に、上から自分の手を重ねる。暖かい手。私が大好きな、あったかい手。
声が、出ない。でも、言わなくちゃ。
「幸せになってくれる?」
カリムが目を見開く。
しかし、私の意図が伝わったのか、カリムは泣きそうな顔で、それでも笑って答えてくれた。
「真知子と出逢わなければ、もっと簡単に幸せになれたのにな」
私は貴方を縛りはしない。貴方が選ぶ幸せを、私は否定しはしない。
第十六話 僕はおまえが好きだった。そして今でも好きなんだ。たとえ世界が木っ端微塵になったとしても、その残骸の破片から、恋の想いは炎となって燃え上がる。
ハインリヒ・ハイネ『歌の本』より




