何気ない日常
私の愛する家族は基本、私が何をしても褒めてくれる。
私がやりたくてやっている事に関して、よっぽど危険な事でもない限りは止めないという、非常にのびのびとした教育方針なのだ。心配性な父さん以外は“危険な事”の判定が甘いのもあって、止められた事はほぼ無いというのが実態でもある。私みたいなのにとっては実に最高な家族なのだ。
だがしかし。
「シーデ、何を作っているんだい?」
「林檎のマフィン」
「……林檎が可哀想だよ」
「残さず食べるよ?」
「美味しい状態で食べてあげないと、林檎が可哀想だよ……」
お菓子作りをしている時だけは、哀し気な顔でこちらを見つめてくる。私の作り出す物体Xは大らかな家族をもってしても許容出来無いものであるらしい。止められはしないけど、ひたすら哀し気な顔で材料が可哀想だと訴えられるのだ。地味に精神にくる。
だから店の営業時間、誰も家に居ない隙を見計らって作っていたというのに……いつもより早めに夕飯の支度をしにきた父さんに見つかってしまった。失敗。
ちなみにウチの食事の支度は順番に交代で行っている。今日は父さんの日。
「大丈夫、これは痛みかけの林檎救済措置だから」
私だって、新鮮でつやつやな林檎を使うような冒涜はしない。見切り品として売られていた山盛りの林檎、それの傷んだ部分を取り除き使っている。あのままでは廃棄されるしかなかったであろう林檎を、私は救っているだけなのだ。言うなれば林檎の救世主。
「救済されないよ、どん底に突き落としているよ。それに、林檎だけじゃ無い。小麦粉が可哀想だよ」
あれ、救世主じゃなく破壊神的な扱いされてる?
そしてついに、小麦粉についてまで言われるようになってしまった。
「マフィンが食べたいのなら、父さんが代わるから。ね?」
優しく微笑み、私の手にする器に手を伸ばす父さんに、真面目な顔で告げた。
「もう手遅れだよ。ごめんね」
「ああ、救え無かった……!」
既にマフィンの生地は混ぜた後なのだ。経験上、ここまできたらもう誰が手を加えようと物体Xにしかならない。軌道修正は不可能である。
眉を八の字にする父さんから、隠しきれない林檎への憂いが伝わってくる。悲しませてごめんね。でもね、たかがお菓子作りでそこまでの悲壮感を出されると、心底私が可哀想なんだけど?
「あのね、私、料理だって教わりながら何度も失敗して、そうやって上達してきたでしょ? だからお菓子作りも練習しないと上手くならないし」
「料理に関しては失敗点が分かっていたよね? 調味料の加減だったり、火力の調整だったり。だけどお菓子作りに関して、シーデには何のミスも無いんだよ? 最初から最後まで見ていても、レシピと違う事をひとつもしていないのにああなってしまうんだ。これはもう人類にはどうにもならないよ。来世に期待しよう?」
「父さん……ほんとに私のこと好き?」
「何を言っているの、大好きだよ最愛の娘だよ! 決まっているじゃないか!」
あ、そお? なら良いんだけど。何か容赦無いこと言われた気がしたのは私の気のせいか。
そりゃね、もう分かってはいるんだよ。どんなにレシピに忠実に作ったところで、まともな甘味を作れる日はきっと来ないだろうって事は。でもほら、万が一という事もあるし……奇跡が起きないとも限らないし……。
「シーデが父さんの娘として生まれてきてくれた、それだけで奇跡なんだよ」
「大好き、父さん大好き! ……でも私の考えを見透かしながら先回りしてお菓子作りへの気勢を削ごうとするのは何で?」
「あ、そろそろ夕飯の支度をしなくちゃね。さあて、何を作ろうかなぁ」
「父さん? ちょっと父さん?」
完成した林檎マフィンからは、なぜかほんのりチョコレートの味がした。意味が分からない。チョコ使って無いし……林檎の味もバターや小麦粉の風味も無いのは何で……。
薄っすらとチョコ風味な謎の林檎マフィンは、美味しくは無いけど死ぬほど不味いって訳でも無く。
これなら割と成功じゃない? と様々な疑問点に目を瞑りそう結論付けようとしたのに、食べ終わった直後からしゃっくりが止まらないという症状を発症し、「終わった……」ってなった。
年々味はマシになっているのに、比例して体調に影響を及ぼす代物になってきている。危険性を考慮して自分だけで味見して良かった。家族には絶対に食べさせられない。
残った林檎マフィン? それは当然、スタッフが美味しくいただきました。
スタッフ = 城付きの魔法使いたちですが、何か? モルモットの際のささやかな仕返しとして、差し入れしてやったのさ。女子の手作りお菓子が仕返しに相当する切なさについては考えちゃダメだ。
あ、ボスには食べさせなかったよ。あのモルモットは恩返しだから、何をされてもしょうがないって覚悟の上だったんだし。後遺症の出るような実験をされなかっただけ感謝してる。
もちろん、私に何も言わず共同実験なんてものを容認したって点はマイナス評価だけど、その結果ボスからの謝罪という奇跡のような事が起きたので収支はトントンって気分だし。……そんな奇跡が起きる事もあるんだな。やっぱり続けていけばお菓子作りにも奇跡が起きるかもしれない。頑張ろう。
だから仕返しの対象はストーカー野郎、及びノリノリだった他の魔法使いたちだ。例のメイドさんも余裕で対象内。あの場に居なかった魔法使いも居たけど、普通に巻き込んだ。
悪いね、もう城付きの魔法使いは一律敵って事でいくから。選別が面倒だし。ボスは今のところギリセーフかな。兄様救命の一端を担ってくれた恩は忘れないよ。
食べ物を無駄にしないって大切なことだ、と、しゃっくりの大合唱が響く魔法使いたちの執務室で高笑いしながら思った。
いやあ、私の仏期間、もう終了したんだよね。たった1週間しか保たなかったわ。超予想通り。そしてきちんと仕返しもしちゃうっていうね。
しゃっくり地獄に堕ちた魔法使いたちは、ひっくひっくと苦しそうで息がし辛そうで、最高にいい気味でした。
ははっ、ざまあみろ。
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15歳になり1ヵ月が経過した今日、とても大切なイベントがある。
何を隠そう、今から親友と狩りに行くのだ。
……あ、うん、ゲーム上でのイベントとかじゃ無いよ。私のプライベートなビッグイベントだよ。超テンション上がるわー。狩り記念日とか制定しなくて大丈夫かな?
モルモットの際に発覚した“精神系の魔法が効き過ぎる”という弱点は、少し前にボスがそれを防ぐ魔具をくれた事によりあっさり解決。ボスに林檎マフィン食べさせなくて良かったぜ、と心の中で自分に向けて親指を立てた。ファインプレーだぞ、私。
ペンダントに仕立てられたその魔具は、使われている魔核はボスが加工してくれたみたいだけど、ペンダントとしてのデザインやら加工やらは宝飾店に任せたらしく、非常に可愛いものに仕上がってた。あの人、そういう配慮出来たんだ……。
というかそれ、作る前に言ってくれれば、私にはオルリア先生(正確には兄様)という伝手がありましてね。頼んだらきっと多少なり勉強した価格で引き受けてくれただろうに、もったいない。
そう言ったらなぜか溜息を吐かれた挙句、口に飴ちゃんを押し込まれ黙らされたけど。ちょっと、口に押し込む係はクランツさんで間に合ってるから。
まぁともかく、そんな感じでゲットした魔具は、『モルモットの際に泣かせた詫びだ』と言われ代金を受け取ってもらえず。というか、おいくらの物なのかも教えてもらえず。
でも……どう考えてもお高い物なんだよね。魔核って高価だから。
そう思い兄様に見てもらったところ、魔核が高価、どころかペンダント自体がかなり高価な物だと言われ魂が抜けるかと思った。あの外道、私に借りを背負わせる気を隠そうともしない。こええ。やっぱ敵なのか?
ついでに兄様とはそのペンダントでひと悶着あったけど、まぁそれはまた今度。
しかし、そんなお高い物をタダで受け取るなんて出来る訳が無い。タダより高い物は無いって言うし、ボス相手にそんなでっかい借りなんか作ったらモルモット再びになってしまう。あれはあれでそう酷い経験でも無かった(共同実験部分を除く)けど、自ら進んでなりたいもんでもないし。
ので、その魔具に使われている飛行兎の魔核を狩って返す事に。団長もそうしろって言ってたし、魔獣狩りに行く許可も貰った。ちょっと失言したからお説教も貰ったけど……。
だがしかし、大手を振って魔獣狩りに行ける大義名分ゲットだぜ!
冒険者ギルドで聞けば、獲物がどこに居るのか分かるかな? と考えていた私の前にスッと差し出された資料によると、街から南に行った平原に飛行兎の群れがたまたま移動(移住?)してきているとの事。どうやら遠出はしなくて済むようだ。
資料には他にも、飛行兎の特徴や注意点、体内のどこに魔核があるのかなど、とても分かりやすくまとめられていた。
「ところでリリックさん」
「何でしょうか?」
「なぜ私がこの情報を欲していると?」
ウチまでわざわざ資料を持って訪ねて来たリリックさんに、笑顔をキープしたまま尋ねる。私、あなたに調べて欲しいとか言って無いんですが……。
「シーデさんの事ですから。俺が知っているのは当たり前じゃないですか」
「あー、そっかぁ。そうですよね。あはははは」
「ははははは」
きっと、昼間団長と話していたのを聞いていたんだろう。
そう思う事にして、この後、超褒めた。
考えたら負けだ。
そんなこんながあり、手伝うと言ってくれた親友の休日に合わせ、本日、街の南門で待ち合わせをしているのだが。
実はそれを知ったサイラス師匠が、自分も、と言ってくれたんだけど。少し険しい顔をした親友が師匠を連れて席を外し、戻って来た時にはやっぱり今回はやめておく、という事になったのだ。
何だか深刻な顔で、「しっかりとけじめをつけたら、その時は……」とか不穏当な言葉を呟いていた師匠。
え、何かトラブルでも抱えていらっしゃるの? 殴り込みとか行く感じ? 付いて行こうか? 私、結構役に立つよ? 親友は気にするなって言ってたけど、弟子としては心配だよ。
……まぁそれは置いといて、今は親友との待ち合わせだ。
前に鍛冶屋に連れてってもらった時は待たせちゃったから、今回は早めに行って待つんだ! という意気込みも虚しく、私が着いた時には既に親友が居た。早めに来たのに……親友、何分前行動なの?
そして、リリックさんも居た。
待ち合わせを決めた時、彼はその場に居なかったはずだが……。親友が声をかけたのかな?
「リリックも手伝いに呼んだのか?」
「あは、ははは……」
そう問われた事により、親友が教えた訳でも無いと発覚。私の笑い声、凄く乾いてたと思う。
あー、うん、気にしちゃいけない。リリックさんはこれが普通。隠密だもの。気付いたら居る、それが隠密。よし、気にしないキニシナイ。
気を取り直し、三人並んで街を出る。
「お前は今日は勤務日ではなかったか?」
「代わってもらった」
「わざわざそこまでせずとも良かろうに」
「俺が好きでやってんだ。ほっとけよ」
「リリックさん、無理はしないでくださいね?」
「無理なんてしてません! シーデさんのお役に立つこと以上に重要な事なんてありませんから!」
「俺と小娘への応対の差が酷いな……」
相変わらず同僚に対しては塩対応なリリックさんに、親友が哀愁漂う呟きを漏らす。すまんね。いや、私悪く無いけど。
「こうやって歩いてるとピクニックにでも行くみたいだね。天気も良いし」
「お前が馬は嫌だと言うから歩く羽目になっているのだが?」
代わりに魔術で飛んで行こうか? っていう提案を却下したのは親友なのに。「ちゃらんぽらんなお前に命を委ねろと言うのか……?!」って引きつった顔でさ。もしや高所恐怖症だったりする?
「振動が無くて尻を痛めなくてすむ馬が居るんなら、乗るのも吝かじゃ無いよ」
「そんなものが居るか!」
「馬の品種改良はどうやれば……」
「リリック、血迷うな」
親友が親友になって以来、敬語が崩れてしまった私。というか、崩した。最初は様子を見ながらだったけど、特に注意もされないので、受け入れられてる……! と密かに感動し、今では完全にタメ口だ。私の友人に対する図々しさがとどまる事を知らない。
そんな風に雑談をしながらも、目的地まで一直線に歩いた。ナビはもちろんウチの隠密。地図も見ず明確に先導してくれる彼に、グー○ルマップが搭載されている可能性を疑っている。
そうして到着した目的地、遠目に兎が見えた位置で一度立ち止まり、荷物を下ろす。必要なのは剣と陣だけ。
個々は魔獣としてはそこまで強く無いけれど、いかんせん群れる生き物で、尚且つ飛ぶのが厄介。それが飛行兎。その名前は伊達じゃ無い。
それに、そこまで強く無いとは言えやっぱり魔獣。その鋭い歯にかかれば手首程度なら普通に噛み千切られるからご注意を、ってリリックさんのくれた資料に太字で書いてあった。
大きさは普通の兎より一回り大きい程度なんだけど、口の開きが兎の比じゃ無いというか、顎外れてない? というレベルまで開くらしい。むしろ口裂けてるらしい。耳でパタパタと羽ばたき飛ぶ兎というメルヘンチックな生き物なのに、口部分だけ都市伝説風味。この世界は私をがっかりさせてくれる率が高いなぁ……。
そんな口裂け兎、じゃなくて飛行兎だけど、完全なる草食獣なのに、近寄って来た生き物は同族以外は全て噛み殺そうとする、という性質を持つ。……草食獣? 噛み殺すだけで食べはしないらしいから草食獣で合ってるはず。アグレッシブな草食獣も居たもんだ。
で、空飛ぶ兎に対処するには飛ばせなきゃ良いって事で、確実に着地している食事時を狙おうと話していたんだけど、どうやら運が良かったらしく、ちょうど食事中の様子。
「私の日頃の行いが良いから」
「それだけは無い」
親友、真顔過ぎるぞ。
平原に生い茂る草を、一ヵ所で固まってもっしゃもっしゃしている兎、その数二十羽。これは群れの規模としては大きいらしい。本来は五~十羽程度。
私たちが狩りに来る前に冒険者が狩っちゃって無くて良かった。街道から外れた平原に居着いてたみたいだし、寄らなきゃ平気って事で危険度が低かったんだろうか? それともここに居るってまだ把握されて無いのかな?
……ギルドが知らない(かもしれない)情報を知っているウチの隠密……うん、優秀! そういう事にしとこう。
人生最後の食事は楽しめたかね……? なんて悪役丸出しな台詞を脳内で再生し、兎たちを結界で囲い逃げられないようにする。内部から出られない閉じ込め式の結界は、今日の日のために誰でも自由に入れるよう調整済み。一度入ったら出られないけど。
その結界内、兎の群れの中に三人そろって飛び込み剣を振るう。頑丈過ぎて刃が通らないとされる黒熊と違い、飛ぶのと裂ける口にさえ気を付ければ、後は普通の兎よりは耐久性があるというレベルなので、ちょっぴりスリリングな兎狩り程度のお仕事です。右耳の先端に魔核があるので、そこは斬らないようにという縛りプレイなんだけども。
それぞれが一羽ずつ狩った段階で、兎たちが飛び始めた。しかし結界の高さ以上には飛べないし逃げられないので、牙を剥き襲いかかってくる。うわぁ、マジで口裂けてる……シュール……。
こうなる事は予想済みだったので、ここに来るまでに打ち合わせた通り、私は剣をしまった。そして風の術でひょいひょいっと飛びながら蹴りで兎たちを叩き落す事に専念し、地に落ちたそれを二人が始末するという役割分担制に移行。
途中から楽しくなってきてしまい、「へい親友、パス!」などと声をかけながら親友めがけて蹴り飛ばし、それを「こら小娘、角度が悪い!」なんて文句を言いながらも結構ノリノリで剣を振るい首を斬り落とす親友という、新種の競技みたいになった。
「シーデさん、俺にも、俺にもください!」
「よしまかせろ! へいリリックさんパス!」
「ああ素晴らしく斬りやすい角度でありがとうございます!!」
「む、負けてられん! 小娘、次だ次!」
「じゃあ二羽連続でパス!」
「ふっ、この程度は軽いわ!」
やばいこれ超楽しい。
「……反省会をするぞ」
「なぜに?」
「大参事だからだ」
全ての兎が息絶えた血生臭い結界の中、血塗れになった親友がそう仰る。安心してください、ただの返り血です。リリックさんも同様の姿です。まぁ自分に向かって蹴り飛ばされた兎の首を剣でチョンパしてったら、血はかかるよね。むしろ滴るよね。
私? 蹴る側だったから当然、綺麗なもんよ。
「くっ、俺とした事が小娘レベルで騒いでしまった……不覚……!」
「お前何さり気なくシーデさんディスってんだ。狩るぞ」
リリックさんの同僚への態度が攻撃的過ぎる。長い思春期だな。
「大事な親友なので狩らないでくださいね」
「シーデさんのご命令とあらば!」
「リリックが着々と信者として出来上がっていっているな。恐ろしい……」
やめろよ親友、信者とか言うなよ……。
「まぁそれはともかくとして、だ。ついノッてしまった俺が言うのも何だが、狩りというものはふざけてするものでは無い。危険だってあるのだ。油断すべきでは無かろう。それに何より、一歩間違えれば失われる命への冒涜に繋がってしまうという事を充分考えてだな」
「えっ? 一歩間違えるも何も、今の行為は冒涜以外の何ものでも無いよ。もうノリノリで命狩ってたじゃん。むしろ刈り取ってたじゃん。死神も真っ青だよ。悪質にも程があるよ」
「真っ先に悪ノリした奴がそれを言うのか?! いや、つられてしまった俺とて同罪なのだが……」
「まぁ正直、初めて友達と狩りをしたからテンション上がり過ぎちゃったってのは否めない。兎には悪い事をしたと反省する」
ごめんよ兎たち。今世初の親友と遊べるって事で、気持ちの昂りを抑えられなかったんだ。君たちの素材はしっかり売り払うから、誰かしらが役に立ててくれると信じよう。
「もし来世で私が同じような目に合わされても、因果が巡ってきたんだと諦めるよ。兎の怨念に身を任せる」
「変に潔い―――いや違うな、来世なのか」
「来世だよ? 今世の私は狩る側でありたい」
悪いけど、そこは譲らない。
「そんな! もしそうなったら俺が身代わりになりますから、シーデさんは生きてください!」
「ああ、来世にも付いて来る気だと……」
私の来世、終了のお知らせ。
隠密がどこまでも付いて来ようとする……もしやこれが兎の怨念なのか……。
「ま、まあ来世の心配をするよりも、今世で同じ事をせぬよう気を付けるのが先だろう。面白尽くで命を奪うなど、やってはならん事だ。俺も反省しよう」
親友、ほんとに根が善良だなぁ。
でも今回の場合は面白尽くで命を奪ったってのとは違うんじゃないかな。元々狩る事を目的としていたんだし、無意味に殺戮した訳でも無い。
飛んでるのを落としてそれを狩る、という効率重視で挑んだ結果、うっかり興が乗っちゃっただけだ。楽しもうが悲壮な覚悟で挑もうが、どの道やる事は一緒だったんだよ。魔獣は基本、駆除対象だしね。殺らなきゃ人間側が殺られるから。
むしろ、蹴る・地面に叩きつける・斬る、って三段階から、蹴る・斬る、の二段階になった分、苦しむ時間は減ってるはず。……私、自己を正当化させる言い訳がすらっすら出てくるな。凄い。さすが自己中。
血の臭いがこもる結界を解除し、二人にはその場から離れてもらった。
数枚の陣をひらりと放り、私もそこから離れると、再度兎たちを囲う結界を発動。今度は完全出入り不可で、尚且つ結界内部が見えない仕様のものだ。
そして、結界の中に置いてきた“花”の陣をこっそり発動させる。この辺りには木が無いから吊るして血抜きするという事が出来無いので、“花”たちに吸ってもらう作戦なのだ。ついでに地面に染みた血も全部吸い取ってもらう。完全に虐殺現場状態になってたからね……。証拠隠滅、証拠隠滅。
魔術でお湯を出し、二人には着衣のまま血を洗い流してもらう。といっても魔獣の血は服に付いたものは取れないので、これはあくまで肌に付着した分を洗い流してもらうだけだ。終わったら別の陣で温風を発生させ全身を乾かし、持ってきてもらっていた服に着替えてもらう。
「……あの、シーデさん。何故こちらを見て……」
「お気になさらず」
「気にするわ! 向こうを向け!」
「大丈夫、いける」
「何がだ?!」
ガン見するつもりで構えていたら、ひそひそと話し合った二人は交代で着替える事にしたらしく。一人が着替える間、もう一人が私の目を手で塞ぐという姑息な手段を取られた。
こういう時だけ塩対応を封印して協力し合うってのはどうなのかなあリリックさんよお! くっそ、生の腹筋やら何やらを拝むチャンスが……!
魅惑の生着替え(音声のみ)が終わり解放され、若干不貞腐れながらも脱がれた服を火の術で焼却処分。魔獣の血は人体に多少の害があるって、前に聞いたからね。学習してる私、えらい。
それが終わってもまだ不貞腐れていたんだけど、膨らんだ私の頬を親友が突っついてきて、一気に和んで全てを許した私ってチョロい。
鞄から飲み物やパンをほいほいと取り出し、おやつタイム。リリックさんという飛び入り参加が居るとはいえ、多めに持ってきたから大丈夫。
「完全にピクニック気分だったのだな、お前は」
呆れを隠そうともしない親友の口に、パンを押し込んで差し上げた。育ちが良いっぽい彼は口に食べ物を入れたまましゃべる事はしないので、これが一番効果的な方法なのだ。代わりに睨まれたけど、痛くも痒くもないから私の勝ちだ。
「これ凄く美味しいです」
「あ、それ私が焼いたやつなんですよ」
「シーデさんの手作り……! 残り半分だけでも家宝に……!!」
「リリックさん、言う事がアレックスさんレベルですね。腐るのでやめてください」
「アレクと同レベル……?!」
食べかけのパンをしまおうとするリリックさんを止めると、超絶ショックを受けた顔をされた。
そ、そんなにナンパ騎士と同レベル扱いされたのが嫌だった? 別にあの人、ちょっと軽くてちょっと騒がしくてちょっとウザいだけで、悪い人じゃ無いのに。あと、私の手作りパンは日常的にお店に並んでるからね?
おやつタイムで小腹を満たし、血抜きの終わった兎たちを持ってきていた袋に詰め回収。血抜きどころか地面まで綺麗になっているのを見た二人が驚いてたけど、方法は乙女の秘密だ。
一袋にまとめた荷物を魔術でふわふわ浮かせたら「才能の無駄遣いが凄いな」と言われ、「やっぱり親友も浮いてみる?」と返したら、「まだ命が惜しい」と拒否られた。深まる高所恐怖症疑惑。
そうして街に戻り、門の詰め所で借りた荷車に荷物を載せ、やって来ました冒険者ギルド。
二人には荷車を返してきてくれるよう頼み、一人ギルド内へと荷物を引きずって(風の術で地面からは浮いてる)運び込むと、受け付けのギルド職員たちがざわめいた。
「来た!」
「毒草姫がいらしたぞ!」
「毒草姫、どうして毒草を持って来てくれなくなったんですか毒草姫!」
「おい待てこら」
やだ、私ってばこんな低い声出せたんだ。
「何で呼び名が毒草に戻って……いや戻るどころじゃなく進化してる?! “毒草姫”って何ですか?! 私は“熊殺し”が気に入ってるのに!」
過去に言われていた“毒草の申し子”から“姫”へと謎の出世。誰だそんな呼び名を付けたのは。助走付けて殴るぞ。
「え、呼び名が気に入らなくて毒草を売ってくれなくなったんでは?」
「だから、やっぱりここは原点回帰で毒草絡みの呼び名に戻すべきだと会議で決まったのよ?」
「冒険者ギルドの会議内容がクソだという事は分かりました。毒草を持って来なくなったのはここじゃ無く商業ギルドに売り払ってるからだとか、単純に毒草を採らなくなったからだとは考えられないんですか?」
まぁ違うけど。最近はボスに直売してるからなんだけど。
「またまた、そんな」
「商業ギルドには確認済みだし、君が街の外に出かける姿も目撃しているよ」
「何より、毒草姫が毒草から離れられる訳が無いじゃない」
「人を中毒者みたいに……。二度と持って来ませんからね」
「ああっ、嘘です申し訳ない! ちょっと小粋なジョークで毒草姫を和ませようと思っただけなんです!」
「その“毒草姫”ってのをやめない限り、私は殺伐とした気持ちを維持しますよ」
私の真顔から本気を悟ったのか、“毒草姫”の呼び名は封印すると約束された。
まったく、変な呼び名は要らないよ。団長か師匠にお説教されたり心配されたりするかもしれないじゃないか。それにどう考えても“熊殺し”の方が格好良いし。
「実は、毒草をギルドに微妙なやり方で売っているのがバレまして。現在はボス―――魔法師長様に直接売っているんです」
嘘ですが。自分で言っちゃっただけですが。
……実を言うと、予想外だったんだよ。ボスが自分に直接納品するよう言うなんて。どうせ大して興味も持たずスルーされるとばっかり思ってたんだよね。
あの時ボスに『この毒草は自分が採ってきた』と言ったのは、ぶっちゃけただの自慢だ。私は相手が誰であろうと、称賛してもらえるかもしれないチャンスは逃さない。まぁ特に褒めてはもらえなかったけども。
「私が売った毒草は今までも魔法師長様がギルドから買い上げていたんですよね? 中間マージンが入らないという不満点は理解しますが、私一人が売っていた分なんて全体から見れば微々たるものでしょうし、大した痛手でも無いでしょう?」
「うわっ、魔法師長様にバレたのか。これは厳しいな……」
おお、やっぱやり口が微妙だってのは理解してたんだな。バレなきゃ良いだろうという考え方には共感しか湧かないけど。
「問題は中間マージンなんかじゃ無いんだ。君が売ってくれていた毒草類は、何も魔法師長様だけが買っていた訳じゃ無いんだよ。それを独占されてしまうと非常に困るんだ」
あー、そういう事か。中間マージンよりも一段階深刻な理由なのね。
「だったらギルドに所属している冒険者の方々が依頼を受け、採ってこれば解決なのでは? 私はこれでも騎士見習いですし、自由に売り払うのが許されているだけで、依頼を受ける事は元々出来無かったんですから」
今まではギルド職員の『あの毒草が欲しいなぁ』って呟きと、その後に私が売り払う毒草がたまたま一致していただけだ。そう、たまたまだ。
そういう建前を暗黙の了解とし、双方が茶番を演じていただけなのだ。周囲の冒険者の人たちが苦笑しつつ見て見ぬ振りをしてくれていたのは、きっと毒草採取がさして割のいい依頼では無いからなのだろう。ついでで採ってきていた私にとっては、軽いバイトみたいな感覚だったけど。
しかし割が良く無かろうと、それしか方法が無いのならそうするしかない。それは別に私のせいじゃあ無い。
「君ほど的確に毒草を採ってこれる人が他に居るとでも? 君が発見者となっている“毒草君”シリーズは、他の人には見分けが難しいんだよ」
「うわぁ、褒められたっぽいのに嬉しくないや。いつか絶対に神様に文句言ってやろっと。―――どう言われても私にはどうする事も出来無いので、魔法師長様と直接交渉してください。その交渉の結果で考えますよ」
買ってくれるんならどっちでも良いんだよ、私は。だから、わざわざボス相手に交渉するとかいう精神力が疲弊されるであろう苦行に何の価値も見いだせない。クソみたいな会議をする暇があるんなら、交渉頑張りな。
「交渉か。そうするしか無さそうだね。ごめん、無理を言ったね。後はこちらの問題だ。努力してみるよ。―――ちなみに、魔法師長様の弱点とか知らないかな?」
「真っ先に弱点を探ろうとするその性根、嫌いじゃ無いです。弱点は存じ上げませんが、代わりに豆知識を差し上げますよ」
「豆知識?」
「魔法師長様は、我らが騎士団長様と仲良しなんです」
「仲良し」
「そして騎士団長様はここのギルド長さんと仲良しだと聞きました。なので、ギルド長さんが騎士団長様に仲介を頼んだ上で自ら魔法師長様と交渉したら、ワンチャンあるんじゃないですかね」
きっと団長の紹介ならボスも無下にはしないだろう。少なくとも、内容を聞きもせず却下するような事はしないはずだ。だって私なら、親友の仲介だったら親身になって話を聞く自信があるもん。
私の用事とは無関係な話が落ち着いたところで、兎の詰まった袋を買い取りカウンターのおっさんに渡し、解体と査定をしておいてくれるよう頼んでギルドを出た。私の用事、一瞬で終わったな。前座が長過ぎでしょ。
既に戻って来ていた二人と合流し、解体と査定が終わるまで時間を潰そうという事になり、まずは適当なお店で昼食。
……さっきおやつ食べたからお腹空いてないや。って事で、私は飲み物だけ。二人はもりもり食べてたけど。
「食べた後に歩いて戻って来ただろうが。とっくに消費済みだ」
二十代男性の燃費の悪さよ。食事量は筋肉の量と比例するんだろうか?
食事後は鍛冶屋まで足を延ばし、剣のメンテを頼んだ。
「お嬢ちゃん、最近は返り討ちとかしてないのか?」
せっせと手を動かしながらそう聞いてくる鍛冶屋の親父さんは、私を何だと思っているのか。
「だからそれは趣味じゃありませんってば。しばらく前にごろつきに絡まれましたけど、残念ながら大した得物を持って無かったんですよね。まぁお金は結構持ち合わせていたので、ありがたくいただきましたが」
「キッチリ返り討ちにしてんじゃねえか」
あ、してたね。返り討ちはしてたわ。でも趣味じゃ無いよ。偶然だよ。
前来た時には無かった甲冑(刻まれた模様が禍々しい)を見て、親父さん、また滾っちゃったんだな、と微妙な気持ちになったり、「良いとこのお嬢様っぽい恰好をして出歩けば、絡まれる率が上がって返り討ちにしたい放題じゃないか?」とイイ笑顔で提案する親父さんを、「余計な事を吹き込むな!」と親友がどついたり。
……内心、良い案だと思ったのは親友には内緒だ。
さっきからリリックさんが壁に飾られた剣(まともなやつ)をしげしげと見つめているから、お世話になっている彼にも剣を贈ろうかと思い付いたんだけど、いかんせん素材の手持ちが無いんだよ。今度こっそり親父さんの案を実行して素材を集めよう。
しっかりと手入れされた剣を受け取り、代金を支払って鍛冶屋を後にする。
そろそろ査定も終わったかな? とギルドに戻る事にして、途中途中で露店を冷やかしながらのんびり歩いた。
「小娘、木彫りの熊があるぞ」
「うおお、北海道感がやばい……って、あのね。私、別に熊好きって訳じゃ無いからね?」
「えっ、そうなんですか?」
「リリックさんまで?! 私、熊好きだと思われてるんですか?!」
「お、あの屋台の串焼きは美味いぞ。買うか」
「待って、熊好きの誤解を先に解きたい」
「シーデさんの分は俺が買ってきますから。どうぞ熊を見ていてください」
「違う、待って違う」
熊と私は捕食者と被食者の関係であって、愛でたい気持ちは微塵も無い。
……という主張をする私を置き去りに、二人して串焼きの屋台に行ってしまった。だからリリックさん、そういう時だけ結託するのはずるくない? あと、まだ食べるの?
しかし私……こんな風にふらふらするのって、今世ではあんまり無かったかも。大体いつも目的地にダッシュしちゃうし。オルリア先生の兄様に連れ回される事はあったけど、あれも馬車で目的地までサッと行く感じだったし。
屋台で串焼きを買い込んでいる二人の背中を見ながら、ぼんやりとそんな事を考える。
友達とたわいも無い話をしながらぶらぶらして、買い食いしたり、とか。
……懐かしい、な。
前世での学生時代は皆して『金欠!』って笑ってたなぁ。その割に近場だけどあちこち連れてってくれて、毎回お昼おごってくれて……うわああ思い出したら申し訳なさが半端ない。……いや、違うか。申し訳ないじゃなくて、ありがたい、だな。うん。
社会人になってからも相変わらず金欠な私に、やっぱり度々ご飯奢ってくれて。いい奴ばっかりだったわ。
小料理屋やってた宇佐見君なんて、『週に二回はうちの店で晩飯食え。出世払いでいいから。コンビニ弁当ばっかり食うな』とかって、あああ結局出世払えてないよ、半分ぐらいツケが残ってるよ、これは申し訳ない案件だよ!
この世界で死んだ後、魂だけでも元の世界に行けないかな……幽霊でもいいから土下座したい。切実に。
私は本当に友達に恵まれたなぁ。前世でも、もちろん今世でも。
幸せだ。
「シーデさん、串焼き、を……」
「おい、小娘……?!」
どうもぼやっとし過ぎたらしく、気付いたら目の前にじゅわじゅわと音を立てる肉の串焼きが差し出されていた。二人が驚いたような顔でこっちを見ているので何だろうかと思ったら、なぜか頬が冷たい。
…………っぎゃー! 私、ちょっと泣いてた!! うわ恥ずっ!
「何かありましたか?!」
「ち、違いますごめんなさい。何か、涙腺が……。何かこう、友達と遊べる嬉しさが極まった、みたいな感じですごめんなさい!」
恥ずかしくて後半は早口で捲し立て、手の甲でぐしぐしと目を拭う。
もう、私の涙腺、マジで父さん似! いくら楽しくて懐かしさが込み上げたからって、急に泣くとか、情緒不安定か!
「そんな理由で道端で泣く奴があるか! ……別に、これが最後という訳でもあるまい」
「……また遊んでくれる?」
「暇だったら、だがな。ああ、俺に恋人でも出来たらお前など放置するが」
「じゃああと数年は大丈夫そうだね。よし」
「どういう意味だ! ……おい、目を乱暴にこするな。これを使え」
照れながらキレながら心配してくれるという高度なデレ技を披露しつつ、親友が私の手にハンカチを押し付けた。
親友……。
……お前もハンカチ持ち歩いてんのかーーー!!!
「串焼きさえ持っていなければ……っ」
出遅れたリリックさんの歯軋りが、すげえ響いた。
またしても黒歴史を作った気がしないでもないけど、美味しい串焼きを食べて忘れた。忘れたったら忘れた。お腹パンパンでキツイわ。二人はその後も飲み物やらドーナッツやら買って食べたりしてたけど。胃袋すげえな。
苦しい腹を抱えながら、ギルドへと到着。
親友もリリックさんも飛行兎の素材は必要無いとの事だったので、私が魔核を五個もらい、残りは全て売り払ってそのお金を二人で等分してもらう事にした。
二人は服をダメにしちゃってるし、その損害を考えればこの配当が妥当だと思う。私は魔核五個で足りるし。これだけ渡せばボスも文句は言えまい。兄様からは、同等の魔核が三個もあればペンダント全体の値段と釣り合うと教えてもらったので、五個あれば倍返し近くにはなるからね。
……と言ったのに、二人とも受け取ろうとしてくれなくて困った。
「金なんて要りません! 俺はシーデさんの役に立ちたくて……!」
「俺も要らんぞ。今日はお前の手伝いをしただけだ」
やだ、何で二人ともそんなに謙虚なの。良い人過ぎる。詐欺に合わないか心配になるじゃん。っていうか、三人で狩ったんだから、利益は等分するのが当たり前でしょ? 私、友達の利益を掠め取ろうとするほど強欲じゃないよ。
などと説得してみたけど頑なに拒まれたので、さっさと脅した。
「ここで遠慮されちゃうと、もう二度と一緒には行けませんね……」という脅しはリリックさんにクリティカルヒットし、一瞬で手の平を返し受け取ってくれた。
でもよく考えたらこれって、似たような事があったらまた一緒に行かなくてはいけないという……肉を切らせて骨を断つみたいな事になってしまったが……まぁ誘わなくても付いて来るだろうから一緒の事か。
親友は、「家まで押し掛けて受け取ってくれるまで居座るよ? あ、どうせならご家族に親友としてご挨拶を」まで言ったあたりで自分の取り分を大急ぎでしまっていた。マッハだった。
「これで良いな?! 来るなよ、絶対に来るなよ?!」と汗を流していたけど、私が家を訪ねる事に何の不都合があるというのか。私の脅しは『居座る』の部分だったのに。まったく、ツンデレな親友だぜ。あ、ツンデレ的にはこれがお家へのお誘いなのかな? 今度サプライズお宅訪問するべき? リリックさん、親友の家調べてくれるかな?
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楽しかった狩りも終わり、幸せな気分を噛みしめながら帰宅。
こういう何気ない日常にこそ、幸せがあるんだな。
そんな温かい思いを胸に、自室のドアを開けると。
「帰ったか」
ドアを開けたのと同時に、部屋の真ん中に、ふわぁっと人外様が出現なさいました。
うん……非日常が突き刺さる勢いで目に飛び込んで来たわ……。
何気ない日常にこそ幸せがある(キリッ)とか思ってた私がすげぇ恥ずかしい人みたいなんだけど……何気ない日常とは何だったんだろうか……。




