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優しさが身に染みた

 ドアに付いた小さな鈴が、チリンと軽い音を響かせる。

 開店時間と同時に訪れた店内には、まだお客さんは居ないようだった。

「いらっしゃいま―――おやシーデ」

「クランツさん、おはんぐっ」

 チョコレート専門店(クランツさんの店)へ入店した私は、『おはようございます』の『おは』まで言ったところで、口にチョコレートを押し込まれた。


「んぐんぐ……70点」

「減点理由は?」

「中のアーモンドの風味がイマイチ。もうちょっと香りが欲しいです」

「他には?」

「挨拶の途中で口に押し込まれたのが減点対象です」

「風味か……ローストの時間を変えるか、いっそ別の産地の物に変える事を検討しましょう」

「口に押し込まれたの部分はスルーですか?」

「いい加減、慣れなさい」


 命令口調で言い放ち、冷たい目でこちらを見下ろすのは店主のクランツさん。人の口にチョコを押し込んどいて冷たく見下ろすとか、S気質が半端ない。

 クールな美青年の、この冷たい目がたまらないの! と女性陣にウケているあたり、世の中顔だな、と理不尽さを感じる。もしくはM気質が多いのか。

「私の方こそ、いい加減、出会い頭にチョコを押し込んでくるのはやめてくださいと言いたい」

「貴女にも学習能力は有るでしょう。毎度の事なのですから、予想して覚悟しておきなさい」


 確かにクランツさんは、会うたびに私の口に試作のチョコを押し込むけどさ。

 どうして私が慣れるべきって結論に至るの? 手渡してくれれば良いじゃない。

 私、これでも素早さには自信があるんだよ?

 道場でもお兄ちゃんたちの剣を見切って避けてるし、動体視力だって結構良いと思うんだ。

 なのになぜか、クランツさんがチョコを取り出して私の口に突っ込む動きだけは見切れないという……おかげで毎回『むぐっ』ってなるんだけど、これは私が修行不足って事?


「そうです。貴女の修行不足ですから、精進なさい」

「心を読まれた!」

「貴女は顔に出やすいんですよ」

「おっかしいな。ばーちゃんズのおかげで演技力は上がってるはずなのに」

「意図的に演じている時と平常時では違うんでしょう。貴女が表情を作っているとき――主に接客中ですが――は、俺ですらまったく真意が読めませんからね。その分、普段は手に取るように分かりますが」

 つまり通常時の私は気を抜き過ぎって事かい。

 まぁ常に気を張ってても疲れるもんね。しょうがないか。演技力は誰かを丸め込みたいときとか、誰かを嵌めたいときとか用にとっとこう。


「それで、今日はどうしました? 保温の陣なら、まだ足りていますよ?」

「今日は普通にチョコ買いに来たんです。今から道場に行くので、たまには差し入れでも持ってこうかと思って」

 昨日貰った報奨金で懐が温かいしね。

「ああ、賄賂ですね。それでしたらこの辺りの物を適当に詰めましょうか。ビターな物の方が良いでしょう?」

「賄賂と断定されたこの切なさ……そうですね、男の人ばっかなんで、ビターなヤツを適当に詰めてください」

 あながち間違ってないので、特に言い返さず話を進める。

「そうそう、近々一人店員を雇うかもしれません」

「へぇ、良い人見つけたんですか?」

「ええ、とても可愛い人を見つけました」

 チョコを籠へと詰めつつ、珍しくにっこりと微笑むクランツさんに―――逃げて、見知らぬ可愛い人、超逃げて! という思いが湧いた。

 彼がこんな風に裏表なさそうな綺麗な微笑を見せる時は、大抵ガッツリ裏がある時なのだ。見知らぬ可愛い人、多分今、人生最大のピンチですよー……。


「何か失礼な事を考えていますね?」

「トンデモナイ。あ、詰め終わりましたね? おいくらですか?」

 またしても心を読まれたようだったので、慌てて話題を転換し、会計を済ませる。

 通常より大幅に値引きされたので、「友達でも、こういう特別扱いは嬉しくないですよ?」と言うと、「特別扱いなんてしません。これは昨夜の熊鍋のお礼です」と冷たく返された。お礼なのに言い方が冷たいとか、Sの見本みたいな人だ。これぞ彼の通常営業。


 昨日の熊は解体した後ご近所さんにお裾分けしてみたんだけど、クランツさんは生肉を貰っても困るかなーと思い、特別に出来上がった鍋をお裾分けしておいた。

 だって独り身で、ご飯を作ってくれるような人も居ないからね!

「また失礼な事を考えていますね?」

「メッソウモナイ。きゃっ、やだいっけなーい、もうこんな時間! 早くしないと稽古に遅れちゃう!じゃあクランツさん、またね!」

 どうも失礼な事を考えると即座に見抜かれるな。クランツさんの勘は精度が良すぎる。

 こういう場合は三十六計逃げるに如かずだ、と、一昔前の少女漫画のような台詞で撤退してみようとしたところ、固い声で呼び止められた。


「シーデ」

「はい?」

「すこぶる気持ち悪い」

 素直に振り返った私にそう言い放った彼は、苦虫を大量に噛み潰した上、うっかり飲み込んでしまったかのような顔をしていた。

「く、クランツさんのそんな嫌悪感あふれる表情初めて見た!」

「誤魔化すのなら、もっと普通に誤魔化せば良いでしょう。気色の悪い小芝居を見させられるこちらの身にもなりなさい。俺はこの不快感を一日中抱えて過ごさなくてはいけないんですよ?どうしてくれるんですか?」

 忌々しそうな表情で畳みかけるように言い募られ、愕然としてしまう。

「そこまで?! そこまで私はキモかったと?!」

「未だかつてないキモさでした」

「酷いやクランツさん!シーデ、グレちゃうから!」


 滅多に見られない“本気で嫌がるクランツさん”が面白かったので、悪ノリで彩った捨て台詞を残し、店を飛び出した。

 この出来心を勘付かれたら、きっと凍えそうな冷笑と共にチョコを詰め込まれるに違いないが、人間は時としてチャレンジャーであるべきだと思うので後悔も反省もしてない。

「止めなさい虫唾が走る!」

 閉まる直前のドアの内から聞こえた追撃は、更に私を愉快な気分にさせてくれました。

 友達とのふざけ合いって、どうしてこうも楽しいんだろう。

 今日も良い一日になりそうだ!



******



 元気に挨拶をして道場へと足を踏み入れると、じーちゃん師匠は不在だった。最近不在がちだけど、どうしたんだろう? 寄る年波のせい?

 既に来ていたボスが私へと一瞥をくれ口を開こうとしたが、それより先に道場仲間のおっちゃんに腕を掴まれた。

「おはよう嬢ちゃん。来たばっかで悪いんだが、ちょっとおっちゃんに話を聞かせてくれないか?」

 にこにこと笑みを浮かべてはいるし、最後に疑問符がくっついた口調ではあるけど、断れる雰囲気じゃ無い。

 けど、そこをあえて「え、ちょっと嫌です」と断ったのは、おっちゃんの纏う空気にお説教の前兆を嗅ぎ取ったからだ。お説教に関する私の勘は冴えている。全力で回避したい。

 しかし、ちゃんとお断りしたにも関わらず、おっちゃんは「そうかそうか」と笑いながら私を道場の隅へと引きずって行った。踏ん張って堪えようとしたが、ずるずると引きずられた。

 くそ、己の非力さが憎い……!


「さて嬢ちゃん」

 隅っこで、正座で対面させられたこの体勢はまさしくお説教モード!

 おかしいな。私は特に何もやらかしてはいないはずなんだけど。そもそも今来たばっかだし。思い当たる節が無いぞ。

「昨日、何をやらかした?」

「え?」

 何もやらかしてないのに、と思っていた矢先に『何をやらかした』とのクエスチョンをいただき、きょとんとしてしまう。

 うん? てゆうか、今じゃなくて、昨日の話?


「昨日? 昨日は、森に薬草採りに行っただけです」

「そんな訳無いだろ? 他にもやっちまった事があるよな?」

 首を傾げつつ答えると、おっちゃんは更ににこにこと言い連ねた。しかしその目は笑っていない。

 うーん、そんな目で見られても、森で魔術を試してるのはシュラウトスさんと私だけの秘密だから言えないよ。いや実際は花守りも知ってる事だけど、彼は“一人”とはカウントしない方向で。

「まぁ薬草と言いつつギルド持ってったら毒草だと言われましたけど……新種だったので報奨金が」

「おっちゃん草には興味無いんだ」

 仕方が無いので毒草について語ろうとしたら、打ち切られた。つれない。

 薬草も毒草もひとまとめに“草”扱いするあたり、ほんとに興味ゼロなんだろうな。……毒草に興味を持たれてもイヤだけど。

「でも、思い当たる節が草しかないんですが」

「草なんかより、もっとでっかいもんを採って来ただろう? 狩って来たと言った方が正しいか」

「狩って……ああ、熊ですか?」

 なんだ熊の話か。だったらそう言ってくれれば良いのに。


 そう口にしようとしたら、周囲でさり気なく(あんまりさり気なくは無かったけど)聞き耳を立てていたお兄ちゃんたちが驚愕の声を上げた。

「熊?!」

「ちょ、おやっさん! これ何の話なんすか?!」

 正座しているおっちゃんに立ったまま詰め寄るのは失礼だと考えたのか、お兄ちゃんたちまで正座し始めた。

 ちょっとやめて、皆して正座しないで。おもっきし説教大会になだれ込むパターンじゃないかコレ!


「お前らも、すぐ近くの森で熊らしきものが目撃されたって話は聞いただろう。それの話だ」

「熊らしきものというか、普通に熊でしたよ。森に行ってすぐ出会ったんで、心の中で『はえーよ!』ってツッコんどきました。普通こういうイベントって、帰り道に起こるものですよねぇ」

 コテンと首を倒し同意を求めてみたが、返ってきたのは「そんな話はしてない」という冷たい言葉だった。心なしか視線まで冷たい気がする。

 今日は私に冷たくあたる日なの? そんな日がいつの間にか制定されたの? それは誰に苦情を言えば改定してもらえるのか、教えてくれないかな? 皆の冷たい目に心が折れそうだよ、私。

「シーデ、兄ちゃんにちゃんと話せ。昨日、森で、熊に、遭遇したのか?」

 一言づつ慎重に区切って聞いてくるのは、私をバカだと思ってるからじゃ無いよね?

「昨日、森で、熊に、遭遇したよ? それがどうかした? ちゃんと倒したよ?」

 真似をして区切って言ってみたら、ますます視線が冷たくなったので、私の心はぽっきり折れました。

 知らない人にどんな目で見られようがどうだって良いけど、仲の良い人からこういう目で見られるのは悲しい。あ、クランツさんは別だけど。あの人は冷たい目がデフォルトだから。


「……皆に熊肉をお裾分けしなかったのが駄目なの? だから私を冷たい目で見るの? そんなに熊肉食べたかったの? 次はちゃんと皆にも熊肉お裾分けするから、そんな目で見ないで欲し」

「「「問題はそこじゃ無い!」」」

 折れた心を修復するため、皆に許して貰おうと言い募ったら、でっかい声でハモりつつぶった切られた。

 そこから、どうして熊を倒すんだとか、お前のすばしっこさなら逃げれただろうとか、怪我したらどうするんだとか、熊を倒した事に対する非難やお説教を受けた。

 野生の熊と対峙して、逃げる方が無謀なんじゃない? 背中を向けた瞬間、襲い掛かられる未来しか見えないんだけど?

 そう言い返せば、「シーデの逃げ足なら大丈夫だ!」と異口同音にお墨付きをいただいた。何年経っても逃げ足ばっかり評価されるこのシステムときたら。

「でもさ、お兄ちゃんたち、私を鍛えてくれてるのに、そういう場合は逃げろって言うのはおかしくない? そういう場合に自分で何とか出来るように私を仕込んでくれてるんじゃないの?」

「何言ってんだ。俺達はお前の逃げ足強化の手伝いをしてるだけだぞ?」

「現にお前の剣は俺達には届かないだろ? 逃げ足以外は向上して無いんじゃないか?」



 ……。


 …………。


 ……………… 衝 撃 の 事 実 !!!



 そりゃ確かに逃げ足を鍛えてくれてるってのは分かってたけども!

 まさか剣の腕は度外視されてたなんて思いもよらなかったよ!

 え? ここ剣の道場ですよね? 何で剣の腕は放置なの? そっちも一緒に鍛えてよ!

 え? じゃあなに? 私、剣の腕はへっぽこなまんまなんですか?!


 告げられた事実に、ショックの余り体育座りになり、膝に顔を埋めた。

 私は貝。

 ホッキガイとかトリガイとか、そんなやつ。ひょっとしたら毒性のあるイモガイかもしれない。

 もう良いよ、今日はここでこうやって貝みたいにじっとしてるよ。剣レベルの低い私にはそれがお似合いだよ。

 お兄ちゃんたちも、わざわざレベルの足りない私に付き合うこと無いんだよ。各自の稽古に打ち込むべきだよ。足を引っ張る妹分の事なんて忘れてさ。


 突然黙って自分の殻に閉じこもった私に、お兄ちゃんたちが慌てて何か言っているようだが、貝の耳には届きません。貝は人語を(かい)しません。おっとダジャレが。

 あーあ、一気にやる気がどっか行ったわ。

 せっかくチョコ持って来たのにな。全部自分で食べちゃおっかな。もう今日はチョコぼりぼり貪りながらぼーっとここに座ってたら良くない? そんな日があっても良くない? だってやる気が行方不明だし。

 てゆうかむしろ……。

「剣、やめよっかなぁ」

 4年以上やってきて進歩が無いんなら、見切りを付けるべきじゃないのか。

 この分の時間を魔術に割いた方が、よっぽど有益なんじゃないのか。


 デコを膝にくっつけたまま、ぽつっと後ろ向きな呟きを零すと、突然襟首を引かれ喉が絞まった。「ぐえっ」となり、そのまま盛大に咽る。

 ちょっぴり涙目になりながら首を絞めた犯人を見上げると、欠片も悪びれた様子無く「立て」と命令された。もちろん犯人はボスです。本日も外道です。


「なに、するんですか!」

「お前の稽古に付き合ってやろうというんだ。さっさと立て」

 咽る私を無表情に見下ろし、立たないのならまた襟首を引くぞ、と脅しをプラスされた。だから、どうして子供相手に容赦無しなんだ、この人は。

「いいです。私みたいな低レベルに付き合っても得るものはありませんよ」

「何を言っている。レベルが低いから稽古をするのだろう。何の練習も無く強くなれるとでも思っているのか?」

「だって、」

「余計な事をほざく暇があるのなら体を動かせ。体で足りん分は頭で補え。お前にならそれが可能だろう」

「……可能だと思います?」

「それはお前の努力次第だ」


 うーん、何だろう。

 突き放すような言い方にも聞こえるけど……どっちかというとこれ、慰めてくれてんのかな?

 慰め……慰め?! ボスが?! 私を?!

「どうしよう、ボスが優しい! はっ、もしや、それと引き換えにモルモットにしようって魂胆じゃ……」

「そんな事は考えていない」

「じゃあ血?! 私の血液が目当てなんですね?! それとも髪の毛?!」

「……気力が戻ったようだな。私との稽古が気に食わんのなら構わん。さっさと通常の稽古に移れ」

「え……ま、待って! ボスと稽古する!」

 一人で結論付け離れようとするボスの手をがしっと掴み、その反動でぱっと立ち上がって縋り付いた。


 だってまさか、本当に裏無しで励ましてくれたなんて!

 頭っから疑ってかかった分、罪悪感が半端無い!

 離れ際のちょっと優しい目の色が、余計に罪悪感を刺激したよ!

 何で今日は優しいの? 皆が冷たい分、ボスに優しさが充電されたの? どういう仕組みなの、ソレ?

 という疑問は尽きる事は無いが、それは一旦棚の上にでも置いておこう。

 私の剣の腕を向上させてくれる気が無さそうなお兄ちゃんたちより、なぜか優しいボスの手を取るべきだよね。まぁ実際、思いっきり手を掴んじゃってますが。



 私の勢いに驚いたのか一瞬硬直したボスだったが、すぐさま気を取り直したようで、「来い」と正座の集団から離れた位置へ連れて行かれ。

 そしてそのまま、慈悲の欠片も無い特訓が開催された。

 いやまぁ、慈悲は多少なりあったとは思うんだけどね。滅多打ちにはされなかったし。一応、加減はしてくれてたみたい。細かい部分も指導してくれて、率直に言うと至れり尽くせり過ぎて怖かったけど、それは黙っとこう。

 というか、普段三人がかりで向かってくるお兄ちゃんたちよりもボス一人の方が手強いって……この人、魔法師長なんだよね? どうして魔法無しでこんなに強いの? 天は二物を与えずって、嘘っぱちだね?


 ボスの強さに必死で食らい付いていた私は、ぎゃーぎゃーとうるさい外野(お兄ちゃんたちが私へと全力で謝罪してたようだ)を総スルー。

 小休止の時、ボスにだけチョコを差し出し一緒に食べたけど、別にお兄ちゃんたちに意趣返しをした訳では……。

 チョコのお礼なのか、ボスがためらいがちに頭を撫でてきて、いつもなら避けるか突っぱねるその手を受け入れたのも、別にお兄ちゃんたちに見せつける訳では……。



 ははは、お兄ちゃんたちがショックを受けた顔をしている! 満足!



 お兄ちゃんたちに精神的仕返し(メンタルアタック)が成功して内心ウッハウハだった私は気付かなかった。

 頭を撫でていたボスの目が、探るようなものに変わっていた事なんて。



******



ボスとおっちゃんの会話



「シーデが倒したというのは、本当に只の熊か?」

「は? ああ、ただの熊だ。門の当番だった奴等が目撃してて、死んだような目で報告してくれたよ」

「死んだような目、とは?」

「何でも、狩った熊を魔法だか魔術だかで飛ばせて、それに乗っかって飛んで帰って来たって話だ」

「それはシュールな絵面だな」

「だろ。……ところでお前、何で今日は嬢ちゃんに優しかったんだ?」

「そうだな……あの娘の沈んでいる姿は、見ていて気分の良いものでは無かった」

「あー、まぁいつもの嬢ちゃんならお前相手だと、元気に喚いてる事が多いからな」

「……まさか、手を掴まれるとは思わなかったが」

「ん?」

「普段はあれだけ寄るな触るなと言ってくるあの娘が、自ら私に触れてくるとは」

「ああ、兄貴分達の説教が堪えたんだろう。まぁ主犯は俺だが……嬢ちゃんの為を思っての事だったんだが……嫌われて無い事を祈ろう……」

「頭を撫でても抵抗されなかった。野生動物を手懐けたような気分だな」

「お前、いい加減、嬢ちゃんを人間扱いしてやれよ……」

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