それではこれより質疑応答を開始します
1週間は早い。
もうオルリア先生宅に二度目の訪問をする日になった。
いや、ちゃんと他の事もしてるよ?
道場でボスをあしらったり、店でストーカーをスルーしたり、図書館でボスから逃げたり。
……いやあ、たのしいまいにちだ(棒読み)。
そうしてウキウキと先生宅へ訪問した途端、にこやかに出迎えてくれた執事のシュラウトスさんに手を取られ、有無を言わさず前回の客間へと連行された。とても優雅な物腰で連れて行かれたので傍から見ればまるでエスコートされているようだったとは思うけど、実態は連行。“繋いだ手を離さないぞ”レベルの迫力を感じた。
ちょ、私、何かしたっけ?!
******
「いらっしゃいシーデ」
「やあシーデ、よく来てくれたな」
通された客間でソファへと座らされ、同じく座ってにこやかに迎えてくれた先生たちへ、とりあえず挨拶を。
「こんにちは、お邪魔します、兄様。髪をアップにされた姿も愛らしいですね、姉様。その淡い色の口紅も、姉様の柔らかな可憐さを引き立てていてお似合いです。先生はもしかして香水を変えられましたか? 爽やかな香りが凛とした美しさの先生にピッタリですね」
「あのね、毎回褒めなくても」
「シーデちゃんったら本当に良い子! しかも注目する場所が細かくて的確! 乙女心に響いたわ! あなたも見習ってちょうだい!」
困った顔をするオルリア先生の言葉をかき消す勢いで、姉様が歓喜の声を上げた。
ついでとばかりに文句を言われた兄様は恨みがましい目をこちらへ向けてきたが、私はちっとも悪くないのでそっぽを向いておいた。奥さんはちゃんと褒めないと駄目だよ?
「それで、どうして私はシュラウトスさんに連行されたんでしょうか?」
「ああ、驚かせてすまないな。実は、君が前回持って来てくれた物が我が家で物議を醸していてね。ちょっと話を聞きたいんだが」
「持って来た物? ……ああ、手土産ですか? お気に召しませんでした?」
「いやいや違う。お気に召しまくりだ。君の目論見通り、最終的に余った分をかけて戦争が勃発したからな。まぁ独り勝ちして独り占めしたのはそこのシュラウトスだが」
その言葉に、部屋の隅で静かに控えていたシュラウトスさんへと勢いよく視線を向ける。
独り占め?! 余りは10個あったはずだけど、全部食べたの?! 一人で?!
「大変美味しゅうございました。シーデ様、誠にありがとうございました」
そう微笑んで深々とお辞儀をされたが……食べたんだ、一人で。凄え。
「旦那様、僭越ながら、私からお話させて頂いても宜しいでしょうか?」
「そうしてくれるか」
慇懃に申し出るシュラウトスさんに、兄様が許可を与えているが……何の話だろう?
「シーデ様が先日お持ち下さったのは、クランツ氏の店のケーキでございますね?」
「そうです、クランツさんとこのフォンダンショコラです。クランツさんの店をご存じなんですか?」
「一部の甘味好きには有名でございます。特にあのフォンダンショコラは販売日が無作為である上に販売数量もその日によって異なり、一切の予約を受け付けませんので入手が困難で……私も一度しかいただいた事はございませんでしたが、シーデ様のおかげをもちまして心ゆくまで堪能させて頂きました」
物静かで冷静な白髪ジェントルマン系執事さんという第一印象が、たった今覆されました。意外な人が甘味好きだな。予想外だが可愛いのですべてを許そう。
「わたくし達はシュラウトスからそれを聞いて驚いたのよ。そんなに入手困難な物を持って来てくれただなんて。気遣いのしすぎは良くないわ」
「いえ、ちょっとツテがありまして」
「そもそも、フォンダンショコラ? なんていう食い物は今まで知らなかったぞ、俺達は。他国でも聞いた事が無い。一体どこの国の菓子なんだ?」
「さあ? それは私に聞かれても分かりかねますが」
兄様の疑問に空っとぼけてみせるが、まぁ実際は私がクランツさんに教えたんだよね、フォンダンショコラ。この世界には無いっぽかったから、クランツさんの店の良い宣伝になるんじゃないかなと思ったのと、あとは単純に私が食べたかったという理由。
自分で作れって? 駄目なんだよ。私が作ると物体Xが出来上がるんだよ。料理は年齢並に出来る(残念な事に精神年齢並ではなく実年齢並だが。前世では料理をしなかったんだよ、私)のに、菓子類だけはなぜか作れない。作り方は分かってるのに、最終的に出来上がるのは物体X。自分でも意味が分からない。
作り方を知っている理由は、前世の親友の一人である山下がパティシエだったからだ。工業高校の建築科を卒業した上でパティシエになるとか、なかなか渋い。
彼は私に女子力を叩き込もうと、様々な菓子の作り方を伝授してくれた。しかし残念ながら物体Xしか生み出されなかった。本気で残念だ……。
ちなみにクランツさんというのは、ウチの近所に1年ほど前に店を構えたチョコレート専門店の店主兼ショコラティエだ。この世界にも居たんだよね、ショコラティエ。二つ隣の国がカカオの名産地らしい。
クランツさんがお店をオープンしてすぐの頃、ちょっとしたきっかけで味見役を頼まれるようになり、そこから着実に友情を育んできた。
そうなんです、ボッチの私に友人ができていたんです!
一回り以上年上の男性だけどね。どうも同年代には縁が無いな。しかし、同年代とどう遊んで良いのか分からないし、まぁ良いか。
「ツテがあると仰いましたが、あれは多い日でも20個程度しか店頭に並ばない貴重な品でございます。先程も申しました通り、予約も受け付けておりません。一体どのようにしてあのように大量にお買い上げなされましたのか、是非とも伺わせて頂きたいのですが」
「シーデ、やっぱり入手が困難な品なのね? どうしてそんな無理を」
「いやだから無理じゃ無いですってば! クランツさんとは金友なんです! そのよしみで融通してもらっただけです!」
眉根を寄せて私を見るオルリア先生に、お説教は勘弁してという念を込めて両手を振って否定すると、兄様から不思議そうな声が上がった。
「カネトモって何だ?」
「金儲け友達の略称です」
「ぶはっ! か、かねもうけともだちっ……!」
質問を寄こした兄様が、私の回答に口元を覆って笑い出した。まったくもって伯爵様らしくない人だ。私の中の好感度はうなぎ登りの真っ最中ですよ。
ひとしきり笑った後、「もうひとつ聞きたい」と言い出した兄様は、それまで通り朗らかな笑みを湛えてはいたが、目は少し真剣だ。思わず私の背筋も伸びた。
「何ですか?」
「さっき『多い日でも20個程度しか店頭に並ばない』と言っていたのに、うちに持って来てくれたのはその倍以上の数だ。それはつまり、本来ならそれだけの数を生産する事が可能だという事じゃないのか? だとすると、あえて生産数を抑えているのは、稀少価値を高め買い手の購買意欲を誘うという手法か?」
「兄上? そもそもシーデは買ってきてくれただけよ? 他店の内情なんて聞いても分からないでしょう」
「うーん、というか、一番の理由は、クランツさんが焼き菓子に積極的な意欲を持っていない点にあります」
「……理解しているのね? 本当に、何て子なの……」
オルリア先生がそう呟いているが、聞こえてない事にしとこう。
だって兄様の質問をスルーした挙句、クランツさんの店に直接訪問して訊ねられたらクランツさんに迷惑がかかるじゃないか。そしてその原因となった私がクランツさんに冷ややかな怒りのこもった笑顔を向けられるじゃないか。それは勘弁して欲しい。
「あれだけの物が作れるのに、意欲が無い?」
「皆無という訳じゃないですけど……彼は、仕入れた様々なチョコレートを自分なりに配合して美味しいチョコを作るのが好きなんです。それに彼の店は彼が一人で切り盛りしてるので、焼き菓子にかける時間をあんまり取れない、という理由もあります」
「しかし現実には、あれだけの数を作れていたようだが」
「こちらに伺う前日の夜、閉店後に作ってもらったんです。店内の清掃を私が受け持って、後は夕飯をウチで食べてもらう事にすれば時間が捻出できますから、その時間を使って作ってもらいました」
「そういう事か……」
私の返答はどうやら兄様の予想とは違っていたようで、途端にガッカリした顔をされた。何を期待してたんだろう?
「ねぇあなた、一体何が問題だったの? 数の出回らないお菓子を持って来てくれた事を喜んじゃ駄目だったの?」
ふわふわとした姉様が、外見通りのふわふわとしたコメントをしている。可愛い人だなぁ。
「いや……稀少価値を高め買い手の欲を煽る手法に、なかなかの商売人だと興味を引かれて……まぁ多用し過ぎると反感を買う方法ではあるんだが」
「……」
「ねぇシーデ? 何故今、兄上の言葉に目を逸らしたのかしら? 貴女、何か思い当たる節があるのではなくって?」
「イイエ? ナニモ?」
「……シーデ?」
片言で返した私に、先生の目が細められた。嘘は見抜くわよと言わんばかりだ。蛇に睨まれた蛙の気持ちが少しだけ理解出来た。蛇も蛙も好きだから仲良くして欲しいなぁ、というのはただの現実逃避です、ハイ。
「ええっと……まぁ、そういう意図がまったく無かったとは言い切れないというか……でも稀少価値が高まりはしましたけど、それに付け込んで暴利を貪るような価格設定にしてる訳では無いので、その点は良心的だと自負してるというか……」
「うんと、シーデちゃん? これはクランツさんてゆう人のお店のお菓子の話よね? どうしてシーデちゃんが当事者みたいな言い方をするの?」
「……この販売方法は私が提案したので」
別に言っちゃ駄目な話では無いが、何か言外に『外道な手法』って言われてる気がして、ちょっと言いよどんでしまったよ。私は外道じゃ無いっつうのに。ぷんぷん。……よし、我ながらキモイ。
「シーデが? この販売方法を?」
「はあ。さっきも言った通り、クランツさんは焼き菓子に余り手をかける気は無くって。でもせっかく美味しい物が出来たのに、販売しないのも儲けるチャンスを逃す事になるから……だから、時間がある日にだけ、作れるだけの数を作って販売すれば良い、と」
「しかしあれだけ美味くて店の名物となる品なら、安定した供給が行われないと苦情が発生するんじゃないか?」
「それも聞かれましたけど、何か言われたら『生ものですので、仕入れの状況により販売出来る日が限られるんですよ』って返せば大丈夫って教えました」
「……予約を受け付けない理由は?」
「一部の人による買い占めを防ぐためと、後は、これを目当てに来店した人も、もし店頭にこれが無ければ別の物を買ってくれますよね? そうして食べた物を気に入ってくれれば、再度来店してくれる可能性が高くなります、から……」
説明していくうちに、兄様の表情がだんだん険しく様変わりしていったので、ついつい言葉尻が小さくしょぼくれたものになってしまった。
何だろう。何か怒らせる事を言っちゃったんだろうか。兄様の中のシーデ株が下落してってんのかな。切ない。
「んもう、あなたが怖い顔するから、シーデちゃんが怯えてるじゃないの! シーデちゃんに謝りなさい! 顔も直しなさい!」
「顔直せってそれ、俺の顔面に不満を抱いてるみたいに聞こえるんだが……いやいや俺が悪かった! 怒ってる訳じゃ無いぞ! 怖い顔してごめんな!」
慌てて謝ってきたのは私がしょぼくれたからじゃ無くって、姉様が湯気の立つティーカップを兄様の頭上で今にもぶちまけてやろうと構えてるからだよね? 一瞬姉様からウチの最終兵器と同じ匂いを嗅ぎ取ってしまったが……この世界には可憐な人妻イコール凶器という法則でもあるんだろうか? 恐ろしい世界に転生してしまったもんだ。
「でもやはり、目当ての品が店頭に無いと怒りだす客もいるんじゃないか?」
「限りなくゼロに近いですけどね。あのお店の客層は主に女性がメインですから」
「女性客がメインな事と怒る客がいないことに関連性は無いだろ?」
「いいえ? だってクランツさん、顔面偏差値が高いですし」
「顔面偏差値」
「ええ。鋭利な眼差しに銀縁の眼鏡が似合うクールなインテリ系美青年なんです。文句を言うような女性はまずいませんね」
「えーとじゃあ、男性客は」
「文句を言った途端、周囲の女性客から放たれた絞め殺さんばかりの殺気に、敗残兵のような勢いで遁走してました」
一度現場を目撃したが、かなりえげつない殺気だった。
まぁクレームを付けてた男性の態度も横柄だった上、内容もいちゃもんに近いものだったのでざまあみろとしか思わなかったけど。
「では……これが一番重要なんだが、常識的に考えて君のような年齢の子がこんな販売方法を思い付く事は無い……はっきり言えば有り得ないと思っている。君はこういった事をどうやって思い付くんだ?」
今までで一番真剣な表情をした兄様が、鋭い目線で私を貫いた。
兄様だけでなく、客間に居る全員(姉様は除く)が私を探るような目つきで見つめている。
まぁこういった疑問を呈される事がいつかはあるんじゃないかと思ってたよ。というか、クランツさんにも聞かれたしね。
でも大丈夫、私には魔法の呪文があるから!
「そういうのを思い付くのは、私がちょっとおませさんで頭の良い子供だからです!」
ドヤァと胸を張ると、室内が嘘のように静まり返った。
数拍の後、表情の消えた兄様の口から、今までにない平坦な声が漏れる。
「ちょっとおませさん」
「はい!」
「あたまのよいこども」
「そうです!」
魔法の呪文、別名“勢いのみの押し切り”。
無邪気に笑って言えば、大体の事は押し切れる自信がある。子供って素晴らしい。
だってさ、人から聞いたとか本で読んだとか言うと、出どころ探られるじゃん? 誤魔化すにも限度があるよね、それ。
それよりはいっそ開き直って、『頭良いでしょ褒めて!』ぐらいの勢いで行った方が良いと思うんだ。無邪気に己を誇る子供を深追いは出来まいよ、大人としては。
「異国の言葉に“十で神童、十五で才子、二十すぎれば只の人”ってのがあるらしいですけど、私もそんな感じなんじゃないですかね?」
けろりと付け加えてみると、室内の全員が脱力したようで弛緩した空気が漂ってしまったが、別に私のせいでは無い。多分。
「ところでシーデ様、私からもお伺いしたい事がもう一点あるのですが、宜しいでしょうか?」
気の抜けた空気を払うよう、コホンと咳ばらいの後、そう切り出したのはシュラウトスさん。
「じゃあ代わりに、おすすめの甘味もしくはお店を教えてください」
私は格別に甘味好きという訳じゃ無いけど、ウチの店でも焼き菓子系は取り扱ってるし、他店の人気商品は気になる。
つまりは甘味好きの方から情報を得て、敵情視察がしたいのですよ。ふふ、負けん、ウチの店は負けはしないぞ!
「お安い御用でございます。後程、私の作成しました“王都甘味マップ”の写しを進呈致しましょう」
「甘味への情熱が凄い! ……では質問をどうぞ」
「件のケーキ……というよりも、それの入っていた箱に掛けられていた術に関しましてお聞きしたいのです。あれは状態保存の術に相違ありませんね?」
「はい、そうです」
「以前同じ商品を購入した際は、状態保存ではなく温度を一定に保つような術がかけられていたと記憶しておりますが……」
「ああ、販売しているものに関しては現在も保温の術ですよ。今回だけ状態保存にしてみたんです」
保温の術も状態保存の術も、読んで字の如くな術なので、特に説明は要らないだろう。
フォンダンショコラは温かいままで食べるべきケーキ。なので普段販売する際には保温の術を施してある。電子レンジのある世界じゃないからね。魔法もしくは魔術を使える人じゃないと温め直せないってのは、こういう場合不便だと感じる。
但し、術の効果は2時間で切れるようにしてある。転売を防止するためだ。許可を得ない転売で暴利を貪ろうなんて甘い考えは許さない派です、私。
今回保温ではなく状態保存にしてみたのは、偏に覚えたばかりの術を使ってみたかったからという自分本位な理由がひとつ。もうひとつは、多めに持って来た事もあってすぐに食べきってもらえるかは分からなかったので、3日間ほど持つよう状態保存にしておいた。
保温で3日間だとパッサパサになる……というか多分傷む。その点、状態保存なら出来立ての状態そのままで保存されるので、パサつかず傷まず温かいまま召し上がってもらえるのだ。
しかしそれらを踏まえると……シュラウトスさん、3日間で10個(元々の自分の分も含めれば11個)食べきったんだな。胃袋が甘味専用なのか。
「……ちょっと待って。あれは貴女がかけた術なの? それに今の言い方だと、普段も貴女がかけているように聞こえるのだけれど」
「“かけている”というと語弊があるんですが……正確には“術のための陣を提供している”ですね。今回に限っては自分でかけましたけど」
提供しているとは言え、もちろん無償では無い。
そういうのはきちんとしたいとクランツさんと私の意見が一致したので、小遣い程度の額を受け取っている。甘えて甘やかしてずるずるいく、なんて関係はお互い望んで無い。友人であろうとも仕事は仕事。フォンダンショコラの件で融通してもらえたのは、私がその開発(?)に携わったという理由があるからだ。
「それはおかしいわ。だって魔術の陣という物は、描いた本人しか発動出来無いじゃないの」
先生の訝し気な言葉に、「描いた本人以外にも発動させられる方法があるんですよ。なので問題ありません」と答え、あ、また食いついて来られるかな、と軽く身を竦め構えると。
「詳しく。そのお話を詳しく掘り下げていただきましょうか」
一瞬で私の背後へと移動したシュラウトスさんに、がしっと肩を掴まれた。
「正面に座る先生を警戒してたのに予想外の人からの食いつき! なぜにシュラウトスさんが?!」
両肩を押さえ付けられているので立ち上がる事も振り返る事も出来ず、しょうがないので首を後ろへと倒しシュラウトスさんを見上げるようにして尋ねてみれば。
「お嬢様の魔術の師を務めさせて頂いたのは私でございますので」
にっこりと微笑まれ、予想外の回答をいただきました。
って事はシュラウトスさんは私の師匠の師匠にあたるのか。
……ねえ待って。フォンダンショコラの争奪戦、まさか魔術使ってないよね?! だから独り勝ち出来た訳じゃ無いよね?!
そんな私の心の叫びは他所に、その後は魔術に関して(他人に陣を使わせる方法、そもそも状態保存の術をいつ覚えたのか、他に有用な術は何があるか等)の尋問に突入。
「こうなったシュラウトスは止まらないから頑張ってくれ。じゃあ俺は出掛けるよまたな!」と茶目っ気たっぷりにウインクを飛ばした兄様は、あっさりと私を見捨て。
「私もお買い物に行って来るわ♪ シーデちゃん、お土産は何が良い?」と、魔術の話に興味ゼロです! な姉様もさっさと出掛けてしまい。
洗い浚い吐け! と言わんばかりに迫る二人に、結局日が暮れるまで付き合わされる羽目になってしまった。執事としての仕事は放置? と思いつつも聞けなかったのは、私がチキンハートだからである。
なぜ弟子であるはずの私が教える立場なのか……謎だ。




