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3話

オアシスに店を構えるRさん

 「金持ちになりたいのなら、無駄遣いをせずに金を貯めろ。ノウハウを身に付けろ。そして勝負し勝利する事だ。まぁ金持ちで居続ける事の方が難しいのだがな。」



海洋都市国家ガーランは王都と呼ばれている。数百年前までは普通の町だったガーランは、船の性能の向上、海路の発達とともに発展していった。三大陸のちょうど中央、へその様な好位置にこの町があった為、瞬く間に成長。


元々いた町の人々の財力を貯え、利権を守ろうと、自衛の為の武器を購入。自治権を財力によって近隣諸国から認めさせ、現在都市国家として存在しその巨大な都市はいつしか都市の中の都市。王がいないのにも関わらず、王都と呼ばれるようになった。


王都ガーランの国立工房に【長靴と傘】店主、リッチモンドは訪れていた。姿は身長百八十代台の細身の体つきで、サラサラの金髪、キリリとした切れの長い目と高い鼻をもち、ニヒルな笑みを浮かべている、やり手の営業マン風の好青年である。


リッチモンドの目的は勿論手に入れた白銀のガントレットの解析であった。しかしどういうわけか、通されたのは研究室等ではなく談話室であった。


「どういう事ですかな?まさかとは思いますが金銭的な引き上げなら、受け入れませんぞ。」


見た目は好青年のリッチモンドの言葉を遮るように、デップリと太った副工房長は話し出す。


「いえ、リッチモンドさん。こちらがお願いしたいのは他にあるのです。あのガントレットと同じ材質の物が他にも有りまして、リッチモンドさんにも拝見してほしいのです。」


「あれと同じモノがここに、、」


リッチモンドは興味が湧き、ついつい副工房長の提案に乗ってしまった。少し後悔はしたが好奇心には勝てず、副工房長の後に続き長い廊下を歩く。


暫くして、リッチモンドの眼前には大きな扉が現れた。また左右には最新式であるパケットボウ(連射式且つ装填が容易な箱型のボウガン)を構える警備兵が五人ずつ控えている。


指揮官らしき人物に副工房長は手を挙げ、開けるよう合図をする、扉越しに指揮官は合図を送り内側より扉が開かれた。


先に副工房長、リッチモンドに指揮官が続いて扉の中にある研究室らしき部屋に入る。部屋の大きさに比べ置いてある室内にある物は一つだけ。それは非常に大きな【棺】の様なものだった。只圧倒的に違うのは棺そのものが、ガントレットと同じ様な材質であることだ。


「コレが、、」


「リッチモンドさん、コレの材質が何なのかそれは分かりません。分かることといえば非常に強固な材質であり、火薬による衝撃や熱、冷気にも強いということ。」


「そして何より、これらのモノは十数年前にとある冒険者集団が見つけたという情報だけでした。」


リッチモンドは副工房長の話を聞きながら自分のガントレットを警備兵から渡され、右腕に装着する。


「多分【ナガレモノ】だと思われます。」




ある学者が唱えた説によると、この世界は宇宙という、強大な空間の一部分に過ぎない。そしてまたその宇宙すらも、多次元の一部でしかない。


【ナガレモノ】とは違う次元から流れてきた漂流物やモンスターの総称であった。


「実はリッチモンドさんを招いたのは共鳴反応を確かめるためでして。互いに似た性質の物体を近付ければこの棺も何かしらの反応があると思ったのですが、、」


リッチモンドが棺にガントレットを装着したまま右腕で触れたり、ガントレットで擦ってみたりしたが全く反応は無かった。


「やはり駄目ですか。」


皆が開かないことにガッカリした様子になる。リッチモンドも諦め、最後に手触りでも確かめようと手の平を棺にペタリと付ける。


「その様ですね。自分としてはこのようなモノを見せていただいたのに申し訳ないです。今後ともこちらの工房にー??」


リッチモンドが話をしている途中、ガントレットから光が放たれ棺がその光を受け止める。


『簡易ロック解除、汎用アンドロイド、スリープモードからスタートモードに移行。』


共鳴反応を起こした棺に皆が驚く。リッチモンドが触れている手の上側に、光る奇妙な文字が浮かび上がるのを副工房長や警備兵が確認する。


『スタートモード。バージョンアップ自動ダウンロード、、エラー。自動学習モードに切り替え。本人確認のため生体認証登録を行って下さい。』


プシュウウウウウウ。


棺が蓋が横にスライドし開かれる。水蒸気の中から銀色の髪の女性が現れ皆が息を飲んだ。


異形だったからではない、その女性が美しかったからだ。もし口を開いて【美の女神】だと言えば誰もが信じただろう。眉は勇敢さを表しつつも慈愛を感じさせ、大きな眼には知性があふれ、鼻は高く透き通り愛らしくあり、口は妖艶でありながら乙女のように穢れがない。


女性の身長は170センチ後半で少し背が高く、肌にフィットした少し厚手のローブを全身に着込んでいた。ローブを着ていても彼女の女性らしい部分が隠れることが無く、なんとも魅力的であった。


「、、、」


女神は周りを見渡す。先ずはガントレットを装着しているリッチモンド、次に副工房長、警備兵しかし、誰にも興味を示さず、ただ呆然と主人を待つ子犬のように次々に現れる人々を見渡すのだった。




その頃王都ガーランより東、砂漠と山脈の境界線にアルド・ガーデンブルグは立っていた。一週間、蠍の血肉を纏って風呂にも入らなかった為に全身に泥がこびり付き、体は歩き疲れボロボロだった。


目は濁り虚ろで、鼻には血糊のようなものがイボのように付着し、髭は不格好に伸び絡み合い、乾いた唇はパリパリで生気がなかった。そしてなにより辺りには酷い臭いが漂い、子バエがたかっていた。


「着いた、、着いたぞおお!!見たかっ、ガイドなんて要らないんだよ。もうサソリの肉は喰わねえ、自分から出た黄色い水も飲まねーぞおぉ。はははっ!!」


といって、最後の体力を使い切ったのかパタリと倒れるとそのまま気絶したのだった。




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