いつも楽しかったあの公園で
ただ、みんなでかくれんぼがしたかった。
それだけ。たったそれだけだったんだ。
僕が鬼でよかった。
みんなを探して、捕まえたかった。
笑っていられればよかった。
だけど、気がついたら周りには誰もいなかった。
どれだけ探してみても、見回してみても、降参って叫んでみても。
誰もいない、何もない、自分しかいない。
ふと、向こうの道路を見ると、帰り道を楽しそうに歩く友達が見えた。
なぁんだ、あんな所にいたのか。
じゃぁ、どうして僕はまだ、鬼をやっているの?
僕だけが、かくれんぼしてるの?
誰かを探して。
何かを探して。
誰もいなくて。
何もなくて。
友達は楽しそうに、帰っていく。
…早く帰りなよ。
誰の言葉?
捕まえたくて、捕まえられたくて、捕まらなくて、捕まえてくれなくて。
笑ってお別れ。
一人で泣いた。
(おしまい)