第二話
「すると、君達はパーティーを組んでいるのか?」
「そうだよ、僕が剣士、アンジュが魔法使い。セイは僕の剣に宿る精霊。この三人で冒険者として活動しているんだ」
さくさくと森を歩きながらカイルと話していたアルフォンスは、子供達が冒険者という事に目を丸くしていた。
冒険者――それは文字通りあちこちを旅し、冒険をする者達。冒険者ギルドの試験を通過した一定以上の実力がなければ名乗れぬ名称をいとも簡単に口にしたカイルを眺める。
旅向きの軽装に使い込んだのだろう剣と靴。それから子供には似つかわしくない剣ダコのある手。
嘘を言っている様子はないが、素直に認めるにはあまりにも年が若すぎる。
先程聞いたところ、二人の年齢は十二歳だというのだ。いくら才能があるといえどもまだまだ親の庇護下にあるべき年齢で、何故冒険者となったのか。
聞いていいものかと悩みつつ結局口にすれば、カイルは大人びた微笑みを浮かべた。
「僕の力、アンジュの力、子供というにはあまりにも大きすぎるでしょう? それに、探してるものもあるからね、僕の母さんとアンジュの師匠を説得して冒険者になったんだよ」
「探しもの、とは?」
「アンジュの両親と、僕の父親。どこの誰で生きているのかもわからないけど、会いたいんだ」
あまりにも純粋な願い。怨むでも憎むでもなく、穏やかな顔のカイルに言葉が出ない。
「僕より会いたいのはアンジュだろうね。とても大きな魔力を持っているけれど、両親がわからない。普通ではありえない状況だもん、自分がなんなのかわからないって昔はよく泣いてたんだ」
「だから、共に旅を?」
「うん。僕もね、母さんが誰なのかは教えてくれないから、自分で探すしかないんだ。だから、一緒に探してるんだよ」
喉の奥に何か嫌なものが張り付いているような感覚を覚えつつ、アルフォンスは声を絞り出した。
「会って、何を言うんだ?」
「何を?」
向けられた青い瞳が不思議そうに瞬き、ついでやわらかな光を宿す。
「――僕をアンジュと巡り逢せてくれて、ありがとう。かな」
無邪気とも言えるほど真っ直ぐな言葉。また、ぱちりと音が聞こえる。
『ありがとう、アルフォンス』
そう言ったのは、誰だった――……?
「あ、見えて来たよ、森の出口!!」
「そうだな、もう一息だ。完全に日が落ちてしまう前でよかった」
アンジュとセイの声に我に返る。
「いこう、アルフォンスさん」
「あ、ああ……」
困惑しつつもカイルに手を引かれ、森を抜ける。
頬を撫でていく風は記憶と同じで、けれど。
「綺麗だねー!!」
「そうだね」
遠くに見えたノースの町は、アルフォンスの記憶と異なっていた。
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