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精霊と魔法の在る生活  作者: 桐無
幼少期
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14話 兄妹と子供達

 クラースさんから孤児院の子供達に、俺と兄について軽く説明がされた。俺達2人は自己紹介を済ませて、一通りの挨拶が終わると解散になった。

解散してから何人かの子供達が近づいてきて、興味深そうに俺達を見ている。その中には、さっきの獣人の子もいた。もふもふの子きた!とか内心でガッツポーズをしているのは、内緒にしておこう。

最初に話しかけてきたのは、獣人の子だ。

「僕はフォルっていうんだ、よろしくね。見ての通り狼の獣人族で9歳だよ」

そう言って、挨拶をしてくれた。ふかふかしてそうで、超触りたい……と、またも我を忘れそうになるのは仕方のない話だと思う。こんな近くに、あの耳や尻尾があるのだから。


挨拶を返した後は気を紛らわすように横を見ると、既に兄は他の子達と仲良くなるキッカケを得たのか、話をしているようだ。

やんちゃそうな男の子はティム、そしてティム君に隠れるようにして、それでも興味深そうに兄を見ている女の子はイサナと自己紹介をしていた。

ティム君は5歳、イサナちゃんは4歳でどちらも、俺達より少しだけ年上のようだ。

「ところでリーシアちゃん、さっき僕の方をじっと見ていたようだけど、どうかしたの?」

突然フォル君に質問されてしまったが、まさか耳や尻尾に触りたかったんですとは言えないので、ちょっと誤魔化しつつ応じる。。

「あ、ごめんなさい。今まで家から出たことがなかったので、獣人族の方を見るのが初めてなのです。それで珍しくて、つい……」

そう言うと、フォル君は楽しそうに笑いながら応じてくれた。

「いや、いいよ。もしかして、僕の尻尾が気になる?」

「そ、そんなことはないですよっ?」

もしかして、無意識に目で追っかけてたんだろうか。突然の指摘に焦ってしまった。

「少しなら、触っても良いよ」

フォル君はなんて良い人なんだろうか。大人が子供の体を撫で回すとか、少し犯罪の臭いがしてくるのだが、俺も体は子供だから何ら問題にはならないはずだ。


 というわけで、じっくりと触らせて頂きました──耳も忘れずに。

ちょっと無遠慮過ぎただろうか?と自分の行動を省みているところである、勿論後悔はしていないが。やりたいようにやったさ、満足するまで。

フォル君の笑顔がちょっと苦笑いになっている気はするけれど、きっと気のせいだろう。

「はぁー……。フォルさん、ありがとうございました!」

「いや、リーシアちゃんが満足したならいいよ……」

耳と尻尾が垂れ下がっているフォル君の姿に、ちょっとだけ罪悪感を覚えてしまった。次回──があるかは不明だけど──は少し自重しようかなと思った。

「じゃあ、僕は手伝いがあるから、そろそろ行くね」

そう言って、足早に行ってしまった。


 さてどうしようかな? 兄と合流して遊んでも良いんだけれど、折角初めての自宅以外の建物だから、もう少しこの辺りを眺めていたい。

今いる場所は入り口からすぐの広間だが、一番奥が一段高くなっていて、その壁面には豪華なステンドグラスが付いている。

赤、緑、青、黄の4区画に色が散りばめられており、黄の区画にはトカゲ、赤の区画には蜂、緑の区画には蝶々、青の区画に蛇が描かれている。これを見る限り、ここでは精霊信仰がされているのだろう。

「おや、ステンドグラスが珍しい?」

唐突に話しかけられたので振り向くと、両手に買い物かごを下げたコーニアさんがいた。

「はい、初めて見ました」

前世の記憶と併せても、テレビで海外の教会を撮影していたのを見たことがあるくらいで、本物を直に見るのは初めてだ。

「これは精霊様を描いたものですよね、ここは教会なんですか?」

「えぇ、そうよ。うちは孤児院をやってるけどね、元々は小さな教会から始まってるの」

なるほど、だからその名残で広間にステンドグラスが設置されているのか。

「これを見ただけで、分かるのね」

「家で、精霊様のご本を読んだことがありますので」

「読んだって、自分で? 事前に聞いてはいたけど、本当に聡い子なのねぇ……カルスが親バカ過ぎて、誇張表現されてるだけじゃなかったわけか」

何か後半にぼそっと聞こえた気がした。他人に親バカ評価を下されるって、父は一体……普段どんな風に俺達のことを話しているんだろうか。



「変わったものがあるのは、ここくらいかしら。他は子供達の部屋やあたし達の部屋、それにさっきの事務室くらいだから、普通の家とそんなに変わりゃしないよ」

広間以外は、仕事部屋と居住スペースくらいなんだな。それならいつか見にいけばいいから、今日はとりあえず兄達に合流しようか。

「ティム達は多分裏庭に居ると思うから、合流するならそっちに行くといいわ」

「はい、ありがとうございます、行ってみますね」

外に出るために、入り口の方に向かった。俺はまだ、この後であんな目に遭うとは──全く思ってもいなかった。

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