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精霊と魔法の在る生活  作者: 桐無
幼少期
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01話 物心の付いた日

『変・・た魂を・・・子だ・』

『う・・今・・見た・・・ない感・・・』

何か聞こえた気はするが、いまいち聞き取れない。


・・・・・・・


 ふと目を覚ますと真っ白な部屋?に居た。眩しすぎて何も見えない。目を閉じても刺すような痛みが走り、俺は言葉にならない声で光を当てないでくれ、と叫んでいた。

しばらくして、少し部屋が暗くなった気がした。見知らぬ人達に囲まれているが、皆とても喜んでいるように見える。視界の隅には、何かが動いているような気がした。

しかし今はとにかく眠たい。もう少し寝て、起きてから考えるとしよう。


・・・・・・・


 何だかぼんやりとした感じが抜けない。沢山寝たと思うのだが、まだ寝足りないのだろうか。


 俺は多分、椅子に座っているんだろう。この風景はさっき見た部屋とは違うみたいだ。異国情緒の溢れる調度品、きっと夢を見ているのだろう。

正面に座っているのは、さっき囲んでいた人の一人と同じように見える。

また、何かが隅の方に見えている気がする。

正面の人と一言二言会話をしたような気がするが、何だか意識がはっきりしない。


・・・・・・・


 今度はベッドの上にいるようだ。さっきまでと違い、意識がしっかりしてきた。夢の中で意識がはっきりすると言うのも、妙な話ではあるが。


手足の感覚もあり、意識もしっかりしている。手足を動かしても、確かに動く感覚はある。

ベタな行為ではあるが、頬を少し抓ってみる……痛い。痛いと言うことは、現実?


よし、まずはなにが起こっているのか考えてみよう。


一つ、見知らぬ場所で寝ていたらしい。

二つ、ここに来るまでの記憶がさっぱりない。

三つ、横に知らない子供が寝ている。


うん、分かることがほとんど無いようだ。


次に、現状把握をしてみるとしようか。


 まずは場所について……どこだろう、ここは。

室内を見回してみても、見慣れた物は何一つ無く、西洋風なクローゼットや、カーテンの引かれた窓がある。カーテン越しに射し込む光は明るいので、今は夜ではないだろう。

床にはシンプルだが上等な感じの絨毯が敷かれている。そして、俺はその上に置かれたベッドの上で寝転がった状態で、思考を巡らせている。ベッドから下を覗くと、靴が丁寧に揃えられ置かれている。

このことから察するに、室内でも靴を履いて過ごす文化の場所にいることになる。

少なくとも俺の記憶にある日本の文化では、断じてない。


 ここに来るまでの記憶は……そもそも普通に帰宅して、いつも通りに食事等を済ませ、布団の中で寝たところまでは覚えている。

それ以降の記憶となると、うっすらと誰かに囲まれていた記憶はあるが、それが誰だったかは思い出せない。また、その記憶が現実の物か夢なのかも定かではない。


 横に寝ている子供は……知らないはずなのに、何だか見たことのあるような感じがする、小さな男の子だ。

髪の色は淡いブラウン、瞳の色は寝ているため不明。

顔立ちは西洋系で、まだ3・4歳といったところだろうか。幼さが残るが、なかなか可愛い顔立ちをしていると思う。


うん、どう考えても外国だな、ここは。そして見知らぬ男の子とベッドを共にしている。言葉にすると若干危険な響きはあるが、気のせいとしておく。英語なんて話せないのだが、どうしたらいいんだろうか。


そんなことを考えていたら、部屋のドアがノックされた。

「失礼致します」

日本語でも英語でもないみたいだけれど、なぜか理解はできたのでよしとしよう。

挨拶と共に部屋に入ってきた人物は、こっちに向かい真っ直ぐに歩みを進める。

「お二人とも、起きて下さいませ。もうすぐ朝食の支度が終わりますので、お召し物を替えて食堂に行きましょう」

正体も分からずに相手の顔をじーっと見ていたら、突如こっちに向かって話しかけてきた。

「あら? おはようございます。今日はもう起きてらっしゃるのですね、お嬢様」

ん……誰それ? 周囲を見回してみたが、横で寝ている子以外には誰もいないし、この子はそもそも男の子だ。消去法で考えれば、俺に話しかけているはず。

「えっと、おはようございます?」

とりあえず、返事をしてみた。挨拶を返すのは、人として基本ですよね。

「それでは、先にお召し物を替えましょうか」

やっぱり、どうやらお嬢様って、俺のことらしいよ?

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