赤い影
その時、目の前を赤い影が通り過ぎた。
ガキィイン!という音と共に火花が散る。
「カノ・・・?」
レイザに振り下ろされかけていた剣を、カノがはじき返した。麻痺が効いていなかったのかと思ったが、心なしか足元がふらついているように見える。
「ハァッ!」
怒涛の7連撃。リザードが少し後退する。
かなり凶悪なモンスターとして警戒されているライズリザードを、一人で圧倒するとは。
カノは相当の実力者らしい。
動ければ、援護に行けるのだが、右手親指が微かに動かせるぐらいのものだ。
「キシャァ!」
リザードも反撃する。
ニ連撃をかわし、カノが四度、剣を打ち込む。
ところがリザードは体を捻って二発かわし、円盾で二発弾くと、素早く垂直に斬りおろす。
「くっ!」
カノの服の肩口が裂ける。
カノが反撃を仕掛ける。
その瞬間リザードの口から再び黄金色の息が吐かれた。
「うっ・・・」
やばい!
俺は必死に起き上がろうとするが、ようやく右腕の肘から先が動いただけだ。
「ギジャァ!!」
勝利の笑みを浮かべ、リザードが曲刀を振り下ろした。
「カノ・・・!」
誰もが諦めたはずのその数瞬の間に、カノは自らの剣の峰を前にして交差させた。
まだ動けるとは相当な精神力である。
村に来る途中にも見たのこぎり状の刃が付いている。
ガガガガガガガッッ!!!
曲刀をニ刀で受け止め、勢いよくなぎ払うカノ。
のこぎり状の刃が火花を散らす。もの凄い轟音と共に鉄の塊がこちらに飛んできた。
リザードの曲刀の一部だ。
まさか・・・
カノはにやっと笑って剣を持ちあげ、立ち上がった。
なんと、刀を砕いたのだ。あの数瞬の間に。
武器を失ったリザードは反撃する術が無く、首元をカノに貫かれ散った。
「・・・トカゲ風情が。百年後に出直してこい」