オーク
「ここが例の洞窟だ」
次の早朝、レイザの案内で発生源の洞窟にやって来た。
森の奥辺りで、光がほとんど遮断されていて薄暗い。
すぐそこで滝の落ちる音が響いている。
「大体どういう構造なのか、分かるか?」
クラッドが聞いたが、レイザは首を横に振り、
「そんなに細長くないのは分かるがな、どんな広さなのかよく分からない。」
まあ入ってみるしかないだろう、という結論になり、レイザを先頭に、その後ろにカノ、俺、クラッド、エリ、ロウガの順で続く。
中は一本道のようだ。ところどころに骨とか石とか木片が落ちている。人間の骨でないことを祈る。
しばらく進むと、脇にもう一本道が分岐していた。
「なんかあそこだけ明るいな」
もしやオークがいるのか?と、思ったが、入ってみると特に何も無い。
壁画が描かれており、明らかに人間が作ったらしい赤い布の敷かれた机が一個。
光源は、そこに置いてあった仄かにオレンジ色に光る宝玉だった。
「なんだ、ここ」
宝玉を持とうとしたが、何か特別な力でも働いているのか、動かなかった。
他にも、ジャムっぽい容器や、大きな赤い剣などがあった。
「どうする?」
皆一様に、「怪しいので取らない」となった。
いや、しかし。
「俺は気になるから、このジャムっぽい奴と剣だけ持ってくわ」
誰も止めなかったので黙ってカバンに入れる。
「・・・。」
カノだけが冷たい目でこちらを見ていた。別に欲を出したわけでもないのだが。
気になるから帰って調べてみよう。
「そろそろ元の道へ戻ろう。」
レイザの号令でまた一列で元の道へ戻る。
歩いていると、意外とすぐに巣は見つかった。
岩陰からのぞくと、オークたちが蠢いている。
布のようなものを腰に巻き、石でできた鎚を持っている。何かを食べている奴、寝ている奴、武器を振り回している奴と様々だ。・・・オークも戦闘訓練とかするんだろうか。
「よし、いくぞ・・・」
レイザが岩陰から飛び出した。
刹那、オークたちが武器を構えこちらを向く。
すぐ近くにいた一匹を斬り、相手の群れに飛び込む。俺もそれに続く。
背後から炎が飛んでくる。エリの魔法だ。ただ、俺達には当たらない軌道を描き、オーク二匹ほどを黒こげにした。
オーク一匹が俺に向かって飛びかかる。軽くいなすと、相手の振りおろした鎚は地面の岩を抉った。
・・・意外と一撃が重い・・・
すると避けた方向からもオークが襲ってきて、ギリギリでかわす。靴のすぐ横に穴が穿たれる。
後ろに飛び退くと、今まで俺がいた場所に土魔法が掠めた。
連携攻撃が、辛い。
レイザが、オーク一匹の鎚を弾き返しながら、言った。
「このまま戦うのは危険だ、統率しているリーダーを探せ!」
リーダーも、オークなのだろうか。こういう場合は、別の魔物という可能性が高い。
違う形、大きさ、色の魔物を探すが、見つからない。
ふと右に目をやると、カノが駆けだした。
「カノ!何を・・・」
二刀でオークをなぎ倒しながら、奥へと突撃していく。
まさか、リーダーを探すつもりか。
援護しに行こうとしたが、近くにいたオークに阻まれてしまった。