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虚飾の水鏡  作者: 麻生あきら
第一章 京也

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03 炎

「アキ、お願いがあるんだ」


 訪れたアキの部屋で僕は切り出した。

 僕はアキの顔が見られなくて、俯きながら言った。


「僕がルアードを抜けたら、君がルアードで歌ってくれないか?」

 アキからは何の返事もない。突然言われても困るよね。


「アキならできると思うんだ。きっと。君なら任せられる。⋯⋯アキにやってもらいたい」


「⋯⋯」


「僕の⋯⋯、後任を。⋯⋯頼むよ」

 顔を上げて、やっと目を合わせた。

 嫌悪感に満ちた顔で僕を見るアキがいた。


 


「どういう事だよ?」

 苛立ちを含んだ声でアキが言う。


 ソロの話が出てる。メンバーは了承した。

 戻るかどうかわからない。ひとまず海外を見て回って来る。

 後任の話もみんなには話してある。


 そうアキに伝えた。


「お膳立てされて人気バンドに移れって? 確かにうちは空中分解寸前だけど、だからって恵んでもらうなんて真っ平だ」


 アキは僕の胸ぐらを掴んだ。

 目の前に強く燃えるような怒り。

 時折チラチラと見えていた炎のゆらぎを僕は知ってる。

 ──ああ、そうか。


 


「アキは僕が嫌いだよね? からっぽで、何もなくて」


「はあ?」


「でも、僕はアキが、⋯⋯羨ましい。今も僕をそんなに強い目で見てる。沢山の感情が渦巻いてる。⋯⋯僕にはないんだよ。そんな僕から、溢れる感情を持ってるアキに代わったら、ルアードがもっと良くなる気がする」


「なんだそれ」

 投げ出すように僕を掴んでいた手を離す。


「良介も秀之も、抑えてる気がするんだ。僕が⋯⋯いるから」

「お前の色しかない所に入るなんて、ごめんだよ。もう帰ってくれ」


 腕を取られ、外に追い出された。


 


 駅に向かい電車に乗る。東京の東側から西側へ。

 途中、秀之に公衆電話で連絡を入れた。


「離れる前に、秀之にお願いがあるんだ」


挿絵(By みてみん)

ラフ画はここに出てませんが、瀬川竜二です。


このシーンのリメイク前のマンガ版を活動報告に載せてます。

よろしければどうぞ。

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― 新着の感想 ―
ここでアキが出てきたか〜! あぁ、キョウの気持ちは言葉通りなんだけども、アキには素直に受け取れてないんだね…(ToT) あぁ、気持ちのすれ違いってこういうところでもあるんだね。 もっと素直になれたらい…
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