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虚飾の水鏡  作者: 麻生あきら
第一章 京也

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4/8

02 隙間

 メジャーデビューして五年。

 転機が来た。

「ソロになってみないか?」

 そんな話が出てきた。


 相変わらず歌うだけの僕なのに?

 僕の声は自分ではわからないけど、何だか不思議なんだそうだ。

 僅かに不安になるような、それでいて切なげ。

 でも、そこがいいんだとか。


 それでもこの嫌な顔と声だけで、ソロなんてどうにかなるものなのか?




 顔の広い秀之が、友人を何人も紹介してくれた

 作詞もいくつかやってみた。

 ギターも弾けるようになって、作曲の真似事もしたり。

 少しずつ僕の空間に入って来た。でも、まだまだ埋まってない。

 空虚な荒野が広がってる。


「京ちゃん、俺達の事は気にしなくていいよ。せっかくのチャンスだ。やってみてもいいんじゃないか?」

 良介が言う。

「俺と秀之が作り上げた『京也』は、あくまでも『ルアードの京也』だ。()()()()()()()を見せてはどう?」




 自分だけの京也。

 そんなものあるの?

 からっぽな僕。がらんどうな僕。

 ルアードで歌う僕をやめたら何になる?


「僕には何もない。何もないのにどうすればいい?」


「何もないわけ無いよ。初めて会った時は、そんな京ちゃんの現実味のない空虚さが目を引いたけど、今はもう違う。沢山の人と出会って、関わって、随分と変わったよ」


「そうなのかな⋯⋯。僕は変わった?」


 あ、でも確かに、ちょっとは埋まったかも知れない。

 誘われたあの時に比べたら、()()()()()()()()()


 ふと気づいて、口元が緩んだ。


「ほら、それ。前は自然に笑う事も無かったよ」




 口元に手をやる。

 そうか。そうなんだ。

 からっぽで笑えてなかったんだ。

 知らなかった。




「あ、ありがとう。良介」

 僕の言葉に良介は首を傾げる。


「あの時、誘ってくれてありがとう。何もかもが嫌でどうでも良かったんだ。⋯⋯あのままなら今どうしてるか、わからないよ」


 良介は微笑んで、ただ頷いた。 


挿絵(By みてみん)

ラフ画は良介。正統派イケメン。

京也、僕とか言ってますが、26歳です。

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