第六話:アグロ VS コントロール
そしてそれから、同じような行動を続ける俺達。
中丸は、リーダーカードなどで俺を妨害しながら進む。
俺は、中丸のあとをぴったりついて行くようにサポートカードである"3確定"等を使いながら、同じマスに止まる。中丸は、嫌な顔をする。
「おい、ついてくるなよ。気色悪い」
中丸は、そう告げる。だが俺は、そんな言葉等関係なく、中丸が良いマスに止まった際には同じマスに止まるというのを繰り返す。そうすることで俺はリスクなく、先に進むことができるのだ。
中丸はその俺の動きを、妨害しようとしてくる。
「サポートカード"サイコロ1ターン使用不可"」
中丸は、そんなカードを使用した。そのカードの効果を受けると俺は、1ターンサイコロを振れなくなるらしい。
だからこそ俺は、言葉を発する。
「サポートカード"サポートカード無効"」
「な?」
中丸が、顔をしかめた。
俺が使用したカードの効果は、以下の通りである。
〈サポートカード無効〉 必要魔力3
相手がサポートカードを使用したタイミングで使用できる。相手のサポートカードの効果を無効化する。
つまり中丸の行動は無効化され、何の効果もなさなかったのだ。
ゲームを始める前に多少カードを眺めてはいるが、まだどんなカードがあるのかを把握しきれていない初戦である。そして無効化すれば、自らの把握できていないカードが来ても、対処できる。だからこそ俺は、無効化系のカードを複数枚デッキに入れたのだ。
つまり俺のデッキはそのほとんどを無効化系のカード及び3確定のような、自らが振るサイコロの目を意図的に確定させることができるカードで占められている。
対する中丸は、先ほどから見ているに自らの進む量を増やすものや、相手の動きを妨害するサポートカードでデッキを構築しているらしい。
中丸のデッキを別のカードゲームで例えると、アグロ(速攻系)に妨害を入れたようなものに分類されるだろう。
対する俺のデッキは、コントロール(相手の行動を無効化しながら、自らの行動を遂行する)というものに分類される。
つまり、アグロ VS コントロールのこの戦いは、中丸の行動の中で看過できないものに対して俺が無効化するというのを繰り返す戦いとなる。そして俺は無効化しながら、中丸が止まったマスと同じマスに止まるような動きをとった。
「だぁぁぁぁぁぁぁ、うっとおしぃぃぃぃ」
中丸が、そう叫んだ。ゴールまで残り15マスだが、相変わらず俺と中丸は横並びになっている。
「俺は"死霊騎士 ダニエル"の効果を発動する」
中丸はリーダーカードの効果を使用することで、俺の出目をマイナス1してきた。
さらに、とあるカードを発動する。
「サポートカード”進める数倍"」
出目を倍にするというそのサポートカードに対して俺は、妨害を合わせる。
「サポートカード"サポートカード無効"」
俺がそのカードを使用したことで中丸のその行動は、無効化された。
中丸は、顔をしかめる。
「相変わらずうっとうしいなぁ」
中丸はそう言いながら、サイコロを振った。
そしてそのサイコロは、6の目を出した。
「よし、これでお前は、俺についてこれねぇ」
中丸の、そんな言葉。確かにそうだ。俺はダニエルの効果により、進めるマスがマイナス1されている。そして俺のデッキの中のサイコロの出目を確定させるカードの最大値は、普通にサイコロで出せる出目である6である。
つまりマイナス1される前提であれば俺は、中丸のマスに到達できない。
<獲得魔力3:特に何も起こらなかった>
中丸が止まったのはそんなマスで、何も起こらないそのマスが俺にはとてもとても羨ましく感じた。
俺は次のターン、久しぶりにリスクを侵さねばならないかもしれない。
俺のターン俺は、デッキに一枚だけ入れていた、とあるカードを発動する。それは俺が、魔力が溜まった時に使用する切り札にしようとしていたカードだ。
〈神の視界〉 必要魔力25
全てのマスの詳細が自分にだけ分かるようになる。
そんなカードを俺は、このタイミングで使用した。そのカードはデッキに一枚だけ入れている切り札的存在。全てのマスが真っ黒なその双六で、マスの詳細が全て分かるというのは、とてつもないアドバンテージになるだろう。
だからこそ俺は、そのカードをこのタイミングで使用した。
だがそのカードには、明確なる弱点がある。
圧倒的な魔力を必要とするそのサポートカードを使用したことで俺の魔力はなくなり、このターン他のサポートカードを使用することができなくなった。