第五話:策略
「まぁ、いいか。やろうぜ」
中丸は、そう告げた。そして、先行後攻のダイスロールとやらが始まる。俺と中丸は手に持っていたサイコロを転がした。俺が5、中丸が2で、俺の方が大きい。この双六の先行後攻は、サイコロの出目が多いほうが決めめるらしく、俺が宣言した。
「俺は、後攻を選択する」
中丸が笑う。
「ははははは、双六は先行が有利という定石すら知らないなんて、素人だな」
中丸が笑い、そしてゲームが開始される。
中丸がカードを5枚引いた。そして、中丸はそのままサイコロを振る。つまり、リーダーカードもサポートカードも効果を発動しないということだ。
ちなみに、リーダーカードの能力は公開情報として、お互いに開示される。
中丸のリーダーカードの効果は以下の通り。
〈死霊騎士 ダニエル〉必要魔力:1
相手の次のサイコロの出目をマイナス1する。
つまり、中丸は毎ターン魔力1で俺の進む目をマイナス1してくるということだ。
俺は、レミーラを見る。
「何よ」
レミーラは、そう告げる。
「何でも」
俺は、静かにそう告げた。
「そんな目で見ても、あたしはあんたに情報なんて渡さないからね」
「へーへー」
中丸のサイコロは転がり、3の目を出した。
中丸は3マス進む。すると、真っ黒なマスに到着した。
その真っ黒なマスが白色に変わり、そこに書かれていた文字が表示される。
<獲得魔力2:このマスに止まったプレイヤーは次のターン、サポートカードを使用できない>
そんなことが書かれているマス。その内容をそのまま理解すると、中丸は魔力2を手に入れたらしい。つまり、次のターン、魔力2までのカードを使用することができる。だが、そのマスのイベントは良くない内容らしく、中丸は次のターン、サポートカードを使用できないらしい。
だが、リーダーカードは使用できる。俺はあのマスだけは、踏んではならない。中丸はまだリーダーカードの効果を使用できるのだろうが、俺は何が起きるのか分からない"進化する闇 レミーラ"がリーダーカードである。容易に使用できるものでは、ないだろう。
俺は、サイコロを振る。サイコロの目は4で、中丸の一つ先に進んだ。
<獲得魔力5:特に何も起こらなかった>
そんなことが書かれているマス。俺は何もなくターンを終えた。
「俺は"死霊騎士 ダニエル"の効果を発動する」
その効果により俺は、次のターン進める数がのマイナス1となった。
さらに中丸はサイコロを振り、3の目を出した。
<獲得魔力1:次のターン進める数が、サイコロの出目プラス3となる>
中丸は俺への妨害プラス自らのゴールへの道を早めるというのを、1ターンでやってのけた。
そして、俺のターン。
「俺は、サポートカード3確定を使用する」
俺は、そう宣言した。そのカードは必要魔力5で、次の自分のサイコロは必ず3を出すというものだ。
俺はサイコロを振り、そしてそのサイコロは3の目を出した。そこに〈死霊騎士 ダニエル〉の効果が加わり、進める数がマイナス1される。つまり、2マス進み、中丸と同じマスに到達した。
「なんだよ、同じマスにきやがって」
中丸は毒を吐くが、俺の戦略だ。俺のデッキはかなりの数、3確定カードやらの指定の数進めるカードで、構成されている。
真っ黒なマスに何のイベントが隠れているのかなんて分かったもんじゃない。だからこそ俺は、中丸に先行を渡した。そして序盤は変なマスを踏まないように3確定カードなどで、相手が良いイベントのマスを踏んだ時には、そこについて行くというのを策略としたのだ。
当然中丸と同じイベントマスを踏み、中丸のターンに移る。