植物院の日常
「あら、だいぶつぼみが大きくなっているわ、もうすぐ咲くわね」
花のつぼみが大きくなっているのを見て私は嬉しさがこみ上げてくる。
朝昼晩の定期観察がすっかり日常となっている。
1時間ぐらい歩き目をつけた花や草の成長を定規で測りメモをしていく。
そのメモを夜にはレポートとして纏め上げセリオさんに提出する。
植物の成長は1日ごとに変化していくので基本的に休みが無い、と言ってもスケジュール的にはかなりゆったりしているので体調を壊したりとかは無い、ていうか日々体を動かしている為、健康そのものだ。
食事も通いの職員さんが作ってくれるのだが美味しい。
「ここの農場で作っているからね」
「えっ、農場があるんですか?」
「そうだよ、農場の方は農民を雇っているけど僕も勿論働いているよ」
なるほど自給自足というやつか。
「それに週に1回は1部は一般に解放しているからね」
「えっ、国の施設は基本的に非公開の筈では?」
「魔法とかはそうかもね、だけど僕達の仕事はどちらかと言うと庶民寄りだから身近で無いといけないんだよ」
セリオさんの言葉を聞いて納得した、確かに農業や花を育てたりする事は貴族はしない。
「私達の生活は民の力に寄って成り立っているんですね」
「その通りだよ、だからこそもっと民を大切にしなきゃいけない、蔑ろにしたら痛い目にあうのは僕達の方だからね、それが大多数の貴族がわかっていないのが実情なんだよ、その証拠にこの施設に貴族が来た事が無いんだよ」
「基本、民の暮らしに興味がありませんからね」
「そう、その価値観を変えないとこの国は成長しないし変化しないよ」
流石は王族だ、ちゃんと国の事を考えていらっしゃる。