王家の人間関係
王立植物院に来て1週間が経過した。
(こんなにのんびり過ごして良いのかしら……)
私は窓の外に広がる大地を見ながら思った。
この視界に入ってくる大地、全て植物院の敷地なのだ。
今、私がやっている仕事は敷地内の植物の観察、定期的に外に出て観察しレポートにしている。
傍から見れば地味なだと思うが1日ごとに数ミリずつ成長しているし、天候の具合で成長にも微妙に変化があるので退屈しない。
「どう、慣れてきた?」
セリオさんが声をかけてきた。
「はい、私に合っていて天職だと思っています」
「そっか、そう言ってくれて嬉しいよ。 中には馬鹿にしてくる人達もいるからね」
「貴族の中には花は愛でる物で育てる事はしませんからね」
「その通り、見た目の美しさしか評価しないからね。 貴族の嫌な所だよ」
そう言って苦笑いするセリオさん。
「セリオさんは社交の場には出ないんですか?」
「本当は一応王族だから出ないといけないんだけどねぇ、話も来ないし……、そもそも父上も呼ばれてないんだよ」
そういえば、王弟殿下の話て余り聞いた事無い。
「その、ご兄弟の仲は余り良くないのですか?」
「そんな事は無い、と思うよ。 もしそうだったらこの施設を作る事は出来ないからね」
言われてみればその通りだ。
「なんでも元々は父上が次期国王として期待されていたみたいだよ」
「えっ、そうなんですか」
「だけど、父上は辞退したんだよ。『自分に国王は荷が重い』て。 王族らしくないんだよね」
う〜ん、セリオさんを見ているとなんとなくわかってしまう。
「じゃあ政からは離れているんですか?」
「そうだね、たまに国王様が相談に来る事があるみたいだけど、今は王太子の件で色々相談しているらしいよ」
「それってもしかして女性関係の事ですか?」
「多分、そうだと思う。なんか『身分違いの愛』に盛り上がってるみたいだけど……」
あ、セリオさんの耳にも入っているんだ。