アーネリアの訪問
「ロザリー、急に来て悪いわね」
「いえいえ、こちらこそ」
私は若干戸惑っていた。
だって、まさかアーネリア様がやって来るとは思っていなかった。
手紙が来た時は思わず2度見してしまったぐらいだ。
「たいした物はありませんがどうぞ」
「この紅茶、貴女が淹れたの?」
「えぇ、此処にはメイドはいませんから自分でやらないといけないんです」
私は紅茶とクッキーを出した。
「え、クッキーも焼いたの?」
「はい、ここで育てている花の蜜を使って作りました」
「貴女、なんでも出来るんじゃないの? 上位貴族の令嬢は普通はしないわよ」
「そうですね、私も変わっていると自覚しております」
「だからこそこうして学院を通り越して働いているのよね……」
そう言いながらアーネリア様はクッキーを食べた。
「美味しいわね、御用達のパティシエよりも美味しいわ」
「ありがとうございます」
「紅茶も美味しいわ、気分が落ち着くわ」
「それは何よりです、それでご訪問に来た理由はなんでしょうか?」
「あぁ……、王太子様の事、ご存知でしょう?」
やっぱりその件でしたか……。
「はい、私は偶々お二人の現場を見てしまって……、それで辞退したんです」
「私も調べておけば良かったわ……、なんにも知らずにお父様の言う事を聞いて婚約者になって……、とんだピエロよ」
あぁ~、全部知ってるみたいですね。
「公爵様には相談したんですか?」
「あの人に意見なんて出来る訳無いわ、言ったとしても聞く耳なんて持たないわよ」
アーネリア様のお父様は独善的かつ野心持ちである、と聞いた事がある。
私のお父様とは真逆な人だけど、貴族らしい貴族と言われている。




