簡単には行かぬか
翼をバッサバッサと動かし馬が走るように足を動かしながら
降りてくるドグザーヌ。
女神像の残骸を背にひらけた場所へ着地し、50メートルほど
ゆっくりとパカラパカラと歩く。
左手に持った青白い鎖の先にはグルグル巻きにされたデストロイヤーが
馬に引きづられ拷問を受けている人のように地面を引きずられている。
「ウィングオフ」
背中の翼がフッっと消える。
ゴリゴリゴリと5メートルほど引きずられて止まるデストロイヤー。
「これは愛というものか?」
「愛? 何を馬鹿なことを言っているのかしら」
鎖を引きちぎろうと力を入れるデストロイヤー。
「むう・・・破壊できぬ」
「無駄よ。その鎖は私の術 市中引廻 よ。
私が解除しない限り鎖が解けることはないわ」
この様子を見ているセーフティレンジャーのピンク。
「あの馬・・・いや、人か・・・ケンタウルスか。いったい何者だ」
ピンクの頭上10メートルくらいをヒラヒラと飛んでいる
手の平サイズの蛾が1匹。
(しめた!ちょうどいい具合に蛾が飛んでいるとはラッキーだ)
ピンクは目を閉じ小さい声で
「精神転移 蛾合)
ピンクの脳内に空から見たビジョンが浮かび上がる。
ピンク、ブルー、イエロー、グリーンが一同に写っている。
(よし、リンクした。行け!)
蛾はヒラヒラとドグザーヌとデストロイヤーがいる場所へ飛んで行く。
デストロイヤーが最初に壊した女神像の瓦礫の山の足場の良いところに立ち
様子を見ているドグレッタ。
「案外あっさりと捕まったな」
(簡単過ぎるな・・・)
「ドグミーナの連絡がドンピシャだったということにしておくか。
ドグミーナ、よくやった。ん? 反応がない。ドグミーナどうした?」
●
アシュミットの恋ばなチャットルーム。
フレームは白、ピンクでふかふかの可愛らしい二人崖ソファー。
右にアシュミット。左にドグミーナが腰掛ける。
アシュミットは足をブラブラとさせながら
「今度からドグミーナちゃんのことミーナって呼んでいい?」
「いいけど、どうして?」
「えへへ、ミーナとは本当に仲良くなれそうな気がするんだ~」
「ふふふ、実は私もなの。
だからアシュミットちゃんのことはこれからアシュって呼ぶわ」
「うん、いいよ~とてもうれしい」
「ふふふ」
「えへへ」
(ドグミーナ、よくやった。ん? 反応がない。ドグミーナどうした?)
「あっ、お母様が呼んでるわ。行かなきゃ、じゃあまたね、アシュ」
ドグミーナは自分でドアを出現させ、チャットルームを出て行く。
「じゃあまたね、ミーナ」
●
「ピュロロヒュロ(反応が遅れてごめんなさい、お母様)」
「どうしたドグミーナ」
「ピュロロヒュロ(ちょっと考え事をしていたの)」
「お前にしては珍しいな。今は作戦中だ。
小さいことも命取りになりかねん。作戦に集中せよ!」
「ピュロロヒュロ(はい、お母様)」
ドグレッタはセーフティレンジャーを分析していた。
(世界最高峰の戦闘集団と聞いていたがそれほどでもないな。
ん? なぜ4人。5人組みだと思っていたが。
しかも、レッドがいない。
レッドはやつらの中でもずば抜けて戦闘力が高い者がなると聞いているが)
「ドグミーナ、調べて欲しいことがある」
「ピュロロヒュロ(はい、お母様)」
「この近くにセーフティレンジャーと同じような人物が隠れていないか
お前のレーダー能力を使って調べて欲しい」
ドグミーナは海の中で目を閉じて眉間のあたりから
目に見えない波動を飛ばしている。
「ピュロロヒュロ(お母様、半径10キロ四方に
それらしき人物を確認できません)」
「ありがとう、ドグミーナ」
(・・・ということは、やつらレッドがいない中途半端な状態か。
まあ、いい。あの巨像を動かす能力は少し楽しめたが我々の敵ではない)
「よし、そのままデストロイヤーを連れて教会へ帰還するぞ」
デストロイヤーを見たドグレッタは異変に気がつく。
デストロイヤーの全身が赤く染まっている。
蛾がヒラヒラとドグミーナの背後から飛んでくる。
ドグザーヌの前へヒラヒラと近づく。
「よし、もう少しだ・・・もう少しでこのケンタウルスの顔が・・・」
ドグレッタが叫ぶ。
「ドグザーヌ、そいつから離れろ!」
「点火!」
ドッガーーーーーーーン!
黒い爆炎が舞い上がる。辺り一面が炎と灰に包まれる。
爆炎に巻き込まれ焼失する蛾。
「クソ!あともう少しだったのに」
悔しそうな顔のピンク。
爆発の直撃を受けたと思われたドグザーヌの前に
リフレクトシールドを展開したドグロックが立っていた。
「お姉様、お怪我はありませんか?」
「ありがとう、ドグロック」
ドグザーヌが持っていた青白い鎖が消えていく。
「嘘でしょ・・・鎖が解けるなんて」
燃え盛る爆炎の中に黒い人影が見える。
「我が名はデストロイヤー。破壊こそ全て。破壊こそ創造」
顔はパンダ、体はヒューマンだがパンダ柄の細マッチョ。
ドグレッタは苦虫を噛み潰したような顔になり
「やはり簡単には行かぬか・・・」




