音叉振動掌(おんさしんどうしょう)
「試してみたい技がある」
合掌ポーズをとるデストロイヤー。
そしてゆっくりと両手を横に広げ、楽器のシンバルを叩くように
滑らかにムワンと腕をしならせ、手の平を胸の前で叩く。
バイ~ン・・・と余韻が残る音がする。
再度、同じように両手を横に広げ、手の平を叩く。
バイ~ンインインイン・・・。
少しずつ叩く早さが増していく。
バイ~ンインイン・・・
バイ~ンインインインイン・・・
バイ~ンインインインインインイン・・・
と音が重なっていく。
10回ほど同じ動作をした後、最後は手の平を叩かず
胸の前で両手の人差し指と親指で三角形の形を作る。
三角形の中で増幅されていく音。
バイ~ンインインインインインインインイン・・・
バイ~ンインインインインインインインインインイン・・・
バイ~ンインインインインインインインインインインインイン・・・
音は連鎖し共鳴する。
この様子をグリーンことジャネットは震えながら見ていた。
(何であいつがあたしと同じ アレ を使えるじゃん・・・)
デストロイヤーのこの動作中を女神像が待つわけもなく
巨体のわりに滑らかな動きでドシンドシンと突っ込んでくる。
思いっきり後ろに引き付けた右拳をデストロイヤー目掛けて解き放つ。
ブフォオオオオ!と空気が裂ける音。
デストロイヤーよりも大きな拳が当たる瞬間
「音叉振動掌!」
三角形を形成していた手の平を軽く女神像の右拳に押しあてる。
ビイイイイイイン!
振動した空気が衝撃波となりピンク達が避難している小丘に届く。
一瞬の静寂の後、ガコ・・・ガコガコガコ!と女神像の腕が拳の先から崩れ落ちる。
「ふむ・・・威力はまだまだか」
崩れた右腕の辺りからバレーボールほどの大きさの白い発光体が天へ目掛けて昇っていく。
そして途中で、フっと消えてなくなってしまった。
「あらいやだ。一体浄化されてしまったわ」
ブルーことカチュアが顔を左に少し傾け左手を左頬にあて残念そうに言っている。
「偶然だとは思うけど合掌したことで浄化作用が発生したのかしら」
女神像は失った右腕をマジマジと眺め、デストロイヤーの方を向くと・・・
ピタリと動かなくなった。
ぶるるるる、ぶるるるる、カチュアが右手に持っている通話機のベルが鳴る。
「はい、私よ。みんなどうしたの? ええ、ええ、右腕が浄化されたのを見て
死ぬのが怖くなった・・冥界に帰りたい・・・」
カチュアの顔が殺すぞ顔になっていく。
「もう死んでんだからよ~・・・ちゃっちゃと女神像動かして
あいつをぶっつぶしてこいや!わかったか、キン○マついてんだろうがぁ!」
いつもならここで
「霊なんだからキン○マなんかついてないっしょ、うける」
とか突っ込みを入れるジャネットであるが
デストロイヤーをじっと見ている。
(手の平であの破壊力・・・あれが指先になったら)
ジャネットは自分の指先のネイルを見つめる。
(勝てるのか・・・あれに、デストロイヤーに・・・)
びっくりした表情でカチュアを見るピンク。
(ブルーってあんな怖い顔、そして下品な発言をする子だったのね・・・)
「カチュアちゃん、怖~い」
元の顔に戻るカチュア。
「飴と鞭というやつよ、アシュミット。締めるところは締めないとね」
ゴガガガガガガ・・・再起動する女神像。
女神像はデストロイヤーに・・・
背を向け全速力で逃げていく。
「あっ、逃げちゃった~」
顔をピクピクさせるカチュア。
「あのタマ無し霊体どもが~」
「音叉振動掌!」
逃げ去る女神像のうなじ辺りをタッチするデストロイヤー。
首から下が砕け散り頭部がその場に落下し、脳天から真っ二つに割れる。
4体の白い発光体が天に昇って消える。
突然、空中で静止していたデストロイヤーに青白く光る鎖が巻きつく。
鎖の先には羽の生えた白銀の鎧姿のケンタウロスが円を描きながらグルグルと
デストロイヤーの周りを翼をバッサバッサと動かし走っている。
青白い鎖はデストロイヤーをグルグル巻きにしていく。
ピクンとびっくりした様子のアシュミット。
アシュミットの恋ばなチャットルームに現れたのは
「ドグミーナちゃん!また会えてうれしいよ。どうしたの突然」
「あとは私達に任せて、アシュミットちゃん達は逃げて」




