発動、緑光の球体
死んだ~確実に死んだ~。
思えば短い人生だった。
29才で死んで異世界転生して15年。
こんなことならスーザンのパイオツを揉んでおけばよかった。
美しく成長したマリンちゃんにチューしておけばよかった。
死亡覚悟で88に抱きついておけばよかった。
ふっ、女のことばかり考えて・・・そういうところがダメなんだぞ、カズキ。
いや、今はレニーか。ややこしいわ!
まあ、死んじゃったからどっちでもいいか。死んじゃったから・・・あれ?
恐る恐る目を開けていく俺っち。右手首にはめている緑のブレスレットが光っている。
俺っちの周囲を取り囲む緑光の球体。土壇場で発動したか!
ドラロンの緑の腕輪の防御壁が!
「よっしゃ!俺っち生きてる!」
大きな口を開けて緑光の球体を咥えたままのナブルモサザウルス。
ミシミシという音がする。
「何だこの音、大丈夫か」
頭を大きく左右に振るナブルモササウルス。
球体の中心に固定されているおかげで球体の内壁にはぶち当たっていないが
重力は無効化されていないようで左右に振られる度に体に重力がかかる。
「のわああああああぁぁぁ」
反動でナブルモササウルスの口から緑光の球体が転がり落ちる。
ビリヤードの玉のようにホール内の壁にガコンガコンと2回当たった緑光の球体は
10体の小型ナブルモサザウルスが守っている卵へぶち当たる。
グシャっとつぶれる卵。
グキャキャキャーーーー!と卵を守っていた10匹が一斉に緑光の球体を取り囲み
ヘッドバッドで体当たりしてくる。
ドガ!ドガ!ドガ!ドガ!ドガ!ドガ!ドガ!ドガ!ドガ!ドガ!
ぶつかってくる度に鈍い振動が体に伝わってくる。
中にいる俺っちは大丈夫だが正直生きた心地がしない。
どんどんと押しやられ緑光の球体は池の中へ。
ドンブラコ~ドンブラコ~と水面から
50センチくらい沈んだ状態で流れていく。
池を半分ほど進んだところで、池の中から球体を思いっきり突き上げる
もう1匹の5メートル級のナブルモサザウルス。
天井近くまで跳ね飛ばされた球体は重力に引っ張られ落下していく。
当然、中の俺っちにも落下の重力が。
落ちるときのあのゾワゾワ感が襲ってくる。
「のわああああああぁぁぁ」
ゴン、ゴゴン、ゴゴンと地面に落ちて3回跳ねて球体は動きを止める。
球体の中で逆さまになった俺っちの目はグルグルと回っている。
時間にして何秒、何分経過したのかわからない。
ようやく目のグルグルが回復し、逆さまから起き上がった俺っちが見たものは
階層主である8メートル級のナブルモサザウルスと左右に並んでいる
2匹の5メートル級のナブルモサザウルスだった。
(はっ!防御壁は大丈夫か)
慌てて回りを見る俺っち。緑色の壁が・・・ある、良かったぁ。
だが、いつまで緑光の球体は俺っちを守ってくれるんだ。
池の中央にある瀬で瓦礫に挟まった緑光の球体。
そして目の前には3体の巨大ナブルモサザウルスが。
死んだ~確実に死んだ~。
思えば短い人生だった。
29才で死んで異世界転生して15年。
カズキとしての29年、
レニーとしての15年
を単純に足し算すると44年を生きたわけで。
見た目は15才だが中身は精神年齢44才のおっさんである。
そんなおっさんの俺っちは、この土壇場で転生前の世界で大ファンであった
真っ赤なルージュの真央ちゃんの顔を思い浮かべる。
(やっぱり真央ちゃんは可愛い!)
ふっ、また女のことばかり考えて・・・るわけにはいかねー。
どうするレニー。この状況をどう乗り越える。
俺っちが出来る魔法は2つ。
・リュートに雷系の魔法を流しエレキギターのように弾く、エレキ
・微弱な電流を体に流し暖かく体を保つ、カイロ
この2つの魔法でこのピンチを・・・どうにもならんわ!
職業 吟遊詩人 固定。
奇跡よ起これ!ロックンロール。




