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動く女神像

「先ほどの変な空間は何だ・・・愛というやつか?」

「はっ、戻ってきたのか?」

頭の上を右手で何かを掴むような仕草をしているデストロイヤーを見るピンク。

どうやらチャットルームから無事戻ってきたようだ。

(アンテナを引っこ抜いて自力で戻ってくることは出来ない

とイエローは言っていたが・・・)

ピンクがチャットルームを出た後、現れたドグミーナを名乗る少女は

アシュミットの両手を握りうれしそうに言う。

「すごいね、この空間」

「ドグミーナちゃんって言うんだ。初めまして、私はアシュミットだよ」

アシュミットはある異変に気がつく。

「あれ~なんでドグミーナちゃんにはアンテナが付いてないの~?」

「近くを通りかかったら突然この空間に引き込まれちゃって。

本能的に防御させてもらったの。ごめんさない」

「ううん、別にいいよ~でもすごいね~初めてだよ。

アシュミットのチャットルームにアンテナ無しで入ってこれた人~」

「ふふふ、実は私ね、事情は言えないけどヒューマンじゃないの。

お母様達には言ってないけど、ずっとヒューマンの姿になってみたいと夢見ていたのよ。

でね、この空間に引き込まれたとき、私は歓喜に包まれたの。

だって・・・だって・・・私、お母様と同じヒューマンの姿に変身してるんだもの」

「へえ~そうなんだ~何かアシュミットはうれしいよ~」

ドグミーナは目に涙をいっぱい浮かべ

「そんな私の夢・・・ヒューマンの姿になってみたいと思っていた夢が叶うなんて」

アシュミットの両手を自分の胸の辺りまで引き上げ

「ありがとう、アシュミットちゃん」

「どういたしまして、ドグミーナちゃん」

「ふふふ」

「えへへ」

「あっ、こうしちゃいられないんだった。私、行かなきゃ。

また遊びに来てもいいかしら」

「もちろんだよ~その時は念話か何かで知らせてよ~。

この空間にアンテナ無しで来れるってことは、それくらいオチャノコってやつでしょ?」

「うん、オチャノコ」

「ふふふ」

「えへへ」

ドグミーナの後ろに青色の真ん中に白いイルカシルエットが描かれたドアが出現する。

「自分でドアを出しちゃうなんて、さっすが~」

「ふふふ、じゃあ、またねアシュミットちゃん」

ドアを開けて出ていくドグミーナ。

「えへへ、またね~、待ってるね~」

バイバーイと両手でサヨナラをするアシュミット。

青いドアは上から粉状になり蛍が舞うようにすぅ~と消えていった。

「ドグミーナちゃん・・・か~」

ピンクはグリーンの方を振り向き

「グリーン、あれからどれくらい時間が経過していた?」

「3秒くらいじゃね?」

チラッとイエローを見るピンク。

キョロキョロと顔を左右に振り何かを探しているイエロー。

そして海の方へ全力疾走で走っていくイエロー。

「ちょっとイエロー!どこへ行くぅ!」

さて、どうする・・・イエローによる精神世界への閉じ込めは

デストロイヤーには通用しなかった。

次はどうする?訓練所の岩を砕いたグリーンに攻撃命令を下すか。

ダメだ・・・正直、無計画に出てきてしまった。

行き当たりばったり過ぎる。

(退却すべきだ)

「ブルー、グリーン・・・ここは一旦退却・・・」

通話中のブルーがうれしそうに

「ありがとう、協力してくださるの」

公園と海の境目にある高さ1メートルほどのフェンスに到着した

アシュミットはフェンスに両手を掛け海の方をキョロキョロと探す。

一匹の白いイルカが沖の方へ泳いで行くのが見える。

右手を上げバイバイをしながら大声で

「また会おうね~ドグミーナちゃ~ん!」

白いイルカは海面を高くジャンプして海の中へ消えていった。

「えへへ、お友達、できちゃった~」

ゴギ、ゴゴギギギギ!

アシュミットの右側に立っている倒壊していない方の

自由の女神像から大きな音がした。

女神像の顔がメキっという音を立てアシュミットの方を向く。

「うわっ!これカチュアちゃんのやつだ~」

振り返り全速力でピンク達の方へ走るイエロー。

ゴギ、ゴゴギギギギ!メキっ!

「うあっ!今、女神像の顔が動いたじゃん!気持ち悪ぅ~!」

びっくりした顔のグリーン。

「ちょっと大きすぎる・・・あなた一人では無理?

頭、胸、腕、胴体、足で5人は必要?わかったわ。

あと4人ほど声掛けてみるからそのまま頭の部分で待ってて頂戴」

通話を続けるブルーことカチュア。

「ええ、来てくださるの、ありがとう。あなたも、うふふ。

やはり持つべきものは霊体の殿方たちね」

ゴギ、ゴゴギギギギ!ゴギ、ゴゴギギギギ!

女神像はトーチを持っていた左腕をゆっくりと下へ降ろす。

ドシン!台座に固定されていた右足がゆっくりと前へ。

ドシン!左足がゆっくりと追従する。

ピンクは驚愕の表情で自由の女神像を見ている。

「うそ・・・だろ。あんな巨大な物が歩くのか」

ゆっくりとだが結構滑らかな動きで自由の女神像はピンク達の方へ歩いてくる。

ピンクは信じられないといった表情でブルーを見る。

顔を少し右に傾け左手人差し指を唇にあてた色っぽい表情のブルーは

「みんな、頑張って頂戴ね。愛してるわよ」

愛してるわよ、に反応したのか

両手を上げて、ぐおおおおおお、と雄たけびを上げる自由の女神像。

戦隊物によくある巨大ロボットならぬ巨大な女神像は

これまた戦隊物によくある5人の戦士ならぬ5体の霊体により操縦されるのである。

そしてこれからカップルがプロポーズするくらい

ロマンチックなオールドジャージ公園は、

巨大な自由の女神像とデストロイヤーとの戦場と化す。

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