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カンチャオ vs 赤兎馬

「うぬの力はそんなものか」

左膝をついて右片目を閉じ苦しそそうな表情をしながら見上げるその先には

仁王立ちし左手一指し指をカンチャオに向けている赤兎馬がいた。

カンチャオはズボンの右ポケットの中に右手をゆっくりと入れる。

(この手だけは使いたくなかったが仕方がない・・・)

ゆっくりと立ち上がるカンチャオ。

「ほほう、そうこなくてはな。私は退屈なのだ。楽しませてもらうぞ」

腕組みをして仁王立ちする赤兎馬の身長は2メートル。

片や身長165センチのカンチャオ。

身長差が両者の実力の差、この後の展開を容易に予感させる。

カンチャオは右手に金属製のお猪口を持ち赤兎馬の前に突き出す。

「これは禁呪アイテムの一つ、命のお猪口なり」

「命のお猪口・・・だと、知らぬ」

カンチャオは気合を込める。

「ふんぬっ!」

カンチャオの体全体から白い煙、オーラのようなものが発せられ

命のお猪口へ吸い込まれていく。

そして命のお猪口に透明な液体が生成された。

「これに溜まりし液体は我が全霊の生命エネルギー」

ゆっくりと後ろ足で赤兎馬から30メートルほど距離を取るカンチャオ。

「命のお猪口により我が生命力は倍増されるが・・・その代償は命なり」

「何と!うぬは命を投げ捨てると申すか」

「貴殿に頼みがある」

「何だ、言ってみよ」

「私の妻と子供がこの国の国王に人質として囚われている。

私が死んだら妻と子供を救って欲しい」

「なるほど・・・うぬが我に戦いを挑んだのは・・・あいわかった」

「ありがとう・・・では、参る!」

命のお猪口の透明な液体をグイっと飲み干し、命のお猪口をその場に投げ捨てる。

地面に当たった命のお猪口はカキーン!という金属音を出す。

ホールに響き渡るカキーン!カキーン!カキ・・・ン・・・。

「はあああああああああああああっ!」

両手を前に出し上半身をグルグルと右回転させるカンチャオ。

闘気の渦が貯まっていきドリル状へと変化していく。

そしてドリルは白い神龍の顔へと変化していく。

カンチャオの目が白く光る。

カンチャオの全身全霊、命をとした最後の一撃。

気孔龍神波きこうりゅうじんは!」

ガオオオンという咆哮を上げながら白い龍の頭は赤兎馬へ一直線へ放たれた。

腕組みをして仁王立ちの赤兎馬。

「小細工は無用。その攻撃、全身で受け止めよう」

突然、赤兎馬とカンチャオの間に転移魔方陣が展開される。

そして現れたのは両側にガッツリとスリットが入ったセクシーな黒いチャイナ服。

背中には大きく金色の刺繍で怒羅侖どらろん

右手に白い手さげ袋、左手にヌンチャクを持ち

金髪を中華風の団子ヘヤーにしたガンガンであった。

ガンガンの左方向から襲い掛かる白い龍の頭。

ちょっとしゃがみ右の手さげ袋を地面に置くと左へ半回転し左手に持っていたヌンチャクを

クルクルクルと3回左回転させ、左脇にヌンチャクの片方挟み込む。

「ふぉおおおあああああああああああ」

ガンガンは顔を左右に3回ゆるーく振り気合を貯める。

大きく口を開けた白い龍の頭がガンガンに襲い掛かる。

ヌンチャクを右手に持ち変える時の一連の動作をするガンガン。

左脇に抱えてあったヌンチャクをブンと一回肩の後ろへ振り、前へ勢いよく振り下ろす。

そして前へ出す反動時に右手に持ち替え右側から背中へ一振り。

ヌンチャクがガンガンの背中へ回る。

そして背中へ回ったヌンチャクを

「ほあぁっ!」

と白い龍へ向けて横一閃に殴りつけ、さらに下から上へ振り抜く。

右肩の裏へ回ったヌンチャクを振り下ろし右脇でピタっと固定した。

スパンっと十字に切り裂かれる白い龍の頭。

勢いは殺されガンガンを通り抜けて霧散した。

「何だあれは・・・天女か・・・」

と言いながら目の下へ黒いクマを作りやせ細ったカンチャオは

全身の力がガクンと抜け左膝を地面につけ背中から後ろに倒れる。

妻と子供の顔を思い浮かべるカンチャオ。

(さらばだ・・・だが安心してくれ・・・あの魔族がお前たちを救ってくれる)

その顔にうっすらと笑みを浮かべている。

カンチャオの頭が地面にぶつかる瞬間、赤兎馬が左手でカンチャオの後頭部を支えた。

「うぬの覚悟、しかと見届けた」

震える左手でカンチャオの頭を支えている赤兎馬の左手をガチっと掴み

「頼む・・・妻を・・・子を・・・」

「死ぬには惜しい男よ」

赤兎馬は右手を上に突き上げた。その右手には命のお猪口が。

命のお猪口を中心に赤い煙が渦巻き、しゅううううという音を立て

お猪口の中に赤い液体が貯まる。

「我が魔力のほんの一部であるがうぬに与えよう」

右手を降ろしお猪口をカンチャオの口へ運び、赤い液体を飲ませた。

カンチャオの顔に出来た黒いクマは消え、静かに寝息を立て始めるカンチャオ。

「これで大丈夫だろう」

カンチャオを抱かかえホールの壁際へ運び寝かせた赤兎馬はガンガンの方へ

ゆっくりと歩いて近づいて行く。

ダンジョンの入り口へ歩いていくガンガンを呼び止める赤兎馬。

「待たれよ!」

クルリと赤兎馬の方を向き丁寧に答えるガンガン。

「何でしょう」

腕組みをして仁王立ちの赤兎馬。

「偶然とは言え、我等の真剣勝負に入ってこられたからには責任を取ってもらおう」

左腕を肩の高さまで上げ、左人差し指をガンガンに向け

「我と勝負せよ!」

   ●

赤兎馬は右手で後頭部をカキカキしながら

「あのあとコテンパンにガンガン老子にやられるわけですが、はははは」

「あの時はマスターが作ってくださった私専用の戦闘服と武器がありましたから」

「またまたご謙遜を」

   ●

岩陰に隠れてホール内を観察する俺っち。

『今度は俺っち一人でおとりをやる』

なんて啖呵を切っちゃったけど・・・やっぱ怖ーもんは怖ーな。

池の中央の瀬には階層主の大きなナブルモサザウルスが寝そべっている。

ざっぱ~んという音を出し5メートル級のナブルモサザウルスが

1匹池の中から瀬に這い上がってきた。

確か、もう1匹いるはずだが、まだ池の中にいるのだろう。

池の右側には卵を守る小型ナブルモサザウルスがうろうろしている。

(あと10匹か・・・)

俺っちは右手に野球ボールくらいの石を鷲掴みにしている。

自然と石を持つ手に力が入る。やるしかねえ。

立ち上がり石を投げようとした瞬間、背後の壁の上から小石がパラパラと落ちる音がした。

振り向くと俺っちの頭上10メートルくらいにのところに

池の中にいると思い込んでいたもう1匹の5メートル級のナブルモサザウルスが

壁にへばり付いていた。

この後、まさかあんなことになるなんて。

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