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お前ら、卵を攻撃して全速力で逃げてこい

「うおっーーーーー!やっぱすげぇこえぇええええええ!」

俺っちの前方をイケメンマッチョの二人が走っている。

あいつらは腐っても超林寺のモンク。普段から鍛えているだけあって足が速い。

しかも今は生死をかけた全速力のランニング。

こういう時に差が出るってやつか・・・って感心してる場合じゃねー。

「グワグワグワ!」

すぐ後ろに1~2メートル級のナブルモサザウルスが5体追いかけてきている。

「クソっ!モモのすけの奴、覚えてろよ!」

   ●

30分前。

「もう一度言うぞ」

モモのすけが中心になって皆に説明をしている。

「イケメンマッチョ二人とレニーで12階層の奥にいる小型のナブルモササウルスを

ここまでおびき出して来い、以上!」

「以上!じゃねぇよ!もうちょっと説明してくれっっす。

しかも何で小型のナブルモササウルスなんっすか」

こちとら生死がかかってるんだ!納得いかねーまでもある程度は説明して欲しいぜ。

「しゃーなし」

モモのすけは面倒くさそうに話し出す。

「ここにいるメンバーで攻撃魔法が使える者はいるか?」

誰も手を上げない。

「そう、ここにいるメンバーで攻撃魔法が使える奴はいない。

つまり広範囲でモンスターを殲滅できる手段が今の俺たちにはない」

イケメンマッチョ二人を見るモモのすけ。

「超林寺のモンクどもは一対一の対戦では無類の強さを発揮するが

一対多ではそうはいかん」

ヤンチャオが反論する。

「私は一対多でも遅れを取ることはない。モーマンタイ!」

「そう言って命を落としてきたやつらを俺は山というほど見てきたぜ」

モンモンとワンセブンを見て

「俺の仲間のモンモンとワンセブンが万感鼻感という術を使って

12階層の構造とモンスターの数と大きさを確認中だ。

現在、把握できているナブルモサザウルスについて情報共有しておこう」


・8メートル級の超大型が1匹。多分、こいつが階層主だ。

・5メートル級の大型が2匹。この2体はおそらくメスだろう。階層主のツガイだな。

・1~2メートル級の小型が20~30匹。こいつらは卵を守っている。


「リンリン、この中で一番やっかいなのはどれだと思う?」

「8メートル級の超大型に決まってるアル」

モモのすけは胸の前で両手をバツ印にして

「ブー、不正解だ。答えは小型のやつだ」

「ランラン、なぜ、小型が卵を守っていると思う?」

「本当は遊びに行きたいのに嫌嫌やらされているアル」

「いや・・・うん、そういうことじゃなくってね」

困惑顔のモモのすけに助け舟を出す感じでモンモン話に参加してきた。

「小型のやつは動きが速いんだキー」

モンモンの顔を嫌悪感いっぱいの表情で見るランラン。

「これで勝ったと思うなよアル」

「思わないキー・・・が、お前、ちょっとおつむが弱いキー」

「何だとこのエテコウがアル」

「今度俺のことをエテコウ呼ばわりしたら女だからって容赦はしないキー」

お互いメンチを切るランランとモンモン。

「少なくともこのダンジョンを脱出するまで仲良くしろって・・・なっ・・・ったく」

ランランとモンモンの間に入りなだめるモモのすけ。

モモのすけは説明を続ける。

「小型のナブルモサザウルスは1体だけならC級、またはD級レベルのモンスターだが

これが3体、4体以上になるとA級レベルに跳ね上がる。

やつら協力して襲ってきやがるのさ。

A級の凄腕の冒険者が小型のナブルモサザウルス4体に囲まれ

四肢をもぎ取られ絶命したのを俺は見たことがある。

大型のやつとやる前に小型のやつらに囲まれたら正直手に負えん」

モモのすけは俺っちの方を見て

「そこで・・・だ。レニーとイケメンマッチョ二人の出番ってわけだ」

今はグラサンが無くなり、ただのおしゃれヒゲ状態のアッツシンが

「何で俺たちの出番なんだ?」

タッカロンが左頬の傷を押さえながら

「これ以上、危険な目に会って顔に傷が入るのはごめんじゃん」

「サゴチッチ~」

モモのすけの呼びかけに応じ、ザッパーン!と池の中から姿を現した悪魔河童状態の

サゴチッチがウォーターカッター発射体勢でタッカロンを睨み付けている。

「ゴチャゴチャ言ってる場合じゃねーんだよ。

やるかやらねーか。やらねーなら、今、この場で死んでもらうぞ。

死体は奴らをおびき寄せるための道具として使わせてもらう」

モモのすけの本気の圧にたじろぐタッカロン。

「わ・・・わかった、協力するじゃん」

こりゃ~俺っちもやるしかなさそうだな。右手首にはめた緑色の腕輪をチラっと見る。

(防御壁よ、万が一の時は発動してくれよ・・・頼むぞ)

「やつらの習性を利用するのさ」

「習性っすか?」

「ナブルモサザウルスってのは繁殖力が高くないため卵を大切にするのさ。

いや、溺愛すると言ってもいい。だからああやって

小型のナブルモサザウルスが衛兵のように24時間体制で卵を守っている。

そして、卵を狙ってくるやつらは徹底的に排除するまで延々と追ってくる」

モモのすけが俺っちとイケメンマッチョ二人に言う。

「お前ら、卵を攻撃して全速力で逃げてこい」

   ●

赤兎馬はガンガンに背を向け、ゆっくりと反対方向へ歩きながら

「親が子を思う愛、異性を思う愛、平和を思う愛」

そしてゆっくりとガンガンの方へ向き直し

「愛とはそのときの立場によって違うもの、概念とでも申しましょうか」

両手をおへその前で組む、いつものエレガント立ちのガンガン。

顔を少し下へ向け

「実は気になる存在がございます」

ほほう?と心の中で微笑む赤兎馬。

「私が思うにガンガン老子のその感情は、異性を思う愛、ということになりますな。

いかがでしょう、いかがでしょう」

首を少し左右に振るガンガン。

「いえ、違うような気がしております。でも、とても気になる存在です」

ガンガンはデストロイヤーと海上で対決したときのことを思い出していた。

青白く輝く満月を背景にダンスをしているように見える

デストロイヤーとガンガン。

『わからぬのだ。我はなぜかお前に惹かれる・・・。これは愛というやつか?』

(オートマターの私に愛はわからない)

「その者の名はデストロイヤー」

「デストロイヤー・・・破壊者ですか・・・」

『これは愛というやつか?』

(愛とは違うような、そうではないような。こんなモヤモヤとした感情は初めてです)

『これは愛というやつか?』

(とにかく今はマスターの命令通りにすることが私にとっては全て)

「私が戦闘服と武器を求めてここへ来たのは・・・」

ガンガンは顔を上げ、赤兎馬を真っ直ぐ見る。

「デストロイヤーを捕獲するためなのです」

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