愛とはなんでしょうか
「おとりになれって、なるわけねーだろ!」
何を言い出すかと思えば、モモのすけのやつ調子に乗ってんじゃねーぞぉおおおお!
「まあ聞けレニー」
モモのすけが神妙な顔つきで俺っちに言う。
「ナブルモササウルスってのはな。
体長3メートル単体で冒険者レベルB級。
体長4メートル単体で冒険者レベルA級のモンスターだ。
4メートルを超えるとやつらは皮膚が硬質化し始めて物理攻撃が利きにくくなる」
ヤンチャオを指差し
「さっき5メートル超級のナブルモササウルスが
あの男が繰り出した何とか波を跳ね返したのを見ただろ。
あんな奴らがこの階層にはあと3匹いる・・・なっ、わかったろ」
「わかんねーって!何で俺っちがおとりにならなきゃなんねーんっすか!」
俺っちはイケメンマッチョ二人を指差し
「あの二人がおとりになればいいじゃねーっすか!」
生きるか死ぬかの瀬戸際だ。巻き込ませてもらうぜ!
アッツシンが
「俺達に万が一のことがあったら沢山のファンを泣かせてしまうからダメだ」
タッカロンが
「君には沢山の泣いてくれる人・・・いるのかじゃん?」
「いっるっすよ・・・」
スーザンの顔が目に浮かぶ。
●
「レニー・・・レニー・・・ああ、レニー・・・
レニーオーシャンが途中でこけやがったぁ~金貨10枚も突っ込んだのに~」
マダラスカルのサイボーグ競馬場でクシャクシャ顔で涙を流しているスーザン。
●
「いるっすよ・・・父に母に、そして兄が」
タッカロンが高笑いする。
「はーっはっは、それってデフォルトじゃん」
バブシュ!タッカロンの左頬をウォーターカッターがすり抜けていく。
タッカロンの左頬が5センチほど横向きに切れ血が噴出す。
「ぐはっ!俺の大切な顔に傷があああああああ!」
アッツシンが
「俺達の商売道具の顔になんてことしてくれとんじゃ!」
モモのすけの方を振り向いた瞬間、上からシュパという音がしてアッシッシの
グラサンが眉間から真っ二つになる。
アッツシンの額に5センチほどの縦線の傷が入り、そこから血が噴出す。
「ぐはっ!俺の大切な顔に傷があああああああ!」
右半身になり右手に脇差を持ち振り下ろした状態のモモのすけの後ろには
悪魔河童のサゴチッチが両手を合わせて親指をくの字に立て指先を
イケメンマッチョ二人に向けた状態で立っていた。
アッツシンの額に縦傷を入れグラサンを真っ二つにしたのは
モモのすけが振り下ろした脇差の一閃。
タッカロンの頬に横傷を入れたのはサゴチッチの合わさった両手から
放たれたウォーターカッターであった。
「残念だがお前達二人もおとりになってもらうぜ」
額を手で押さえているアッツシン。
左頬を手で押さえているタッカロン。
二人共脂汗をかいている。
ケンケン老子がモモのすけに抗議する。
「超林寺の2大看板スターの顔になんてことをしてくれる!
やつらがどれほどの金を生み落とすかわかっておるのか!」
モモのすけはあきれた顔をして
「この状況で金の心配とは恐れいるぜ」
「よそ者のお前にはわからんのだ!
ダンジョン以外これといった産業もないこのチャンリンシャンで
生きるということがどれだけ大変かということを」
「じゃあ、あんたが変わりにおとりになるかい?ケ・ン・ケ・ン・ろ・う・し」
ケンケン老子は菩薩像のような立ちポーズを取り右手の平を前にして
「断る!」
「わっはっはっはっは、最初から期待してねーけどさ、あまりにも綺麗な拒否なんで
思わず笑っちまったじゃねーか。あんた本当に坊さんか?」
「私は坊主でもあるが超林寺の運営の舵を切る船頭でもある。
私にはまだやらねばならぬこともあり、守らねばならぬ者達がいる」
リーを見るモモのすけ。
「俺は無理だ!絶対に死ぬ。おとりなんて真っ平ごめんだ」
「あんたにゃ何も期待してねーから安心しな」
ヤンチャオがモモのすけの前に立つ。
「私がおとりになろう!」
「いや、あんたにはやってもらう役割がある」
不安そうな俺っちの横に来るモモのすけ。小声で
「レニー、お前、あの時の緑色の球体の防御壁、いつでも使えるんだろ?」
「いや~それがどうやったら発動するのかわかんないんっすよね~」
ちょっとした間があった後、モモのすけは右手親指サムアップして
「グッラック!」
何だよ、今の間は!そしてエヴァの加持リ○ウジみたいに
グッラックって・・・フラグ立てんじゃねー!
モモのすけは皆の方へ歩いていきながら
「今から段取りを説明すっから皆俺の周りに集まってくれ」
●
「これは・・・なんでしょう?小さいコップでしょうか?」
金属製で出来たお猪口を手に持つガンガン。
「それは我が友カンチャオから私が預かったものですな」
「そうですか」
お猪口を宝箱の中へ戻し、蓋を閉めるガンガン。
もう一つの左の宝箱を開け中身を確認するガンガン。
「確かに、私の戦闘服と武器ですね。
ではこれを持って早速マスターの元へ戻るとしましょう。
ですが、その前に・・・」
ガンガンはゆっくりと立ち上がり、赤兎馬に振り向く。
黒いゴスロリスカートがふわりと揺れる。
「赤兎馬さんに質問があります」
「ガンガン老子が私に質問ですか?なんでしょう、なんでしょう」
デストロイヤーを思い浮かべるガンガン。
『これは愛というやつか?』
「赤兎馬さん・・・愛とはなんでしょうか」




