ヤンチャオはまだか
走って公園の外へ出て行く小学五年生くらいの男の子二人。
「よし、我ながら今回も傑作だぜ」
「こんなことしていいのかな~」
「何言ってんだ、ノリノリで描いてたじゃねーかよ」
「ふふふふ。でも、ヤンチャオ、本当に起きなかったね~」
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「リンリンランラン双星陣!」
リンリンを肩車するランラン。
リンリンがニヤリと笑い
「この合体技を出させたのはお前が初めてアル」
ランランがぶっ殺すぞ顔をして
「こうなった私達を止めるものはいないアル」
右手を昔チョキ? 田舎チョキ? にして顎の下に置いたモンモンが
「あの構えは・・・多分駄目キー」
ガンガンに突っ込んで行く二人。
リンリンが上から高速拳を連打するも上からでは距離があるためガンガンには届いていない。
時折、ランランが前蹴りを出そうとするが上にいるリンリンの高速拳の反動で
重心が安定せずヨロヨロして出せずにいる。
「パンチが当たらないアル! ランラン、もっと重心を下げるアル!」
「わかったアル!」
膝を曲げ中腰になり重心を下げるランラン。
重心を下げたことでリンリンのパンチが届く距離にはなったが間合いを見切り
一定の距離を保っているガンガンには当たらない。
重心を下げたランランも前蹴りを右、左、右、左とコサックダンスのように出していく。
10回くらいキックをしたところで
「何かすげぇ遅くなってないカッパ?」
俺っちにもわかるくらいのスピードダウン。
「ぐふぁっ! もう無理アル」
コサックダンスをしていたランランが立ち上がりハアハアと息を切らしている。
足が小刻みに震えている。
「どうしたランラン!」
「足が・・・足が限界アル・・・」
そりゃ~足にくるだろうよ。人を担いだ全力コサックは。
ランランが息を切らしながら
「まさかここまで私達が追い込まれるとは・・・」
ちょっとだけ感じていたことなんだけど
もしかしてリンリンランランって・・・。
「リンリン、最後の攻撃をやるアル」
「ランラン、まさかアレをやるアルか・・・」
その場で左回りに高速回転するリンリンランラン。
「リンリンランラン旋風百華弾!」
ガンガンに突っ込んで行く・・・かに見えたがガンガンから見て右方向へ
どんどん反れていき壁際に立っている残り5体の兵馬俑、
中国版ゴーレムをボーリングのピンを倒すようになぎ倒していった。
合体技? という名の肩車を解除した二人。
リンリンが右手で唇を拭きながら悔しそうに
「双星陣を破るとはなかなかやるアル」
多分、目が回ったのだろう。そして足に限界がきているランランがフラフラしながら
「まだまだ行けるアル! やってやるアル!」
っていうか今、確信に変わったのだが、
もしかしてリンリンランランって・・・。
「あれは見た目のインパクトを追求して駄目になる典型ってやつキー。
ちょっとできるようになった奴がハマる罠みたいなもんだキー」
「シンプルが一番強いワン」
もしかしてリンリンランランって・・・おバカ・・・なのかな?
レ「でも可愛いから許す!」モ「でも可愛いから許す!」
あっ今、モモのすけと発言がハモっちゃった。
俺っちを見て右手でサムアップするモモのすけ。
リンリンとランランが歯が立たない状況を見ていた受付の男は焦っていた。
「まだ見つからないのかよ、ヤンチャオのやつ」
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「ふぇ~い・・・よく寝たぁ~」
公園のベンチから上半身を起こすヤンチャオ。後ろ姿なので顔の様子はわからない。
フラフラと立ち上がりショボショボと歩き出す。
「ああ~いい夢だったな~」
街中をフラフラショボショボ歩くヤンチャオ。
ヤンチャオの顔を見てはクスクスと笑いながら通り過ぎて行く人たち。
「あんだよ・・・俺の顔はそんなに不細工じゃねーぞ」
露店に立ち寄るヤンチャオ。
「みかんを1個くれ」
店主のおばちゃんはヤンチャオの顔を見るなり
「ヤンチャオ、何だいその顔は」
「ん~俺の顔に何かあるのか?」
「ちょっと待ちな。今、鏡を用意するから」
おばちゃん店主から手鏡を受け取り顔を確認するヤンチャオ。
後ろ姿なので顔の様子はわからない。小刻みに震える体。
「なんじゃこの顔はー!」顔はー!顔はー!顔はー!・・・フェードアウト。
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クワーっ!クワーっ!クワーっ!
見たこともないようなカラフルな色をした鳥が飛んでいる。
ナイアガラの滝のような大きな滝。ところどころに虹が発生している。
突然、滝を逆流して登っていく物体がある。
その様は竜が滝を逆走し登っているように見える。
バッシャーン!滝を突き抜け天高くあがったその物体は・・・
顔はパンダ、体はヒューマンだがパンダ柄の細マッチョ。
「破壊を呼ぶ声が聞こえる」
右に顔を向け、猛スピードで飛んでいく、
顔はパンダ、体はヒューマンだがパンダ柄の細マッチョ。




