五将星たち
小高い丘から地平線へ沈む夕日を見ているドグレッタ。
背後でペキっと小枝を踏む音がする。
「お母様、ドグロック、召集に応じ参りました」
「相変わらず早いな、ドグロック。式神の件は無駄足をさせてすまなかった」
「問題ありません」
遠くから馬が駆けてくるような音が聞こえてくる。
ドグレッタの背後の崖の上、3階建てのビルの高さからペガサス?が飛び降りてきた。
いや、よく見るとそれは羽の生えた細身のケンタウロスであった。
胸部と腹部以外は頭から4本の足のつま先まで白銀の鎧に覆われていた。
胸部と腹部は黒銀であり、胸に二つ膨らみがあることから女性のようである。
「ドグザーヌ、召集に応じ参りました。お母様、お久しぶりです」
「久しぶりだなドグザーヌ。肌の調子はどうだ」
「お母様がご用意してくださった白銀の鎧のおかげで肌の維持が出来ております。
ドラロン作の天馬の胸当てもとても美しい羽が生えるので私のお気にですわ。
ウィングオフ!」
ドグザーヌの声に反応し、背中に生えていた羽は消えてなくなった。
「姉上、壮健でなりよりです」
「ドグロック、少し大きくなったみたいね」
「気のせいです、姉上」
「だって、前回会ったときはこれくらいの大きさだったじゃないの」
ドグザーヌは左手の人差し指と親指で10センチくらいの長さを表した。
「姉上、それは私がまだ培養管の中に入っていた頃の大きさです」
「ジョークよ、ジョーク。相変わらず冗談が通じない男ね」
「よく言われます」
「さあ、我が最愛の弟よ。久しぶりの再会の姉にハグをしてちょうだい」
ハグをして再会を喜ぶドグザーヌとドグロック。
「ほら、やっぱり少し胸の辺りが一回り大きくなってるじゃない」
「気のせいです、姉上」
「お兄様はいつものようにまだお見えでないみたいね」
「全く・・・一度たりとも約束の時間に来たことがない。
あのバカ、また嫁探しでもしているのだろう。
ドグマはあとで合流することにして、ドグミーナに会いに行くぞ。
今回の任務は特にドグミーナの能力が必須だからな」
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にっこり笑ったエルフの顔の絵の左横に
中華料理の勉強のためしばらく休みます!
と書かれた貼紙がされたJB中華飯店のドアの前。
「しばらく休むっていつまでなんだい、ベイベェー」
右手に持っていたスターライトランスとパタっと地面に落とすドグマ。
通りすがりの5歳児くらいの男の子が一緒にいる父親に向かって質問する。
「パパ~、べいべぇーって何~」
「かわいこ子ちゃんっていう意味だよ」
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どこかの海辺の地磯。
緑色の長い髪の人魚が4~5匹のカモメに
囲まれ何やら談笑している。海の中にはイルカと思わしきものが1体顔を出している。
人魚から少し離れた地磯で転移魔方陣が展開され、
ドグレッタ、ドグザーヌ、ドグロックが現れた。 人魚の方へ近づく3人。
「待たせたな、ドグミーナ」
人魚はドグレッタを見た後、水面から顔を出しているイルカを見ると
海の中へ飛び込んで消えてしまった。
「ピュロロヒュロ、ピュロロヒュロ」
イルカは何か小さい可愛らしい鳴き声を発する。3人の脳内に念話が展開される。
「ピュロロヒュロ(お母様、姉上、兄上、お久しぶりです)」
「お前のレーダー探知能力を使ってある人物の居場所を突き止めて欲しい」
「ピュロロヒュロ(ある人物とは?)」
「今からある動画の記憶を私の脳内で展開する。ドグミーナ、皆に共有してくれ」
「ピュロロヒュロ(かしこまりました)」
ある動画とはデストロイヤー誕生のあれである。
「これは何だ・・・」
「こんなことが・・・私達とは別の方法で生命体が生まれたということでしょうか?」
「教祖様からナルハヤで捕獲するよう厳命が出ておる」
「ピュロロヒュロ(では早速探して参り・・・)」
「待て、ドグミーナ。その前に皆に伝えておかねばならぬことがある」
ドグレッタは険しい顔になり
「この任務失敗した場合、6人目が投入される可能性がある」
その場に氷りつく一同。
「お母様、あれを6人目と呼ぶのは私には抵抗がございます」
「その通りだドグロック。あれは6人目と呼べる代物ではない」
「お母様、私達ではあれを止めることはできませんわ。それに6人目は・・・」
「ああ、私は確実に死ぬ。そして我々の何人かはあれに殺されるだろう」
「ピュロロヒュロ(お母様、全滅もあり得ます)」
「だからこそ・・・だからこそ我々は絶対にデストロイヤーを捕獲せねばならん!
6人目、ドグザリオンの投入の前に!」
ドグレッタは心の中でつぶやく。
(我々は生きているのだ!)
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マダラスカルの一番高い建物の屋根の上で右肩にスターライトランスを置き
右腕をだらりとスターライトランスの上からかぶせ体育座りをしているドグマ。
「チャーハン、食いたかったぜ、ベイベェー」
遠くの山へ落ちて行く夕日を見ながら
「風神子ちゃん、雷神子ちゃん、元気にしてるかな~ベイベェー」
頬を赤らめ
「こんな気持ちになれるなんて、生きてるって素晴らしいぜ、ベイベェー」




