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酔いどれ天女には気をつけろ

恐る恐る入場ゲートを通る俺っち。

ピンクのチャイナドレスの女性が笑顔で

「入場料を確認したアル」

赤のチャイナドレスの女性が笑顔で

「チャンリンシャンドリームダンジョンへようこそアル」

戦士の男性を瞬殺したピンク、死体を軽々と蹴り上げた赤。

後でまた登場するこの二人はパンチのピンク、キックの赤と覚えておこう!

あんなものを見せられた後では、この二人の女性の間を通り抜ける際に

何とも言えない緊張感といいますか、あそこがキュっと引っ込むね、キュっとね。

入場ゲート内に入ると中はトンネルになっており、ゆるい傾斜の坂を1分くらい下っていくと

人が沢山集まっているようなザワつきが聞こえてきた。ようやく出口が見えてきた。

トンネルを抜けるとそこは・・・

「コンサート会場?」

だった。

   ●

「なるほど・・・定番ものを忘れていたとは・・・やはり来て良かった」

ある中華飯店で出された酢豚のおいしさをJBは再確認していた。

奥のテーブルでは老子から 顔じゃ! と言われたカンフー服の辮髪男が酒を飲んでいた。

身長165センチ、団子鼻に厳つい顔立ち。

イケメンにはほど遠い、どちからといえば不細工寄りである。

「なぜだ、なぜこの私がトップとして認められないのだ」

通りすがりの知り合いが辮髪男を見て

「ヤンチャオ、昼間っから酒とは珍しいな」

「モーマンタイ!」

「酔いどれ天女には気をつけろよ~」

給仕の女性を見つけて手を上げるヤンチャオ。

「もう1本頼む」

「大丈夫ですか?そんなに飲んで」

「モーマンタイ!我が拳は飲めば飲むほど強くなるゆえ・・・モーマンタイ!」

「わかりました。でも飲みすぎは駄目ですよ。酔いどれ天女には気をつけてね」

酔いどれ天女には気をつけろ。この街の人々は何か忠告をするときや

験を担ぐ(げんをかつぐ)時、お大事になど何かにつけて

酔いどれ天女には気をつけろ、と言うのである。それはなぜだろうか?

話はこの街の創生時、300年前にさかのぼるる。

この地で乱暴の限りをつくしていた魔族がいた。

赤い毛並みの馬頭、名を赤兎馬せきとばと言う。

ある武道家が赤兎馬退治に名乗り出る。超林寺創始者、開祖こと

ヒューマンのカンチャオである。

ちなみにカンチャオはヤンチャオのご先祖様である。

魔族である赤兎馬にかなうわけもなく、敗れるカンチャオ。

絶対絶命の瞬間に天女は舞い降りる。

千鳥足? 酔っ払っているのだろうか?

天女の動きは掴みどころがなく連続して繰り出される動きに翻弄される赤兎馬。

天女の軍門に下り忠誠を誓ったその時、赤兎馬はこう言ったのだ。

「酔いどれ天女には気をつけろ」

カンチャオは魔族を倒した天女に教えを請い、弟子入りする。

そしてカンチャオはその動きを体系的にまとめ一つの拳法としての基礎を作り上げる。

一子相伝の必殺拳として伝承されたその拳法は一族の間でブラッシュアップを重ね

こう呼ばれるようになる。


 酔拳すいけん


現在の使い手はカンチャオの子孫のヤンチャオである。

   ●

中規模程度、マックス千人程度が収容できる文化ホール程度の大きさの空間が

俺っちの下に広がっている。段々畑のように石で出来た椅子が20段ほど

下に向けて続いている。その先には踊りやコンサートなどが出来る規模のステージが

設置されており、ステージの両脇にはダンジョンはこちらと書かれた看板が掲げられた

洞窟の入り口があるが現在は重厚な木の扉で閉ざされている。

段々畑の石の椅子にはすでに沢山の冒険者が・・・って様子がおかしい。

ステージから3列目くらいに人が異様に密集している。しかも若い女性ばかりが。

俺っちが入場したのは午後だったけど、タイミングが良かったのか?

ダンジョンの歩き方講座は終わった後で、スペシャルライブ開始前であった。

コンサート会場の明かりが消える。

そして始まるスペシャルライブ。俺っちは理解する。

なぜ、若い女性ばかりがたくさん集まっていたのかを。

だって、このスペシャルライブは・・・。

   ●

「この甘い果物は何ですか?」

店主に聞くJB。

「パイナポートある。こいつに含まれている酵素が肉をやわらかくするある」

「なるほど・・・勉強になります・・・やはり来て良かった」

果物を入れると肉が柔らかくなるということを知り

更に中華料理の奥深さに関心するJBであった。

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