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大人一人(おとなひとり)

「モモのすけ無事だったカッパ」

アニーの孤児院のこじんまりとした庭先でドグロックに連れて行かれ

そして解放されたモモのすけと合流するモンモン、ワンセブン、サゴチッチ。

「特に何もされず何も聞かれず、すぐに解放されちゃったんだよね~」

「俺たちに感謝するキー」

「そうだワン。感謝するワン」

「えっ? 何を感謝するの? 逆に俺と知り合いになれたことを神に感謝じゃね?」

プンスカ怒るサゴチッチ。

「誰のおかげであっさり解放されたと思ってるカッパ!」

「ジョークだよ、ジョーク。本当、心配掛けたな。みんな、ありがとよ」

「最初からそういう殊勝しゅしょうな態度でいればいいカッパ」

「だってよ~何か恥ずいじゃん、改まって言うの」

「合流できたら連絡する手はずになってたキー」

モンモンがズボンの右ポケットからファミレスで使う呼び鈴みたいな物を取り出す。

「連絡する手はずって、誰にだよ?」

「ドラロン、ワン」

「ドラロン、ドラロン・・・って、あの魔族の名工ドラロンか!」

   ●

ドラロンの工房。

「クワーマン、思いっきり息を吹き込んでみてくれ」

「わかっただべ」

ゴムホースのようなものを口に咥え思いっきり息を吹き込むクワーマン。

ゴムホースの先には顔と胸だけの骨格状態のオートマターが吊るされている。

両胸に一つずつ付いている直径15センチほどのタービンが勢いよく回る。

「うむ、いい感じだな」

ピロピロピロピロ、ピロピロピロピロ。

ファミレスの呼び鈴を押したときになるような音が工房内に響き渡る。

「ガンガーン!ガンガー・・・あっ、いけね。

 あいつは今チャンリンシャンに行ってるんだった」

工房を出たドラロンは廊下にある壁掛けのインターホンの受話器を取る。

「合流したキー」

「よしわかった。ガンガンに迎えに行かせるからちょっと待ってろ」

   ●

「ったく・・・どこに行ったんだろうJB」

多分、どこかの中華料理店に入っているのだろうが、

店がいっぱいあってどこから探したらいいかわからない。

間違いなく中華ハイ状態になっているだろうから

見つかったとしても超林寺とダンジョン探索にはついてこないかもしれない。

「どうしようガンガン。JB抜きで超林寺へ行ってみる?」

「はい、マスター。では、迎えに行って参ります」

ん? もしかしてドラロンと念話中ってやつか。

「レニー、マスターからピーチグローリー4の方々を迎えに行くよう命令がありました。

 お連れするまでその辺で散歩でもしていてください」

といい残し、転移魔法で転移するガンガン。

ぽつ~んと見知らぬ土地で一人になる俺っち。どうしようかな~。

JBみたいに特に目的があるわけでもないし。

「スペシャルライブ、見に行ってみっか」

だって、チャンリンシャンは観光地ですので~。

   ●

「何だここは・・・」

遊園地のような入場ゲート。ゲートの上にはポップな感じの書体と

色々なパステルカラーが入り混じった

チャンリンシャンドリームダンジョン

なる看板が飾ってある。どこからどう見ても最寄の遊園地に家族連れで入っていく雰囲気だ。

入場ゲートにはピンクと赤のチャイナドレスに団子ヘヤーの可愛い女性二人が立っている。

身長155センチ、二人共黒髪で年齢は20~25才くらいだろうか。

チャイナドレスから時折見えるおみ足がこれまた良き!

「ダンジョンに入るのに何で金がいるんだよ!力づくで通らせてもらうぜ!」

戦士、拳法家、僧侶、魔法使い。ドラクエなどでは基本的選ばれやすいパーティ構成?

ヒゲ面の中年男、やられキャラ満載の雰囲気の戦士が凄んでいる。

どのくらいやられキャラ満載かというとアニメなどでいうなら

顔や装備のディテールが雑、作画がゆるい、そんな感じ。

ピンクのチャイナドレスの女性が

「駄目あるよ、ちゃんと入場料を払ってくださいアル」

凄む拳法家。こちらは30代くらいだろうか。戦士と同じくディテールは雑。

背中に殺の字が印字された衣装を着ているが殺の字が書道初心者レベル、そんな感じ。

「ねいちゃん邪魔だ。怪我したくなかったらここを大人しく通しな!

俺の念念殺殺怒路利世拳ねんねんころころおころりよけんが火を吹く前にな!」

赤のチャイナドレスの女性が

「そんな拳法聞いたことがないアル。大人しく入場料を払うアル」

「どけって言ってんだろ!」

戦士が剣を抜いた瞬間、戦士の両腕はダラリと力が抜け

両膝をついた状態でその場に座り込む。右手に持った剣が地面について

ガチャンと音が鳴ったと同時にガクン!っと首が後ろに折れ曲がり

口頭部が背中にピタリと付いた状態で絶命した。

戦士の顔は数発殴られたのかボコボコに腫上がっていた。

「払えっていってるアル」

ピンクのチャイナドレスの女性が何かをしたようだったが速過ぎて見えなかった。

「お前も試してみるアルか?」

ピンクのチャイナドレスの女性が拳法家を睨んでいる。

冷や汗をかいている拳法家。拳法家の目には最初の1発は見えていた。

最初の1発で首の骨が折れたか。その後は速過ぎて見えなかったが

顔面の腫れ具合から多分5発、いや10発を戦士の顔にぶち込んだのか・・・。

「ううう運のいい奴め。今日の念念殺殺怒路利世拳は調子が悪いから

今度来るときは入場料を払ってから来てやる!」

戦士の死体をそのままにして退散する拳法家、僧侶、魔法使い。

「おーい、仲間の死体を片付けていけある」

赤いチャイナドレスの女性は左足のすねを戦士の死体に押し当てると

「ふん!」

と気合を入れ蹴り飛ばした。逃げる拳法家の上に落ちる戦士の死体。

普通、剣を抜いたくらいで殺すか?

剣を抜いた以上、正当防衛が成立するのか?

とにかく風神子と雷神子といい、あのピンクと赤のチャイナドレスの女性といい

異世界の二人組みの女性は何であんなにおっかないんだよ。

俺っちは入場ゲートの左側にある入場料支払窓口へ行き純銀貨5枚(5千円)を

震える手で出した。そして震える声で

大人一人おとなひとり

ダンジョン入るのに大人も子供も関係ないぞレニー、ロックンロール。

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