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97:レベッカの価値


 渋々とジャックの指示に従うことになったわたしは、その指示通りに動いた。

 回復したレナちゃんにディランが自分を責めていることを伝えて、彼女にディランの説得というか……いつも通りのディランに戻るように話をしてもらった。

 その結果、いつものディランに戻り、ありえない速さで光魔法の効率化が進んだ。

 愛の力……というやつなんだろうか。なんだか二人の仲も進展した感じだし……なんて言えばいいか……二人で話しているときの雰囲気がね……話しかけづらいっていうか、ほわほわしているというか……うん、察してください。


 でも、想いが通じ合ったって感じでもない。

 友達以上恋人未満的な……たぶん、そんな感じだ。ふわふわしたことしか言えない自分の語彙力の無さに泣けてきた。


 光魔法のことはレナちゃんとディランの二人に任せるとして……。

 次は黒の魔力が溢れて出している源泉を見つけなければならないと、ジャックは言う。


「おそらく、そこは悪魔教の施設になっているか、または聖地とされている場所だと思う」

「その理由は?」

「ここまで魔獣化を進めるためには、人が手を加えないとあり得ない……そうなんだろ?」


 チラリとジャックはヴァーリックを見て言う。

 それにヴァーリックは『ああ、おそらくは』とわたしの頭の上に乗ったまま答える。

 今は彼のお気に入りの白いコウモリ姿だ。全快とまではいかなくても、八割くらいは回復したのだとか。

 だから、わたしから溢れている魔力を少しずつ使ってもらっている。それでも、溢れている魔力の方がほんの僅かに多いらしいんだけど……。


 まあ、それはとりあえずおいておこう。


「なら、それには絶対悪魔教が関わっているはずだ。どういうカラクリで黒の魔力とかいうやつを掘り起こしたのかはわからないけど、大掛かりな儀式のようなことはやったはずだ。それをバレずに行えるのは、悪魔教の所有する場所だからなんだろう」


 ジャックの推測になるほど、と思う。

 確かにこんな被害が出るくらいの黒魔力を溢れ出すにはなんらかの仕掛けが必要だろう。ヴァーリック曰く、黒の魔力が溢れたとしてもすぐに塞がるものらしいし。人に例えると瘡蓋ができるみたいな感じなのかな。


「それから俺の能力についてだが……俺の未来視はすべての未来が見えるような代物じゃない。集中すれば狙ったものも見えるが、基本的には突然なにかしらの未来の映像が見えるだけだ。寝ているときに夢として見ることが多いな。その見える未来の重要性もまたランダムだ。基本的には俺に関わりのある未来しか見ることはできない。……と、俺の能力についてはこんなところか」

「なるほどね……」


 アンディは考え込むように顎に指を当てる。

 そんなアンディを横目で見ながら、わたしの未来を見てもらったときのことを思い出す。

 あのときジャックが急に横になったのは集中するためだったのかな。寝るときに未来が見やすいというのもあるのかもしれない。どちらにしても、ジャックの未来視は強力だけど、お手軽に使えるようなものではないということはよくわかった。


「まずはその黒の魔力が溢れ出る場所がどこかを特定するのが先かな。兄上の話によれば、魔獣が多く出現する場所があるとのことだったけれど……そういう場所があるらしい、という噂程度の話しか情報が入らない。どこが出どころなのかもわからないらしい」

「それはたぶん、悪魔教が情報規制しているんだろう」

「僕も同じ考えだよ、ジャック」


 アンディとジャックでどんどん話が進んでいく。

 わたしのいる意味は……? と問いたいところだけれど、用があるのはわたしじゃなくてヴァーリックの方なんだろう。それはわかるからひたすらあくびを堪えながら、二人の話を大人しく聞く。


「俺は追われている身だから動けない。そのあたりの調査は殿下にお願いしたい」

「引き受けよう。兄上にも協力していただこうかな」


 どうやら話がまとまったらしい。

 やっと堅苦しい話から解放される。きっと美味しいお菓子をアンディは用意してくれているに違いない──そう思ったとき、ジャックと目があった。


「殿下」

「うん?」

「レベッカちゃんから目を離さないように」

「……うん?」


 アンディは首を傾げ、わたしを見る。

 その目は「なにかやらかしたの?」と問いかけている。誤解だ! 最近のわたしはとても大人しかったはずだ!

 誤解を解くべく、ぶんぶんをわたしは無実だと主張するために首を何度も横に振る。

 本当に身に覚えがありません!


「レベッカちゃんも気をつけて。君が誘拐される未来が見えた」

「え……?」


 誘拐……? わたしを? なんで?

 身代金が目的かな? だってわたし、これでも貴族令嬢ですし? うちにはそれなりの資産があるから、愛娘のためになら多少の無茶もしてくれるだろう。それに……わたしはアンディの妃候補ですから。


 ……それか。それが理由か!

 わたしが妃候補から外れれば、他の貴族令嬢がアンディの妃……ゆくゆくは皇妃になる可能性が高くなる。自分で言うのもなんだけど、わたしが今一番皇妃の座に近いから。


 それに……これは可能性が低いけれど、ヴァーリック目的という可能性もある。

 考えてみれば、今まで誘拐されたなかったのが不思議なくらい、わたしってば価値のある存在だった……。


 そんなことを考えていたら、ジャックが思いの外、重い口調で言った。


「レベッカちゃんが誘拐されたら……大変なことになる」


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