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96:教祖


「俺も会ったことはないんだけど……【教祖】と呼ばれる組織のトップがこの国に──アンドレアス殿下の近くに潜伏しているという情報が手に入った」


 ジャックの言葉に目を見張る。

 え? これってかなり重要な情報なのでは?


「悪魔教のトップが……?」

「そう。だから殿下に近づくために俺も学園に潜入して、色々探ってはいるんだけど、まったく正体が掴めない。教祖が殿下に直接手を下すことはまずないだろうから、未来視したところでわかるものでもないし、正直お手上げだ」


 悪魔教の教祖と呼ばれる人物は、アンディを殺したいほど憎んでいる可能性が高い。

 もしアンディのことをなんとも思っていないのだとしても、この国を滅ぼそうとしている危険人物であることは間違いない。


「だから、君に近づいたんだ。これは俺の勘だけど、君なら教祖の正体にたどり着けそうな気がするんだよなあ」


 規格外だからかなあと言ったジャックを睨む。どういう意味なんだ、それ。


「俺の素性はこの辺りでいい? それとも……ジェームズだった頃のことも教えようか?」

「あなたは……なぜ、クリス様のもとに?」

「クリスの近辺を探れって命じられたからさ。俺の初任務だな。弟子にしてほしいってまとわりついたことは間違いないんだけど、本当に弟子にされちゃうとはなぁ……あの人も本当に規格外な人だったよ。変だったし、すげぇめんどくさい人だった。でも……俺は好きだったな……組織に戻るときに死んだフリして、身代わり用意して逃げようとしたとき、師匠に見つかちゃってさぁ。まあ、師匠は俺の正体なんてとっくの昔に気づいていたんだろうけど……あの人、なにも聞かずに『いってらっしゃい』って言ってくれたんだ」


 そう語ったジャックは懐かしそうな顔をしていた。それでいて、どこか寂しそうでもあった。


「ただ……俺の気がかりはディランのことでさ。あいつ、師匠にそっくりな性格だったから、大丈夫かなって……たまにあいつの顔を遠くから眺めていたりしてたけど……まあ、師匠にそっくりな世の中すべてが不満だって顔していて面白かったなあ」


 そこ面白がるところ? 心配するところでは?

 胡乱な目をしたわたしにジャックは誤魔化すように笑う。


「……それはともかくとして、ずっと一人で誰も寄せつけないディランのことは、俺なりに心配していた。でも俺は死んだことになっているし、ただ見守ることしかできなかったけど……レベッカちゃんがディランを人の中に引っ張り出してくれた。それには感謝してる」

「ジャックさん……」


 それ、すごく打算まみれだったんですけど……感謝されちゃうとなんかこう……後ろめたいというか……気後れするというか……。

 とにかくそわそわする。そんなつもりでしたわけじゃないことで感謝されるのって、なんか慣れない。


「だから、レベッカちゃんの手伝いはするよ。死にたくないんでしょ?」

「ええ、もちろん」


 今のわたしに自殺願望は一切ない。

 というか、皇妃になってすらないのに、こんなところで死ねるか!


 まあ……具体的な対応策はないのが現状なんだけどね……詰んでる状態だ。


 ジャックはわたしの答えによくできましたと言わんばかりに、にんまりと笑う。


「それじゃあ──しばらくは俺の指示に従ってもらうから」

「え?」

「レベッカちゃんは特になにしでかすが予想がつかないから、俺の指示に従ってもらわないと。下手に動かれて未来が変わるといけないし。──ま、未来が変わって困るのは君で、俺は全然構わないんだけど」


 ……前から思っていたし、ずっと言ってきたことだけど、今、改めて実感した。


「……わたし、あなたのこときらいです」


 そう言ったわたしにジャックはなぜか嬉しそうに笑う。


「光栄だなぁ。俺はレベッカちゃんのこと、嫌いじゃないぜ?」


 本当にいい性格しているな……。


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