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88:仕返し成功


「……はい? 今、なんとおっしゃいまして?」


 わたしの聞き間違いでなければ、一番面白そうな人生を歩むとかなんとか聞こえた気がするけど……。


「だから、アンドレアス殿下につくのが一番面白そうだから。あ、もちろん、俺を守れるくらいの権力のある人物であることは大前提なんだけど。オスカー殿下はあのまま脳筋で一生過ごすんだろうって予想つくけど、アンドレアス殿下は予想つかないんだよな。それが面白い」

「……」


 全然わからない。なに言ってるの、この人。

 唖然としているわたしに、ジャックはニンマリと笑う。


「レベッカちゃんには……いや、他の誰にもわからないだろうさ、俺の感覚は。でもさ、想像してみてくれよ。俺は昔から未来のことが見えた。その通りの未来になっていった。それがどれだけつまんないことか……」


 楽しみにしていたマンガや本の続きをネタバレされた……という感覚かな。

 確かに先のことがわかっているのはつまらないことなのかもしれない。


「……アンドレアス殿下と君だけなんだよ、俺の見た未来と違った未来に進んだのは。それを起点にいろんな人の未来が変わったんだ。だから俺は君たちに興味を抱いた。そして、こんな人たちの傍にいられたら、退屈しないんだろうなあって思ったから、アンドレアス殿下に取り入りたいんだ。殿下に取り入れば、君もセットでついてくるしね」


 わたしをアンディのおまけみたいに言うな。

 でもまあ、ジャックなりに考えがあるのはわかった。わかっても嫌いだけどね!


「……あなたが殿下に取り入りたい理由はわかりました。でも……あなたが殿下を裏切らない保証はない。それすらもわたしを欺くための演技かもしれない」

「それはそうだな」

「わたしにはそれを見抜く目は持ち合わせていません。だから、殿下に判断していただくことにします」

「へえ?」


 面白そうにジャックが眉を上げる。


「俺を殿下に会わせてくれるんだ? 殿下すら欺いちゃうかもよ、俺」

「ええ。わたしは殿下の人の見る目を信じています。あなたごときが殿下の目を欺けるはずもないわ」

「……言ってくれるじゃん」


 ええ、言ってやりますとも。

 わたしはあなたが嫌いですからね。


「……と言うことで、お時間よろしいかしら、アンディ?」

『……しょうがないね』

「……は?」


 突然響いたアンディの声に、ジャックが驚いた顔をする。

 この未来は見てなかったのかな? ふん、ざまあみろ。


『話は聞いていた。君を王宮に招待しよう。今から来るといい、ジャック・マーティン。レベッカ、案内を頼んだよ』

「ええ、わかったわ」

「……」


 わたしとアンディのやりとりにジャックはただ呆然としている。

 そんなアンディにドヤアと笑顔を向けると、ジャックはギロリと睨む。


「……やってくれるじゃん、レベッカちゃん」

「お褒めに預かり、光栄ですわ。さあ、頼んだ品をいただいてから参りましょうか」


 ちょうど店員さんがわたしたちの頼んだケーキを運んできた。

 ジャックはそれとわたしと見比べて、苦々しい口調で「わかった」と頷いた。



 わたしはジャックと会うにあたって、アンディにも報告をしていた。

 ジャックの目的がアンディであることはわかっていたからね。

 話の流れでアンディを紹介してほしいということになったら、アンディに判断を任せる──つまり、王宮にジャックを招くことを昨日の時点で決めていた。

 だからノアにもついてきてもらっていたし、近くにはオスカー殿下自ら迎えにきてもらうことになっている。

 オスカー殿下は今ではとても優秀な騎士だし、それにノアがいれば滅多なことを起きないだろうというアンディの判断である。


 オスカー殿下たちが控えている場所にジャックを伴って向かい、車で王宮に向かう。

 ジャックは警戒している様子も、緊張している様子もなく、落ち着いているようだった。

 店では慌てていたのに……つまんないな。


 王宮の一室に入ると、そこにはアンディが待っていた。

 昨日の魔獣浄化の疲れを感じさせない面持ちだ。


 あ、そうそう。ちなみに、昨日は魔獣化したドラゴンは現れなかったようだ。

 まあ……浄化が終わったあとにドラゴンらしき姿を見かけたと言う情報はあったようだけれど。


「兄上、ありがとうございました」

「これくらいお安い御用だ」


 そう言ってオスカー殿下は笑い、後ろに控える。

 次にアンディはわたしを見て、ついでのように「レベッカもお疲れ様」と言う。

 ちょっと納得できないけれど……まあいい。厄介事を持ち込んだのは他ならないわたしだし。


「それから……初めまして、だね。ジャック・マーティン。僕になにか用があるみたいだけれど──詳しく聞かせてもらえるかな?」


 にこりと有無を言わない迫力ある笑みを浮かべて、アンディはそうジャックに言った。


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