006
「でも、嫌われ者の種族とパーティを組むなんて嫌じゃない……?」
「別に、クラリスはクラリスだ。種族だろうがなんだろうが関係ない」
「でも……」
「それにな、俺だって種族は人間だ。パーティを好んで組む奴なんてそうそう居ないから、クラリスが居てくれると助かる」
若返ってもう一度、冒険ができる。そのおかげで、クラリスとパーティを組める。
もう一度ダンジョンに潜って、あのゴーレムとの戦いをやり直せる。
おっさんになってから、こんなにも心が躍ったのは初めてかもしれないな……。
「私と居ると、周りから変な目で見られるかも……、それでもいいの?」
「それは前からだし慣れてるさ」
大剣使いなんて周りからバカにされるだけだったしな……。
あ、そういえば俺の大剣はまだ八階層に……。まぁ、また今度、クラリスと取りに行けばいいか。
「ほんとにいいの……?」
「ああ。むしろ、俺の方が頼みたいくらいだ」
クラリスの顔を見つめながら、握手をしようと手を差し出す。
「えへへ……じゃぁ、組んであげるっ!」
「ちょっ……その恰好で抱きつくな……」
「なんならこのままシてもいいのよ……?」
「アイシャがあそこで倒れてるし、部屋の扉が開いたまんまじゃ雰囲気が出ないだろ……」
まだ気絶しているアイシャを、クラリスと二人で見つめる。
「なら、外に出す? あ、別に中でもいいよ?」
わざと意味深な言い方をするクラリスに、
「あのなぁ……」
と注意を挟む。
「クラリス、お前はもっと他の奴と関わった方がいい。そうすれば、俺よりも良い奴がきっと見つかるさ」
クラリスは元々、他の冒険者と関わらない。
だから、初めて冒険者として関わったのが俺だったらしく、やけに懐かれてしまっている。
こんな可愛い金髪美少女、俺よりも良い奴が見つかるに決まってるだろ……。
女の子の大事な初めてを、こんなおっさんに渡すなんてもったいないったらありゃしねぇ……。
「むぅ……前もそうやってはぐらかしたぁ……!」
「さぁ、とにかく服を着てくれ。アイシャを起こして集合だ」
俺は立ち上がって周りに置かれていた装備品を手にする。
「ふぅ……仕方ないわね、よいしょっと……」
シーツを肩から滑らせたクラリスが着替えだす。
「……」
小ぶりでも、ちゃんと胸はあるのか……。
「ん……?」
チラッとこちらを見たクラリスと目が合ってしまった……。
「ビオリスなら見てもいいのよ? なんなら触ってもいいよ?」
「あ、いや……遠慮しておくよ……」
「ふふっ、大きくなったら挟んであげるからね♡」
「なにをだよ……」
「えっと、ビオリスの……ビオリスを?」
「はいはい、大人になったらな…………」
着替え中のクラリスを残し、アイシャを拾い上げる。
「もー! そうやって子ども扱いするのよくないっ! 私の方がほんとは年上で」
「んじゃ、俺はジャックとバレッタの部屋に寄ってからシズクの所に行く。着替えが終わったら来てくれ」
「あ、あわわ! わ、私も一緒に行くから待って待って!」
あせあせと、慌てて服を着替えるクラリス。
普通にしていれば子どもみたいなもんなんだよなぁ……。
見た目は金髪の可愛らしい少女。その中身は、最上級冒険者の実力を持つサキュパイア。
ゴーレム討伐の編成には参加していなかったが、十五年前の大行進の時は、町を守るためにしっかりと動いていた。
嫌われていても、誰かが困っていたら助ける優しい少女……。
普段のクラリスは尖っていても、中身は強くて優しい冒険者であることに違いはない。
「AAAランクの冒険者クラリスとパーティを組めるなんて、冒険者冥利に尽きるな……」
自然とそんな言葉が口から漏れていた。
「え、今なんて言っ…………あ、ちょっと待って!」
「レディなら、男が居る前で着替えてくれるなよ」
――――――パタン。
…………。
「はぁ……」
もう少しクラリスが成長していたら、理性の鎖が千切れるところだった……。
「――――ジャック、バレッタ、起きてるか?」
ジャックとバレッタの部屋をノックし、起きていた二人と合流。
そうこうしているうちに後ろからクラリスが到着。
五人揃ってシズクの待つ部屋へと、ようやく全員が集合した。
「――――んじゃ、アイシャも起きたし話をしようか」
アイシャたちから洞窟から出たあとの話を聞き、改めてクラリスへとお礼を言う。
そのあと、宿屋で飯を食べ終えて、俺たちはエアリエルの町まで帰還したのだった。
――――――第一章、完――――――
一区切りの所で完結とさせていただきましたが、一応こちらも更新を続けていこうかと思います。
カクヨムの方では先に話が進んでおりますので、興味を持っていただけたのなら、覗いていってもらえると嬉しいです(_ _)




