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004

「で、でもね、アイシャちゃん……、ギルドに登録した日とか、Cランクになったこととか考えたら……すごい、と思うよ……?」


 シズクよ、ナイスフォローだ。


 このままアイシャへ追撃しよう。


「ごほん……。そもそも俺はサラマンダーの討伐までできる。ここまで来るのに時間はかからないさ」

「サ、サラマンダーを討伐っ⁉」

「で、でも……サラマンダーは八階層だから……Aランク冒険者しか、行けないです、よ……?」

「そ、そうよ! そんなのありえないもん!」


 二人とも思ったより驚いているな。シズクまでアイシャ側についてしまった。


 うーむ……、この後の任務もあるし、できれば俺がリーダーを務めたい……。


 パーティを組むにあたり、リーダーは決めておかなきゃならない。


 アイシャはこの間の戦闘を踏まえてリーダーにするのは却下。シズクも、モンスターや対人戦で優柔不断な行動が出れば危険だ。


 なんとか、二人よりも決定権を持っておきたいんだがな……。


 サラマンダーを倒せるって言えばどうにかなると思ったが、見通しが甘かったか……。


「なに迷ってるのか知らないけど、あんたがサラマンダーを討伐したっていう証拠を出しなさいよ! 証拠を!」


 証拠ねぇ……。


 若返ってから八階層に行けるわけもないし、家にはあるかもしれな―――――――


「あ」

「「……?」」

「あるぞ、証拠」

「「えっ?」」


 確か、サカマキと遭遇した時の分がバッグに入れっぱなしだったはずだ。


 俺は腰のバッグに手を突っ込み物色した。


「……おお、あったあった。ほら、サラマンダーの爪だ」


 取り出したサラマンダーの爪を二人に渡す。


 赤黒く光るサラマンダーの爪はアクセサリーとしても高く売れる。冒険者なら、武器や防具に溶かすことで火耐性を上げられる高価な素材だ。


「なっ……ほ、ほんとにサラマンダーの爪じゃんか……!」

「す、すごい……!」


 二人の確認が終わり、アイシャからサラマンダーの爪を手渡される。


「これで分かってくれたか?」

「あのさ……、君って本当に何者なの……?」

「何者って聞かれると困るんだが…………」


 なんて言えばいいんだろか。元おっさん? 若返った冒険者?


 やる気もないままダンジョンに行って、モンスターにしてやられた冒険者か……。


「まぁ、言ってしまえば落ちぶれ冒険者の二週目ってところかな」


 フフッ……。


 自分で言ってて笑えてくる。


 ただ単にモンスターに年齢を巻き戻されただけの人間のおっさんでしかない。


 多少、腕力の低下はあったにしても、こうして二度目の冒険者生活が送れる。


 おまけに、目の前には可愛い娘さんたち。


 俺としてはありがたい限りだ。


「言ってる意味がよく分かんないんだけど……」

「う、うん……」


 二人が困惑している。


 おっと、余韻に浸ってる場合じゃないな……。

 早いこと軌道修正するとしよう。


「まぁとにかくだ。時間が分からない以上、先に相手の居場所を調査、探索するのは当たり前で――――」

「あ、あの……!」


 ダンジョンでの時間感覚、それに対する歩み方を説明する途中、シズクに遮られた。


「どうしたんだシズク?」

「あの、時間ならこれで……分かります……けど……」


 首元にかけられたネックレスを取り出すシズク。


 和服の中から……つまり、たわわな胸の内側から、円盤状のアイテムが現れた。


 た、谷間に埋もれて見えなかっただと……。


「なっ……ななっ……」


 アイシャには一生できない芸当に、アイシャ自身が一番悔しそうにしていた。


「ん、なんだそれは?」

「これはその、時間を特定できるアイテム……です……」

「え…………」


 え、なにそれ……。そんなアイテム知らないんだが……。


「タイムチェックっていう、冒険者なら誰でも知ってる必須アイテムよ。知らないの?」

「…………」


 し、知らなかった……。


「ちょっと見せてくれ」

「え、あ、あのっ……ふぇっ⁉」


 シズクの着けているペンダントを見つめると、丸い円の中をカチカチと音を立てて針が動いていた。


「これはどうやって動いてるんだ?」


 純粋な問いかけに答えてくれたのは、シズクの隣で腕組みをするアイシャだった。


「動力源は冒険者の魔法の力よ。肌身離さず着けておけば、いつでも時間が分かるの、そんなことも知らないの?」

「へぇ~、これで時間が分かるのか。最近は便利なもんがあるんだなぁ……へぇ~……」

「あ、あの……シュバルツ君……?」

「ああ、すまない。もうちょっとだけ見せてくれ」

「そ、その……ちがくて……。シュヴァルツ君の息が……その……肌に当たってて……」

「うん…………?」


 息が肌に?


「……あ」


 アイテムに夢中になり過ぎて、色白の艶やかなシズクの谷間が目の前に……。

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カクヨムの方が先に進んでいます!

冒険者歴二十年のおっさん、モンスターに逆行魔法を使われ青年となり、まだ見ぬダンジョンの最高層へ、人生二度目の冒険を始める

https://kakuyomu.jp/works/1177354054974837773
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