005
「ほれほれ~、どうだどうだー!」
「やっ……めっ……! んんっ……!」
シズクの着ているジャケットが、アイシャによってひらりとめくられる。
アイシャはその隙間から、シャツを無理やり引き出し、下から手を滑り込ませていく。
チラリと見えた色白の生肌を、アイシャの手がするりと撫でていく。
ふむ、服の隙間から見えるへそは何故エロいのだろうか……。
「ひゃう! アイシャちゃんの手冷たいよっ……」
ビクッと体全体で反応するシズク。
「や、やわらかっ……! 肌もすべすべだし! どうなってるのコレ⁉」
「あっん……そこはダメっ……アイシャちゃ……んっ……!」
アイシャは素早い動きでシズクの背後に回り、たわわな胸を手の平におさめたようだった。
「やんっ、もう……ダメって、言ってるのにっ……」
「ふっふっふー、私の動きについてこれるかなー?」
シズクの膨らんだ豊かな胸が上下左右に、服の上からでも分かるほどに揉みしだかれていた。
「あんっ……ほんとっ、ダメっ……やんっ……!」
シズクは顔を赤くしながら腰をくねらせる。上半身をかがませ、小さなお尻でアイシャをどけようとするが、さすがは元冒険者のアイシャ。
常人ではない身のこなしでシズクに絡みついたまま離れようとしない。
「可愛いしすべすべだしおっぱい大きいし! なんだこれは! 私への当てつけかー!」
「そんな……あんっ……違う、のにぃ……」
…………。
どれほど頭が痛くとも、女子の艶っぽい声には、男としての煩悩が生まれてしまうようだな。
「やめっ……やっ……んんっ……」
「くんくん……、シズクちゃんなんか良い匂いする!」
「やん……匂い嗅がないで……ひぅっ……」
個人的には、この女子同士の絡みを観賞したい。むしろ混ざりたい。
出来ることなら俺も触ってみたい……。
「な、なんかシズクちゃんの反応が良すぎて変な気分になりそう……」
「だ、だったらやめっ……ひゃん⁉ そこは、ほんとに、ダ……メッ……だよぉ……」
「ここかー! ここが良いのかー!」
「はぁっはぁっ……はぅ……ひゃうっ……! ほ、ほんとにもう……だめっ……だめっ……!」
シズクの頬が赤らみ、今にもどこかにイってしまいそうになっている。
さすがに仕事中の昇天はマズいだろう……。
「……おい、いい加減にしてやれよ。彼女が困ってるだろ?」
「ちっ……、余計なお世話ですぅーだ! 子どもは大人しく待ってなさい!」
子どもを待たせて見せられるような健全なものじゃないだろうに……。
「クレスに言いつけてもいいんだぞ」
「ギクッ……」
アイシャの動きが完全に停止した。
「はぁっ……はぁっ……」
はらりと静かに崩れ落ちていくシズク。壁にもたれかかり息を整えているのだが、めくれ上がった服から下乳が……。
目を逸らしつつ、俺はシズクを起こすために近付いた。
「おい、大丈夫か?」
自然と目がはだけた肌の部分に向いてしまうが、なんとか我慢。
「あ、ありがとう……」
俺の手を取って立ち上がろうとするシズクに――――――
「シズクさーん! 受付どうするんですかー?」
またギルドの従業員が現れた。
廊下の曲がり角からひょこっと頭だけを出している。
「あの、その! よ、よいしょ……!」
よろけているシズクが俺へと体重を預けた結果、顔が目の前まで迫ってきていた。
アイシャが言っていたように、確かに良い香りがする。
「い、今はちょっと……いけそうにない、です……」
シズクの「いけそうにない」という言葉。
それが別の意味に聞こえてしまった俺は、やはり中身はおっさんなのだと悟った。
「シズクさんどうしたんですか?」
不思議そうに見つめるギルドの従業員。
二人とも黙ったまま立ち尽くすので仕方なく俺が――――
「シズクはアイシャに胸を揉ま――――――」
「あー! シズクちゃん体調が悪いみたいなので代わりに私が行きますーって! 今ちょうど話をしてたところなんです!」
停止していたアイシャが割り込み、俺の言葉をかき消した。
「そうだったんですね、では急いでください。朝から冒険者たちの相談が詰まっていたので忙しいんですよ」
朝からって……、もしかして俺のせいか?
「はーい! 今すぐ行きまーす! ごめん、シズクちゃん! その子の登録はまかせた!」
「え、アイシャ、ちゃん?」
スタタタッと、アイシャは軽快な走りで受付の方へと消えていった。




